String Driven Thing – The Machine That Cried (1973)
String Driven Thing『The Machine That Cried』(1973)
String Driven Thingは、1967年にグラスゴーで結成されたバンドで、フォーク色とプログレッシブ・ロックの要素を行き来しながら活動してきたグループだ。中心人物はChris Adamsで、編成を変えながらも彼を軸に続いていく。『The Machine That Cried』は1973年に登場した作品で、バンドの初期ディスコグラフィーの中でも、グループの色がはっきり出た時期のアルバムとして位置づけられる。
作品の位置づけ
1973年という時期は、英国のロックがフォーク、プログレ、ハードな演奏感をそれぞれ行き来していた頃だ。String Driven Thingもその流れの中にあり、このアルバムではロックの推進力と、曲ごとの展開を重視する作りが見えてくる。バンド名が示す通り、弦楽器のうねりや推進感が前に出るタイプの音像で、同時代の英国プログレ周辺の空気を感じさせる内容だ。
メンバーにはChris Adams、Kim Beacon、Graham Smith、Colin Wilson、Colin Fairley、Alun Roberts、James Exell、Bill Hatje、Pauline Adams、Billy Fairley、John F. Mannionらの名前が見える。編成の変動が多いバンドなので、作品ごとに演奏の輪郭が変わるのもこのグループの特徴といえそうだ。
録音と盤の情報
レコーディングは1973年夏、ロンドンのIBC StudiosとAdvision Studiosで行われている。どちらも英国ロック史ではおなじみのスタジオで、この時代らしい空気をまとった録音環境だ。日本盤はNippon Phonogram Co. Ltd. Tokyo製造で、当時の国内流通盤として出ている。
サウンドの印象
実際に聴くと、曲の進み方は比較的ストレートなロックの感触を持ちながら、随所で展開や緊張感の置き方にプログレ寄りの発想が見える。派手に技巧を誇るというより、曲の流れの中で音を積み上げていくタイプの印象だ。フォーク由来の響きと、70年代前半の英国ロックらしい厚みが同居している。
Kim Beaconのヴォーカルが入ることで、演奏の輪郭が少し柔らかくなる場面もあり、Chris Adamsを中心としたバンドの骨格に歌の表情が乗る構図。Graham Smithのヴァイオリンもこのバンドの個性としてよく知られ、ロック・バンドの中で弦の音が前に出る独特の手触りになっている。
同時代とのつながり
同時代の英国では、フォークの感触を持つプログレ勢や、ヴァイオリンを取り入れたロック・バンドがいくつか活動していた。String Driven Thingもその流れの中で語られることが多く、英国のアンダーグラウンドなロック文脈に置いて見るとわかりやすい。派手な商業性より、バンドの演奏感と曲作りで聴かせるタイプの作品だ。
関連するトピック
String Driven Thingはその後も形を変えながら活動を続け、1990年代後半から2000年代初頭にはString Driven名義で活動した時期もあった。現在は再びString Driven Thingの名義に戻っている。メンバーではベーシストのColin Wilsonが2013年に、創設者でリードシンガーのChris Adamsが2016年10月7日に亡くなっている。
まとめ
『The Machine That Cried』は、1973年の英国ロックの空気をそのまま閉じ込めたような一枚というより、String Driven Thingというバンドの編成感、弦の響き、曲の運び方がまとまった作品だ。プログレッシブ・ロックの枠組みに触れながらも、フォーク由来の質感を残したバンドの個性が読み取りやすいアルバムである。
トラックリスト
- A1 – Heartfeeder
- A2 – To See You
- A3 – Night Club
- A4 – Sold Down The River
- B1 – Two Timin’ Rama
- B2 – Travelling
- B3 – People On The Street
- B4 – The House
- B5 – The Machine That Cried
- B6 – Going Down
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Bruce Springsteen – Tunnel Of Love (1987)
Bruce Springsteen『Tunnel Of Love』(1987年)
Bruce Springsteenが1987年に発表した『Tunnel Of Love』は、E Street Bandの名前が広く知られている時期の中でも、作品の空気が少し変わった1枚として見られることが多いアルバムである。レコードとしても1987年のUS盤で、Columbia Recordsからリリースされた。
Springsteenは1949年、ニュージャージー州ロングブランチ生まれ。詩的な歌詞、Jersey Shoreに根ざした感覚、強い声、長尺で熱量の高いライヴで知られるシンガーソングライターだ。本作は、そうした“ザ・ボス”のイメージを保ちながらも、バンド全体で押し切るロックというより、私的な視線が前に出た作品として聴こえる。
作品の位置づけ
『Tunnel Of Love』は、Springsteenのディスコグラフィーの中でも、80年代後半の節目に置かれるアルバムである。前作『Born in the U.S.A.』の大きな成功のあとに出た作品で、ヒットのスケール感よりも、関係性や内面の揺れを追う作りが目立つ。E Street Bandの作品でありながら、曲ごとの手触りはかなり個人的だ。
録音はニュージャージー州Rumsonの“Carousel House”にあるSpringsteenのリビングルーム・スタジオで進められ、1987年1月から4月にかけて行われた。さらに「One Step Up」はロサンゼルスのA&M Studiosで録音されている。録音とミックスはSony Digitalで行われ、当時のデジタル録音の手法が使われている点も、この時代らしい要素だ。
サウンドと聴きどころ
このアルバムは、ロックの勢いだけで押すタイプではない。歌詞の内容に合わせて、演奏も整理されていて、曲の輪郭がはっきりしている。ギターや鍵盤、ドラムの配置が過密になりすぎず、言葉を聴かせる作りになっている印象がある。
タイトル曲「Tunnel of Love」は、この作品の中心にある曲だ。恋愛の高揚だけでなく、その中にある不安や距離感がにじむ。シングルとしても代表曲のひとつで、アルバムの方向性をそのまま示すような内容である。
「Brilliant Disguise」も重要な曲だ。相手を信じたい気持ちと、見えているものへの疑いが同居する構造で、Springsteenの歌詞の中でもかなり直線的に感情を扱っている。「Tougher Than the Rest」は、より落ち着いたテンポで関係の持続を描く曲で、後年までよく知られるレパートリーになった。
「One Step Up」は、家や暮らしの中で起きる行き違いを描く曲で、アルバム中でも現実感が強い。歌詞カード付きのインナー・スリーブで聴くと、言葉の流れが追いやすい構成になっている。
同時代の文脈
1987年のロック作品として見ると、派手なアリーナ・ロックやシンセを強く押し出す音作りが目立つ時期でもある。その中で『Tunnel Of Love』は、アメリカン・ロックの文脈にありながら、より内省的で、曲の中心に物語を置くタイプのアルバムとして聴こえる。Bob DylanやJohn Mellencampのように、歌詞を前面に出すアメリカのソングライター系ロックとも並べて語られやすい内容である。
このUS盤について
この盤はUSリリースで、Columbia Records Pressing Plant, Carrollton, GAでのプレスとされる。ランアウト部には「G」のエッチングがあり、DMM(Direct Metal Mastering)仕様である。スパイン表記はOC 40999、ラベル表記はC 40999。プリント入りインナー・スリーブには歌詞とクレジットが収められている。
ジャケット外装には、シュリンクラップ上のハイプ・ステッカーで「Brilliant Disguise」「One Step Up」「Two Faces」「Tunnel of Love」「Tougher Than The Rest」が案内されている。プロモーション用のゴールド・スタンプが入る個体もある。
まとめ
『Tunnel Of Love』は、Springsteenの大きな代表作群の中でも、私的な感情の動きが前に出たアルバムである。E Street Bandの厚みを持ちながら、録音やミックスの整理された手触りが、曲のテーマをそのまま支えている。1987年のUSオリジナル盤としても、当時のデジタル録音とDMMプレスの時代感がはっきり残る1枚だ。
トラックリスト
- A1 – Ain’t Got You (2:06)
- A2 – Tougher Than The Rest (4:35)
- A3 – All That Heaven Will Allow (2:38)
- A4 – Spare Parts (3:39)
- A5 – Cautious Man (3:56)
- A6 – Walk Like A Man (3:37)
- B1 – Tunnel Of Love (5:11)
- B2 – Two Faces (3:00)
- B3 – Brilliant Disguise (4:15)
- B4 – One Step Up (4:21)
- B5 – When You’re Alone (3:20)
- B6 – Valentine’s Day (5:10)
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Kormorán – Folk & Roll (1984)
Kormorán『Folk & Roll』について
『Folk & Roll』は、ハンガリーのKormoránが1984年に発表した作品で、同年のリリースとして記録されている。ロックを土台にしながら、フォークや各地の民謡的な要素を取り込むKormoránらしさが前面に出る一枚で、ジャンル表記としてはRock、Folk、World, & Country、スタイルとしてはFolk Rock、Folk Prog Rockに置かれている。ハンガリー国内制作の盤で、クレジットには「Pepita-Főnix recording」、そして「Made in Hungary」の表記が見える。
Kormoránというバンドの輪郭
Kormoránはハンガリーのグループで、バンドの公式サイトや映像チャンネルも公開されていることから、長く活動を続けてきたことがうかがえる。メンバー表記には、Koltay Gergely、Keresztes Ildikó、Deák Bill Gyula、Vadkerti Imre、Fehér Nóra、Szabó Miklós、Mr. Basary など、複数世代にまたがる名前が並ぶ。こうした編成の厚みは、単独の固定メンバー作品というより、時期ごとに参加者を広げながら音楽性を積み重ねてきたグループの性格を示している。
本作『Folk & Roll』は、タイトルの通りフォークとロックの結びつきを前面に出した作品として見てよさそうだ。Kormoránの作品群の中でも、フォーク・ロックやプログレッシブ寄りの流れを押し出す位置づけとして語られることが多い。
1984年のハンガリー作品として
1984年という年を考えると、ハンガリーのロック/フォーク系シーンでは、英米のハードロックやニューウェイヴとは別の軸で、民俗音楽の素材をどうロックに落とし込むかが大きな関心事だった時代でもある。Kormoránもその文脈の中で、単なるロックバンドではなく、民族的な旋律感や合唱的な響き、楽器の重ね方を含めて独自の色を作っていったグループとして捉えやすい。
同時代の比較対象としては、東欧圏でフォーク要素をロックに組み込んだバンド群が思い浮かぶが、Kormoránはその中でも、民謡的なメロディと劇的な展開をしっかり結びつけるタイプのバンドとして見られることがある。プログレッシブ・ロックの構成感と、フォークの旋律の分かりやすさが同居するところが、この時期の作品の特徴になりやすい。
作品の手触り
実際に聴くと、ギターを軸にしたロックの推進力の上で、歌メロやコーラスが前に出る場面があり、曲ごとにフォーク色とロック色の比重が変わっていく印象を受ける。演奏面では、歌の輪郭を支えるアンサンブルの組み方がはっきりしていて、単純なバンドサウンドでは終わらない作り込みが感じられる。
また、複数のボーカリスト名がクレジットされている点からも、ひとりの歌唱だけで押し切るのではなく、曲に応じて声色や役割を変えていく構成が想像しやすい。民謡的な合唱感、ロックの前進感、そして舞台的な広がりが行き来するタイプの作品として受け取れそうだ。
代表曲やヒット曲について
今回の情報だけでは、収録曲の詳細やシングルのヒット曲までは確認できない。ただ、Kormoránはハンガリー国内で長く知られてきたグループで、作品単位よりもバンド全体の活動やライブ文脈で認知されてきた面が強い。『Folk & Roll』も、その流れの中でバンドのカラーを端的に示すアルバムとして見やすい。
まとめ
『Folk & Roll』は、1984年のハンガリーで生まれた、Kormoránのフォーク・ロック路線を示す作品だ。ロックの骨格にフォークの旋律感を重ねる作り、複数の歌声や合奏感を活かす編成、そして東欧らしい土着性を含んだサウンドの組み立てが、このレコードの見どころになっている。Kormoránというバンドの方向性を知るうえで、ひとつの基点として置きやすいタイトルだ。
トラックリスト
- A1 – Zöld Szemű Rózsa
- A2 – Védelmezz!
- A3 – Egy Ágyon Egy Kenyéren
- A4 – Trák Attak
- A5 – Alig Volt Zöld
- A6 – Ne Sírj
- B1 – Ilju Haramia
- B2 – Ha Meghalok
- B3 – Gyere Ki, Te Gyöngyvirág
- B4 – Adjon Az Isten
- B5 – Macedon Expressz
- B6 – Jöjj Be Szobámba
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Jerry Goodman – On The Future Of Aviation (1985)
Jerry Goodman『On The Future Of Aviation』について
Jerry Goodmanは、アメリカ・シカゴ出身のヴァイオリニスト/ギタリスト。Mahavishnu Orchestraの初期メンバーとして知られ、フュージョン以降の文脈でもよく語られる人だ。そうした経歴を踏まえると、『On The Future Of Aviation』は、彼の演奏技術を前面に出しつつ、エレクトロニックな要素とロックの輪郭を組み合わせた1985年の作品として位置づけられる。
この作品は1985年に発表されたタイトルで、日本盤も同年リリース。帯と、日本語のトラックリストおよびライナーノーツを収めたインサートが付属する仕様になっている。日本で流通した盤として、当時の国内向けの体裁がきちんと整えられている点も特徴だ。
作品の印象
このアルバムは、ジャズ・ロック的な切れ味だけで押し切るタイプというより、音の空間や余韻を意識した作りが目につく。タイトルから受けるイメージどおり、直線的に進むというより、飛行する感覚、浮遊する感覚に寄った組み立て。Jerry Goodmanのヴァイオリンは、旋律をなぞるだけでなく、音色そのものを聴かせる役割も担っているように感じられる。
エレクトロニックとロック、そしてアンビエントの要素が重なることで、演奏の密度が高い場面でも、音がむやみに混み合わない。1980年代半ばという時期を考えると、フュージョンの語法を土台にしながら、よりシンセサイザー寄りの質感へ視線を向けた作品として見えてくる。
Jerry Goodmanという人物の流れの中で
Jerry Goodmanは、もともとアコースティックなヴァイオリン奏者として出発しながら、Mahavishnu Orchestraでエレクトリックなロックの現場に入っていった経歴を持つ。そこから考えると、『On The Future Of Aviation』は、技巧派ヴァイオリニストというだけでなく、ロックと電子音響のあいだを行き来する表現者としての側面が出やすい時期の作品と見ることができる。
同時代の文脈では、フュージョンやプログレッシブ・ロックの周辺で、シンセサイザーや空間処理を取り入れた作品が増えていた。そうした流れの中で、ヴァイオリンを主役に置いたインストゥルメンタル作品として耳に入るはずだ。
内容面での注目点
- 1985年作品としての発表
- Jerry Goodmanのヴァイオリンを軸にしたインストゥルメンタル性
- Electronic、Rock、Ambientの要素が並ぶ構成
- 日本盤は帯付き、和文ライナー付き
なお、ヒット曲や広く知られた代表曲として語られるタイプの作品というよりは、アルバム全体の流れで聴かれる性格が強い。曲単位での派手な知名度より、全体の音像や演奏の配置に目が向く一枚という印象だ。
まとめ
『On The Future Of Aviation』は、Jerry Goodmanの演奏家としてのキャリアを踏まえると、フュージョン以後の表現を電子的な質感とともに整理した作品として見やすい。1985年という時代の空気、そして日本盤に添えられた帯や日本語ライナーも含めて、当時のリリースとしてのまとまりがある一枚だ。
トラックリスト
- A1 – On The Future Of Aviation (6:36)
- A2 – Endless November (8:40)
- A3 – Outcast Islands (6:34)
- B1 – Orangutango (6:26)
- B2 – Waltz Of The Windmills (5:50)
- B3 – Sarah’s Lullaby (5:42)
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Wapassou – Wapassou (1973)
Wapassou『Wapassou』について
Wapassouのデビュー作『Wapassou』は、1973年にフランスで登場した作品だ。ストラスブールを拠点にしたこのグループは、1970年代初頭に結成されたシンフォニック/プログレッシブ・ロック・バンドとして知られている。初期の作品はサイケデリック色が強く、その後はギター、ヴァイオリン、キーボード、女性ヴォーカルを軸にした長尺の組曲形式へと進んでいくが、このアルバムはその出発点にあたる一枚になる。
作品の位置づけ
このアルバムは、Wapassouの最初期の姿を示す作品として見ると分かりやすい。後年の作品で見られるような、クラシック由来の構成感や組曲的な展開に向かう前段階であり、より心理的な揺らぎや、当時の欧州サイケデリック・ロックに近い感触が前に出ている。バンドのプロフィールでも、このデビューLPは「よりサイケデリック寄り」とされており、のちの独自路線とは少し違う入口になっている。
同時代のフランス・ロックの文脈で見ると、後のWapassouは長い曲構成、室内楽的な楽器編成、女性ヴォーカルの存在などから、一般的なハードロック系とも、単純なプログレ・バンドとも少し異なる位置にあった。比較対象としては、同じフランスのアンダーグラウンド寄りのサイケ/プログレ勢や、叙情性と構成美を重視する欧州系の作品群が思い浮かぶ。
サウンドの特徴
このデビュー作の情報から読み取れる範囲では、後年の大作志向よりも、まずはバンドの輪郭を作る段階の演奏が中心と見られる。Wapassouはのちに、ギター、ヴァイオリン、キーボード、女性の声を組み合わせた独特の編成で知られるが、その基礎がすでにこの時点で形になっていたはずだ。特に、フランスのプログレでも珍しい「打楽器の少なさ」がバンドの個性として語られることが多く、その特徴が後の作品に通じている。
実際に聴いた印象として語られやすいのは、音の厚みよりも、旋律の流れと楽器同士の受け渡しが前面に出るタイプの進行だという点だ。ロックの推進力だけで押し切るのではなく、フレーズの反復や展開で曲を組み立てる感触がある。
1987年盤について
今回の盤は1987年のフランス盤で、Wotre Music向けのOméga Studio再発盤にあたる。スリーヴには「Made in France – Imp. S.N.A.」、レーベル面には「Made in France」と記されている。オリジナル1973年盤と比べると、作品そのものは同じデビュー作でも、流通経路や盤の製造時期が異なる再発盤という見方になる。
再発盤であるため、1973年当時の初出盤をそのまま追う資料というよりは、後年に改めて入手しやすくした版として扱うのが自然だ。Wapassouのようにオリジナル盤が流通しにくい作品では、この1987年盤が実際の聴取環境において重要な役割を持つこともある。
参加メンバー
クレジットには Freddy Brua、Jacques Lichti、Karin Nickerl、Jean-Pierre Schall、Jean-Michel Biger、Geneviève Moerlen、Jean-Jacques Bacquet、Monique Fizelson、Charly Kolb、Francis Gentel、Christine Maillard、Michel Lacour、Dominique Kihm、Dominique Metz の名前が並ぶ。Wapassouは固定のロック・バンドというより、編成の広がりを持ったアンサンブルとして捉えたほうが近い。
まとめ
『Wapassou』は、フランスのストラスブールから現れたWapassouの出発点を記録したアルバムだ。のちの組曲志向、室内楽的な響き、女性ヴォーカルを含む独自のプログレ表現へ向かう前の、サイケデリックな輪郭を持つ初期像がここにある。1973年のオリジナル盤と、1987年のWotre Music向け再発盤という時間差も、この作品の聴かれ方を考えるうえでひとつのポイントになる。
トラックリスト
- A1 – Mélopée (4:02)
- A2 – Rein (10:38)
- A3 – Musillusion (Wapassou) (4:00)
- B1 – Châtiment (6:54)
- B2 – Trip (13:41)
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The Nice – Elegy (1971)
The Nice『Elegy』について
The Niceの『Elegy』は、1971年に発表された作品で、バンドの終盤を示す重要な1枚だ。Keith Emersonを中心に、ロックにクラシックやジャズの要素を取り込んでいったThe Niceの到達点のひとつとして位置づけられる。作品全体を通して、演奏の切れ味と組曲的な構成が前面に出ている。
この盤は1982年リリースのUK盤で、Blue Charismaレーベルに小さなHatterロゴが入った仕様になっている。録音はTrident Studiosで行われ、Dave HenshawとMalcolm Toftがエンジニアを担当している。
バンドの立ち位置
The Niceは、初期のアートロック/シンフォニック・ロックを語るうえで欠かせないバンドだ。Keith Emersonのキーボードを軸に、モーツァルト、バッハ、シベリウス、チャイコフスキーなどのクラシック作品をロックの形式に持ち込んだことで知られる。オルガン主体の演奏、長尺のインストゥルメンタル、ライブでの演出も含めて、同時代のProcol HarumやKing Crimsonと並べて語られることが多い。
『Elegy』は、そうしたThe Niceの特徴がまとまった後期作のひとつ。のちにEmerson, Lake & PalmerへつながるKeith Emersonの発想が、すでにかなりはっきり見える時期の記録でもある。
収録曲と内容
この作品には、The Niceらしいクラシック引用とライブ音源が含まれている。
- 「3rd Movement Pathetique」— The Niceによる編曲
- 「America 2nd Amendment」— Emerson / Jackson / Davisonによる編曲
- 「Hang On To A Dream」— フィルモア・イーストでのライヴ録音
- 「America 2nd Amendment」— フィルモア・イーストでのライヴ録音
「3rd Movement Pathetique」は、クラシック曲をロック・アンサンブルに移し替えるThe Niceの手法がよく出た曲だ。Keith Emersonの鍵盤が前に出て、バンド全体がそれを支える構図になっている。
「America 2nd Amendment」は、Leonard Bernsteinの「America」をめぐるThe Niceの有名な演奏史を踏まえた楽曲として知られる。The Niceはこの曲をロイヤル・アルバート・ホールで演奏した際、アメリカ国旗のレプリカを燃やそうとして物議を醸したという逸話が残っている。こうした背景を知ってから聴くと、単なるカバー以上の意味を持つ曲に感じられる。
「Hang On To A Dream」は、ライブ収録ならではの空気を持つ1曲。スタジオ録音とは違う、観客の前で音を積み上げていくThe Niceの性格が見えやすい。
演奏とサウンド
The Niceの演奏は、Keith Emersonのハモンド・オルガンを中心に組み立てられる。Brian Davisonのドラム、Lee Jacksonのベース/ヴォーカルが加わることで、単なる鍵盤主導の作品ではなく、リズム隊の推進力がある仕上がりになっている。David O’Listが参加していた時期のバンドの空気も、作品の背景として感じ取れる。
サウンド面では、ポップ・ロック的なわかりやすさよりも、組曲的な流れや展開の細かさが目立つ。とはいえ、演奏自体はかなり直接的で、難解さだけに寄らないのがThe Niceらしいところだ。ライブ録音が入ることで、スタジオ版とは違う粗さや緊張感も出ている。
作品としての位置づけ
『Elegy』は、The Niceの活動後期を示す作品として見るのが自然だ。バンドはこのあと解散し、Keith EmersonはGreg Lake、Carl PalmerとともにEmerson, Lake & Palmerを結成する。The Niceで試されていたクラシックとロックの接続、派手なキーボード・ワーク、長尺構成は、その後のELPでさらに大きく展開されることになる。
その意味で『Elegy』は、The Nice単体の集大成というだけでなく、1970年代前後のプログレッシブ・ロックの流れにつながる中間点としても見える。派手な技巧と編曲のアイデアが前に出た、時代の空気をよく伝える1枚だ。
まとめ
The Nice『Elegy』は、Keith Emersonの存在感を軸に、クラシック曲の引用、ライブの緊張感、シンフォニック・ロック的な構成がまとまった作品だ。バンドの歩みを追ううえでも、70年代初頭の英国プログレを知るうえでも、重要な位置にあるレコードとして捉えられる。
派手な逸話の多いバンドだが、音そのものはかなり実直で、演奏の組み立てに耳が向く内容になっている。The Niceというバンドの輪郭をつかむには、わかりやすい入口のひとつだ。
トラックリスト
- A1 – Hang On To A Dream (12:43)
- A2 – My Back Pages (9:12)
- B1 – 3rd Movement Pathetique (7:05)
- B2 – America 2nd Amendment (10:27)
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Mike Oldfield – Étude (Theme From The Killing Fields) (Full Length Version) (1984)
Mike Oldfield『Étude (Theme From The Killing Fields) (Full Length Version)』について
Mike Oldfieldは、イギリスのマルチ・インストゥルメンタリストであり作曲家として知られるアーティストだ。1973年の『Tubular Bells』で広く注目を集め、1983年には「Moonlight Shadow」がヒットしている。その流れの中で、1984年に登場したのがこの「Étude (Theme From The Killing Fields) (Full Length Version)」である。
本作は、映画『The Killing Fields』のテーマとして書かれた楽曲のフル・レングス版にあたる。Mike Oldfieldらしい、旋律を軸にした構成の中に、エレクトロニックな質感とロックの要素が重なる一曲で、ジャンル表記はElectronic、Rock、スタイルはArt Rockとなっている。
作品の位置づけ
1980年代前半のMike Oldfieldは、長尺の組曲的作品だけでなく、比較的コンパクトな楽曲でも存在感を示していた時期だ。この「Étude」は、その中でも映像作品との結びつきがはっきりした曲として位置づけられる。映画音楽としての性格を持ちながら、単独のレコード作品としても成立している点が特徴だ。
「Moonlight Shadow」のようなヒット曲で広く知られる一方で、こうした作品では、メロディの運びや楽器の重ね方にMike Oldfieldの作曲家としての手つきがよく出ている。派手な展開よりも、テーマそのものをしっかり聴かせるタイプの曲だ。
音の印象
実際に耳にすると、メインの旋律が前面に出てきて、そこへ伴奏のレイヤーが少しずつ積み上がっていく作りが目立つ。ギター中心のロック的な感触と、シンセや鍵盤の冷たい響きが同居していて、1980年代前半らしい録音の輪郭も感じられる。
同じ時代のプログレッシブ・ロック周辺の作品と比べると、演奏の技巧を見せるよりも、曲のテーマ性を保ちながら進む印象が強い。Mike Oldfieldの作品の中では、壮大さよりも、静かな緊張感と旋律の明快さが前に出るタイプといえる。
タイトル表記について
この盤では、表記にいくつか揺れがある。A面ラベルでは「Étude (Theme From “The Killing Fields”) (Full-Length Version)」、ジャケット表面では「Étude (Theme From The Killing Fields) (Full Length Version)」、裏面では「Étude (Full Length Version)」と記されている。レコードを手にしたときに、表記の違いまで含めて見ていく楽しさがある一枚だ。
同時代とのつながり
1980年代の英国のアーティストの中でも、Mike Oldfieldはシンフォニックな構成感とポップな親しみやすさの両方を持つ存在として語られることが多い。映像作品向けのテーマ曲であっても、その作りは単なるBGMに寄らず、独立した楽曲としての輪郭を保っている。
『Tubular Bells』のような長大な作品とは方向性が違うが、作曲家としての個性がはっきり出る点は共通している。1984年のMike Oldfieldを知るうえで、このシングルは重要な一枚といえる。
まとめ
『Étude (Theme From The Killing Fields) (Full Length Version)』は、映画『The Killing Fields』のテーマをもとにした1984年のMike Oldfield作品だ。旋律の明快さ、電子的な質感、ロックの輪郭が同居する内容で、1980年代前半の彼の作風をつかむうえでも見ておきたいタイトルである。
トラックリスト
- A – Étude (Theme From “The Killing Fields”) (Full-Length Version) (4:38)
- B – Evacuation (Full Length Version) (5:10)
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Anaconda – Sympathy For The Madman (1969)
Anaconda『Sympathy For The Madman』について
『Sympathy For The Madman』は、UKのアシッド・フォーク・バンド、Anacondaが1969年に録音した作品で、2020年に再発された一枚だ。アーティスト表記はAnaconda、録音はイングランド。Miguel Sergidesが関わったセッションとしても知られている。
音楽性は、フォーク・ロックとサイケデリック・ロックのあいだを行き来する内容として整理されている。60年代末のUKらしい、アコースティックな手触りと、当時のサイケデリック文脈が重なるタイプの作品という位置づけになる。
作品の位置づけ
Anacondaは、1969年に10インチのアセテートを残したグループとして記録されている。この『Sympathy For The Madman』は、その時期のバンドの姿を伝える資料性の高い作品といえる。商業的に広く流通した時代のアルバムというより、当時のセッションや試作盤に近い成り立ちの一枚だ。
1969年という年は、英国のフォーク系ミュージシャンが、よりロック寄りのアレンジやサイケデリックな響きを取り込んでいった時期でもある。Anacondaもその文脈の中に置いて見ることができる。Arcadiumで知られるMiguel Sergidesが関わっている点も、同時代の英国ロック周辺のつながりを感じさせる要素だ。
2020年盤について
2020年盤は500枚限定の再発盤で、オリジナルのアセテート10インチをもとにした復刻的な扱いになっている。単体の外袋仕様で、未開封販売。内袋には、オリジナルのアセテートを写したスキャン再現のインナーが付属している。
オリジナル盤との違いとしては、まず年代の異なる再発であること、そして現物のアセテートをそのまま受け取るのではなく、資料性を重視した再現仕様であることが挙げられる。製造はdeepgroovesによるもので、バイオマス電力とエコ理念を掲げたプレスであることも記されている。
サウンドの印象
実際に聴くと、アコースティックな楽器の輪郭と、60年代末らしいざらついたロック感が前に出るタイプの録音として受け取れる。派手なヒット曲を中心にした作品ではなく、当時の空気をそのまま封じたような性格が強い。曲単位の代表性よりも、全体の流れや音の質感に意味がある一枚だ。
この作品については、シングルヒットや広く知られた代表曲が前面に出ているわけではない。むしろ、限定再発で掘り起こされた点に価値がある。60年代英国のフォーク・ロック、サイケデリック・ロックの周辺を追ううえで、記録として見ておきたいタイトルである。
補足
- アーティスト: Anaconda
- タイトル: Sympathy For The Madman
- オリジナル録音年: 1969年
- 再発盤: 2020年
- 録音地: イングランド
- 関連ミュージシャン: Miguel Sergides
- ジャンル表記: Rock, Folk, World, & Country
- スタイル表記: Folk Rock, Psychedelic Rock
トラックリスト
- A1 – It’s Not Me (3:42)
- A2 – Riding Alone (4:20)
- A3 – Who Are We? (5:36)
- B1 – Outrider (3:40)
- B2 – Sympathy For The Madman (4:20)
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The Patron Saints – Fohhoh Bohob (1969)
The Patron Saints『Fohhoh Bohob』
The Patron Saintsは、1966年にニューヨークで結成された米国のバンド。The Stones、The Beatles、Jimi Hendrix、Cream、The Butterfield Blues Band、The Doors、Moby Grape、The Yardbirdsなどの影響を受けた5人編成として出発し、1969年には3人編成になっている。そんな流れのなかで録音されたのが『Fohhoh Bohob』で、オリジナルは1969年にバンド自身が100枚限定で自主制作・自主発表した作品である。
2007年にUS盤として再発されたこのレコードは、限定1000枚のリリース。オリジナルの流通がごく少なかった作品だけに、再発盤の存在はこのバンドの記録をたどるうえで重要な位置づけになっている。
作品の位置づけ
このアルバムは、The Patron Saintsが5人編成から3人編成へ移ったあとの時期に残した記録。プロフィールにある通り、1969年6月にアルバムを録音している。バンドが当時どんな音を鳴らしていたかを知るうえで、中心的な資料といえる作品だろう。
また、バンドは現在も活動を続け、新作も発表している。そうした長い活動歴のなかでは、初期の自主制作盤として『Fohhoh Bohob』が特別な意味を持つ。デビュー作というより、バンドの初期像をそのまま封じ込めたアーカイブ的な一枚、という見方がしやすい。
音の方向性
ジャンル表記はRock、Pop、Folk、World, & Country。スタイルにはPower Pop、Psychedelic Rock、Folk、Prog Rock、Honky Tonkが挙がっている。バンドの背景にある60年代後半の米国ロックの文脈を思わせる並びで、同時代のThe Beatles、The Doors、Moby Grape、The Yardbirdsあたりを参照点にした音作りが想像しやすい。
パワー・ポップ寄りのメロディ感、サイケデリック・ロックの感触、フォークやホンキートンクの要素まで含む構成は、当時のロックがひとつの型に収まりきらなかった時期らしい面白さがある。プログレッシブ・ロックの要素も含まれていて、単純なガレージ・ロックに回収されない広がりを持つ作品として見られることが多そうだ。
再発盤について
2007年盤は、オリジナルの100枚限定盤に対して1000枚限定での再発。オリジナル盤が極端に少ないため、この再発盤は作品に触れる現実的な入口になっている。盤の流通量が大きく違う点は、この作品の受け取られ方にも影響していそうだ。
まとめ
『Fohhoh Bohob』は、The Patron Saintsが1969年に残した初期記録。60年代末の米国ロックの気配をまといながら、ポップ、サイケデリック、フォーク、プログレ、ホンキートンクまでを含む広い射程を持つ一枚として整理できる。バンドの出自と活動の継続性を踏まえると、単なる珍盤ではなく、グループの出発点を示す作品として見えてくる。
トラックリスト
- A1 – Flower (4:28)
- A2 – Nostalgia Trip (3:30)
- A3 – Reflections (3:41)
- A4 – Do You Think About Me? (3:10)
- A5 – White Light (5:40)
- B1 – Relax (6:15)
- B2 – My Lonely Friend (4:01)
- B3 – Andrea (5:58)
- B4 – The Goodnight Song (4:20)
- C – Shine Of Heart
- D – Do It Together
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Yes – Time And A Word (1970)
Yes『Time And A Word』について
Yesの『Time And A Word』は、1970年に発表された2作目のアルバムで、バンド初期の姿を知るうえで重要な作品だ。プログレッシブ・ロックの文脈では、のちの大作志向や緻密なアンサンブルへ向かう前段階として位置づけられることが多い。既にYesらしい構築感は見えつつ、まだ初期のロックバンドとしての輪郭も残している時期の録音である。
この日本盤は1979年のリリースで、オリジナルの1970年盤からは時間が経っている。表記上は日本で製造された盤で、℗1970 Atlantic Recording Corporation、Made by Warner-Pioneer Corporation, Japan とある。つまり、作品そのものは1970年のアルバム、手元の盤は後年の国内流通盤という整理になる。
作品の位置づけ
本作は、Yesの初期メンバー編成を聞ける最後のアルバムでもある。マスターノートにある通り、後にスティーヴ・ハウがピーター・バンクスと交代するが、その変更はアルバム発表の前後に起きている。結果として、アメリカ盤のジャケットではスティーヴ・ハウが登場する一方、実際の演奏には参加していないという、少しややこしい事情を持つ作品でもある。
また、トニー・コックスによるライブのオーケストラ・アレンジが加わっている点も特徴的だ。バンドの演奏に弦の厚みが重なり、当時のYesがただのギターロックではなく、オーケストラ的な発想を取り込み始めていたことがわかる。
内容と曲の印象
収録曲では、タイトル曲「Time and a Word」が中心的な存在だ。のちのYesが得意とする長尺組曲とは少し違い、楽曲のまとまりを重視した構成で、メロディとアレンジの両方を前に出している。「Sweet Dreams」も初期Yesを代表する曲として知られ、シングルとして切られたことからも、この時期のバンドがアルバム全体だけでなく単独曲としての印象も意識していたことがうかがえる。
実際に聴くと、演奏の芯はロックバンドそのものだが、そこにオーケストラが入ることで空間の広がりが出る。後年のYesにあるような複雑な変拍子の積み重ねよりも、曲の展開と音色の変化で聴かせる場面が目立つ。ジョン・アンダーソンの声はすでに明確に存在感があり、クリス・スクワイアのベースも前に出る。初期盤らしい、音の密度よりも曲の流れを追うタイプのアルバムという印象である。
同時代との関係
1970年という時期を考えると、イギリスではプログレッシブ・ロックが形を整えつつあったころだ。King Crimson、Genesis、Emerson, Lake & Palmer などと並べて語られることもあるが、Yesはその中でも、メロディの明瞭さとアンサンブルの推進力を重視する方向に進んでいく。この『Time And A Word』は、その後の『Fragile』や『Close to the Edge』のような完成形へ向かう前の、まだ試行の段階が見える作品といえる。
日本盤としてのポイント
1979年の日本盤という点では、オリジナルの1970年盤とは発売時期が異なる。レコードとしては、当時の日本の流通盤らしい安定した再発の一枚として扱える。作品の中身は1970年のアルバムそのままで、初期Yesの音像を日本で改めて聴ける仕様になっている。
まとめ
『Time And A Word』は、Yesがプログレッシブ・ロックの代表格へ進む途中に置かれた、初期ならではの作品だ。オーケストラを交えたアレンジ、シングル向きの楽曲、そして初期メンバー最後の記録という要素が重なっている。後年の大作群とは違うが、Yesというバンドの出発点と方向性を確認できるアルバムである。
トラックリスト
- A1 – No Opportunity Necessary, No Experience Needed
- A2 – Then
- A3 – Everydays
- A4 – Sweet Dreams
- B1 – The Prophet
- B2 – Clear Days
- B3 – Astral Traveller
- B4 – Time And A Word
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John Wetton – King’s Road 1972-1980 (1987)
John Wetton『King’s Road 1972-1980』について
『King’s Road 1972-1980』は、John Wetton名義で1987年にUKでリリースされたコンピレーション盤。内容は、King Crimson、UK、そしてソロ作品から選ばれた楽曲をまとめた編集盤で、1972年から1980年までの活動をひとつの流れとして追える構成になっている。Wettonのキャリアを見渡すときの入口としても、各バンドでの役割の違いを確認するための資料としても、位置づけがはっきりした一枚。
John Wettonというアーティスト
John Wettonはイングランド・ダービー出身のベーシスト、シンガー、ソングライター。ベースを弾きながら歌うスタイルで知られ、1970年代の英国ロック/プログレッシブ・ロックの重要な場面に何度も関わっている人物。King Crimsonでは1970年代前半と再結成期の両方に関わり、UKではバンドの中心メンバーとして存在感を示した。後年はAsiaの結成にもつながっていくが、この編集盤が拾っているのは、まさにその前段にあたる時期の仕事である。
収録内容の性格
この作品はスタジオ・アルバムではなく、既発曲を時系列の感覚で並べた編集盤。King Crimsonの楽曲、UK時代の楽曲、ソロ名義の楽曲がひとつにまとまっているため、Wettonの声とベースを軸にした音楽がどう変化していくかが見えやすい。バンドごとに編成や作曲の重心は違うが、どの曲でもWettonの低音とボーカルが前面に出る瞬間がある。
King Crimson期では、複雑な展開の中で歌とベースがどう噛み合うかが聞きどころになる。UKでは、より洗練されたアンサンブルの中で、歌唱の輪郭がはっきり出る場面が多い。ソロ作品では、バンドの制約から少し離れた書き方が見える構成で、同じ声でも受ける印象が変わる。
1987年の編集盤としての意味
1987年という時点でこうした選曲がまとめられたことは、Wettonの70年代後半までの仕事を振り返る意図が強いリリースだったと見てよさそうだ。ひとりのアーティストを、所属バンドごとではなく、歌い手・演奏家として横断的に捉えられるのがこの種のコンピレーションの利点。特にWettonの場合、バンドが変わっても声の質感とベースの押し出しがはっきりしているので、編集盤の形でも個性が通りやすい。
同時代の文脈
1970年代の英国プログレッシブ・ロックでは、演奏の複雑さと楽曲のまとまりの両方が重視されていた。その中でWettonは、技巧だけに寄らず、ロックとしての推進力を持った歌とベースで印象を残したタイプ。King CrimsonやUKの系譜をたどると、同時代のYes、Genesis、Emerson, Lake & Palmerと比較されることもあるが、Wettonの仕事はより硬質なロックの感触を持つ場面が目立つ。
盤としてのポイント
- 1987年UKリリースの編集盤
- 収録元はKing Crimson、UK、ソロ作品
- 1972年から1980年までの活動を横断する構成
- 初回盤はインナー・スリーブ付き
まとめ
『King’s Road 1972-1980』は、John Wettonの70年代の仕事を一望できるコンピレーション盤。King Crimsonでの緊張感、UKでのバンド・サウンド、ソロでの書き手としての側面が一枚に収まっていて、Wettonという名前を軸に英国ロックの一断面をたどれる内容になっている。歌、ベース、作曲、その3つの要素がどう重なっていたかを確認するための作品としても、わかりやすい。
トラックリスト
- A1 – Nothing To Lose (3:57)
- A2 – In The Dead Of Night (5:17)
- A3 – Baby Come Back (3:24)
- A4 – Caught In The Crossfire (5:02)
- A5 – Night After Night (5:10)
- B1 – Turn On The Radio (3:41)
- B2 – Rendezvous 6:02 (4:02)
- B3 – Book Of Saturday (2:54)
- B4 – Paper Talk (3:57)
- B5 – As Long As You Want Me Here (4:59)
- B6 – Cold Is The Night (5:23)
Pink Floyd – The Dark Side Of The Moon (1973)
Pink Floyd / The Dark Side Of The Moon (1973, UK)
Pink Floydの8作目のスタジオ・アルバム。1973年にロンドンのAbbey Road Studiosで録音され、UKのHarvestから発表された。バンドにとっては、それまでのサイケデリック色と実験性を保ちながら、より構成のはっきりした作品へ進んだ時期の到達点にあたる1枚だ。
この作品は、Pink Floydの代表作として広く知られている。音のつながり、効果音、会話の断片、曲間の切れ目の少なさが、アルバム全体をひとつの流れとしてまとめている。制作面では、ジャケットをHipgnosisが手がけ、内袋にポスターとステッカーが付く初期仕様もよく知られている。
作品の位置づけ
1960年代後半の実験的なPink Floydから、70年代の大きな成功へつながる中心作といえる。Syd Barrett在籍期のサイケデリックな側面を引き継ぎつつ、Roger Waters主導の構成意識が前面に出ている。のちの『Wish You Were Here』や『Animals』へ向かう流れの中でも、特に分かりやすく完成度の高い地点に置かれる作品だ。
同時代の英国ロックの中では、YesやGenesis、King Crimsonなどのプログレッシブ・ロック勢と並べて語られることが多い。ただし本作は、長大な組曲の技巧を見せるタイプというより、音響処理やテーマの統一感で聴かせる作りになっている。
収録曲と代表曲
アルバムを通してよく知られるのは、“Time”、“Money”、“Us and Them”、“Brain Damage”、“Eclipse”あたりだ。特に“Money”は、異色の7拍子のリフとレジスター音の導入で印象が強い。“Time”は時計の音から始まる構成がはっきりしていて、アルバムの中でも曲の輪郭が見えやすい。
“The Great Gig in the Sky”では、歌詞を持たないヴォーカル・パートが置かれていて、アルバム内の役割が明確だ。Barry St. John、Doris Troy、Lesley Duncan、Liza Strikeのバック・ヴォーカル参加も、クレジット上で細かくは目立たないが、聴こえ方には確かに影響している。
音と構成
演奏は、David Gilmourのギター、Roger Watersのベース、Richard Wrightの鍵盤、Nick Masonのドラムを軸にしている。シンセサイザーやテープ効果、環境音の使い方が曲のつなぎ目に組み込まれていて、各曲が単独で完結するというより、アルバム全体でひとつのまとまりを作る方向に寄っている。
冒頭と終盤の会話の断片も有名だ。Nick Masonの著書『Inside Out – A Personal History of Pink Floyd』では、収録された発言の出どころとして、Abbey RoadのドアマンGerry O’Driscollの「There is no dark side of the moon. Matter of fact, it’s all dark.」などが挙げられている。こうした断片が、作品のテーマ性を補強している。
オリジナルUK盤について
オリジナルのUK Harvest盤は、ラベルのプリズム図柄の仕様で見分けられることで知られる。初期には、青いプリズムがはっきりしたデザインが使われている。今回の盤は1973年リリースの初期仕様に近い位置づけで、後年の再発盤とはラベルや細部の表記が異なる。
初期のジャケットには、見開き内に2枚のポスターと2枚のステッカーが付属した。コピーによっては、黒いポリライニング内袋や、ゲートフォールドの開口部の貼り方、裏面表記の位置などに違いがある。こうした差異は、UKオリジナル期のプレスを追う際の注目点になっている。
まとめ
『The Dark Side Of The Moon』は、Pink Floydの実験性、構成力、スタジオ作品としての完成度が強く出たアルバムだ。サウンドの細部、曲間のつながり、効果音の配置まで含めて、1970年代ロックの中でも特に設計の意識が見えやすい1枚である。
ヒット曲としては“Money”がまず挙がるが、アルバム全体で聴くと、単曲の人気だけでは収まらないまとまりがある。UKオリジナル盤では、その完成形に近い初期プレスならではの細部も含めて、作品の歴史を感じやすい。
トラックリスト
- A1 – Speak To Me
- A2 – Breathe
- A3 – On The Run
- A4 – Time
- A5 – The Great Gig In The Sky
- B1 – Money
- B2 – Us And Them
- B3 – Any Colour You Like
- B4 – Brain Damage
- B5 – Eclipse
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The Waitresses – Wasn’t Tomorrow Wonderful? (1982)
The Waitresses『Wasn’t Tomorrow Wonderful?』について
The Waitressesは、アメリカ・オハイオ州アクロン出身のニュー・ウェイヴ/ポストパンク・バンド。のちにニューヨークへ拠点を移し、鋭いギター・ワークと、話し言葉に近いボーカル、軽妙なユーモアを含む楽曲で知られるグループだ。本作『Wasn’t Tomorrow Wonderful?』は1982年に登場した作品で、同年リリースの日本盤として流通している。
バンド名を聞いてまず思い浮かぶのは、やはりPatty Donahueのボーカルと、Chris Butlerを中心にしたひねりのある曲作り。The Waitressesは、同時代のニュー・ウェイヴの中でも、単にシンセや速いビートを並べるだけではない、言葉の運びや曲の切り方に特徴があるグループとして語られることが多い。本作も、その輪郭がはっきり出る時期の一枚として捉えやすい。
作品の位置づけ
1982年という時期は、The Waitressesにとって比較的知られた楽曲が広く流通していた時期でもある。代表曲としては「I Know What Boys Like」がよく挙がり、バンドの名前を外へ押し出した曲として扱われることが多い。そうした流れの中で聴くと、『Wasn’t Tomorrow Wonderful?』は、バンドの持ち味をアルバム単位で確認するための作品として見えやすい。
アメリカのニュー・ウェイヴやポストパンクの文脈では、Talking HeadsやB-52’sのように、ロックの基本形をそのままなぞらずに、リズムや言葉の置き方で個性を作るバンドが並ぶ。その中でもThe Waitressesは、より都会的で、少し乾いた感触のある仕上がりが印象に残るタイプだ。
音の特徴
クレジット上のジャンルはElectronic、Rock、Pop、スタイルはNew Wave。実際の印象としては、ロックの骨格を土台にしながら、電子音やキーボードの配置で空気を整え、ポップなフックを曲の中に通していく作り。演奏の熱量を前面に押し出すというより、フレーズの置き方や間の取り方で曲を進める場面が目立つ。
この手のニュー・ウェイヴ作品は、派手さよりも、短い言葉、反復、少しずらしたノリで印象を残すことが多い。本作もその系譜にある一枚として見やすい。Patty Donahueの歌い回しに耳が向く人は多そうで、バンドのユーモアや距離感は、そうしたボーカルの立ち方にも支えられている。
参加メンバーについて
クレジットにはChris Butler、Mars Williams、Ralph Carney、Holly Beth Vincent、David Hofstra、Billy Ficca、Dan Klayman、Tracy Wormworth、Patty Donahue、Stuart Austin、Ariel Warner、Patty Darlingの名が並ぶ。The Waitressesの中心人物としてはChris ButlerとPatty Donahueがまず挙がり、そこにサックスやリズム隊、補助的なプレイヤーが加わる形。ニュー・ウェイヴ期らしい柔軟な編成感がある。
日本盤としての特徴
この日本盤には、歌詞シートと帯が付属する。日本で流通した当時の洋楽LPらしい仕様で、コレクション面でもわかりやすいポイントだ。マスタリングはSterling Soundで行われ、Ze Recordsからのライセンス盤として出ている。
オリジナルの1982年作品として見た場合、日本盤は作品内容そのものに大きな変更があるタイプではなく、当時の国内流通向けのパッケージ違いとして捉えるのが自然だろう。帯や歌詞シートの有無は、聴く体験というより、手元に置く楽しさに関わる要素になっている。
まとめ
『Wasn’t Tomorrow Wonderful?』は、The Waitressesというバンドの個性を、1982年時点のニュー・ウェイヴの空気の中で確認できる作品。アクロン発のバンドがニューヨークへ移りながら形にしていった、言葉の切れ味とリズム感のバランスが、この時期の重要な手がかりになっている。
代表曲で知られるバンドを、アルバム単位で追う入口としても位置づけやすい一枚。派手な大ヒットだけではなく、当時のポップ/ロック/電子音の交差点にあった感触を残す作品として記憶されることが多い。
トラックリスト
- A1 – No Guilt
- A2 – Wise Up
- A3 – Quit
- A4 – It’s My Car
- A5 – Wasn’t Tomorrow Wonderful?
- B1 – I Know What Boys Like
- B2 – Heat Night
- B3 – Redland
- B4 – Pussy Strut
- B5 – Go On
- B6 – Jimmy Tomorrow
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- The Waitresses – I Know What Boys Like (1982)
- THE WAITRESSES- Wasn’t Tomorrow Wonderful
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- The Waitresses – No Guilt (Live TV 1982)
- The Waitresses – I Know What Boys Like (Excerpt from the Sitcom “Square Pegs”, 1982)
- No Guilt
- Wise Up
- Quit
- It’s My Car
Todd Rundgren – Space Force (2022)
Todd Rundgren『Space Force』について
『Space Force』は、Todd Rundgrenが2022年に発表したアルバム。リリース国はUS表記だが、盤の記載では「Made in Canada」となっている。Todd Rundgrenは、ソロ・アーティストとしてだけでなく、プロデューサー、マルチインストゥルメンタリストとしても長く活動してきた人物で、本作もその幅広いキャリアの延長線上にある作品と見てよさそうだ。
Rundgrenは1960年代後半にNazzで頭角を現し、その後ソロに移行。『Something/Anything?』や『A Wizard, A True Star』、さらにUtopiaでの活動など、ポップ寄りの楽曲から実験性の強い作風まで、かなり振れ幅の大きい作品を重ねてきた。本作『Space Force』も、その長い活動歴の中に置くと、年輪のあるソロ作のひとつという位置づけになる。
作品の位置づけ
2022年作という時点で、いわゆる初期の代表作とはかなり離れた時期の作品だが、Todd Rundgrenの名前で出るアルバムらしく、作曲、演奏、プロデュースの感覚が一体になった作品群の流れにある。70年代から続く彼のキャリアを知っていると、単なる懐古ではなく、長年の作家性を現在形で聴くタイプの一枚として捉えやすい。
Rundgrenは、ポップ、ハードめのロック、ソウル寄りの感触まで横断してきた人で、同時代のアーティストと並べるなら、単なるシンガーソングライターというより、アルバム単位で世界を組み立てるタイプのミュージシャンとして見えてくる。比較対象を挙げるなら、同じく作家性の強いアメリカン・ロックの系譜に置きやすい存在だが、Rundgrenの場合はさらにスタジオ感覚の強さが特徴になっている。
聴きどころとして見たい点
本作については、彼の近年作としてのまとまりと、長年のキャリアで培われたアレンジ感がポイントになりそうだ。Todd Rundgrenの作品は、メロディの明快さと、ひねりのある構成が同居することが多く、タイトル曲『Space Force』もそうした文脈で受け取られることが多いだろう。
また、彼は自身の代表曲として『Hello It’s Me』や『Open My Eyes』でも知られているが、そうした初期ヒットの延長だけではなく、より広い意味でのアルバム・アーティストとして評価されてきた。本作も、そうした長い履歴の上にある一作として見るとわかりやすい。
Todd Rundgrenという人物
Todd Rundgrenは1948年生まれ、ペンシルベニア州アッパー・ダービー出身。ボーカル、ギター、ベース、キーボード、ドラム、サックス、テルミンまでこなすマルチプレイヤーで、ソロ活動だけでなく他者の作品のプロデュースでも重要な仕事を残している。音楽性の変化が大きいのに、作家としての芯はぶれにくい、そういうタイプのアーティストだ。
『Space Force』は、その長いキャリアの後半に置かれた作品として、過去の代表作と並べて聴くことで輪郭が見えやすいアルバム。Todd Rundgrenの音楽を追ってきた人にとっては、彼が2022年時点でどの位置にいたのかを確認できる一枚になっている。
トラックリスト
- A1 – Puzzle
- A2 – Down With The Ship
- A3 – Artist In Residence
- A4 – Godiva Girl
- A5 – Your Fandango
- A6 – Someday
- B1 – I’m Not Your Dog
- B2 – Espionage
- B3 – STFU
- B4 – Head In The Ocean
- B5 – I’m Leaving
- B6 – Eco Warrior Goddess
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- Puzzle
- Down with the Ship
- Artist in Residence
- Godiva Girl
- Someday
- I’m Not Your Dog
Babe Ruth – Best Of Babe Ruth (1977)
Babe Ruth『Best Of Babe Ruth』について
Babe Ruthは、1971年にイギリスで結成されたロック・バンドで、もともとはShacklockという名義で活動を始めたグループだ。中心人物はギタリスト/ソングライターのAlan Shacklockで、1970年代前半のUKロック文脈の中で、ハードなギター・サウンドと演奏力の高さを持つバンドとして知られている。『Best Of Babe Ruth』は、その活動期の楽曲をまとめたベスト盤で、オリジナルのリリース年は1977年、こちらの盤は1986年にUKで出た再発盤になる。
バンドの位置づけ
Babe Ruthは、長く大きな商業的成功で語られるタイプのバンドというより、70年代英国ロックの中で個性を残した存在として見られることが多い。1976年にいったん解散しており、このベスト盤は、バンドの初期活動を振り返る形でまとまった一枚といえる。のちに2002年にはアルバム『Que Pasa』のため再結成しているが、この『Best Of Babe Ruth』は、まず70年代の本体を知るための資料性が強い作品だ。
サウンドの特徴
ジャンル表記はRock、スタイルはHard Rock。Babe Ruthの音は、単なる直線的なハードロックというより、リズムの動きや曲展開に工夫があるところが目立つ。ギターの切れ味、ヴォーカルの押し出し、曲の組み立ての細かさが印象に残るタイプだ。70年代の同時代バンドで言えば、よりアメリカ的な厚みを持つハードロック勢とも、英国のブリティッシュ・ロック勢とも比較されやすいが、Babe Ruthはその中でも少し独特な立ち位置にある。
収録曲の聴きどころ
ベスト盤なので、バンドの代表曲を追う目的で手に取られることが多い。Babe Ruthを語るうえでよく挙がるのは、初期の代表曲群で、特に「The Mexican」はバンドの名前を広く知らしめた曲として扱われることが多い。重心の低いリフ、印象的な構成、ライヴ感のある進行が特徴で、Babe Ruthの個性がまとまって見える一曲だ。
また、ヴォーカルのJenny Haanの存在感も重要だ。ハードロック・バンドの中でも女性ヴォーカルを前面に出した編成で、歌の強さがバンド全体の印象を決めている。単に勢いで押すのではなく、曲によっては緩急やドラマ性もあり、そのあたりがベスト盤で通して聴くと見えやすい。
1986年盤としての特徴
1986年のUK盤は、1977年のオリジナル盤をもとにした再発で、スリーヴ・アートワークが異なる点が大きい。内容の核はオリジナル期の楽曲集でありつつ、装丁の違いによって当時の再評価の流れも感じられる。70年代のバンドを80年代に改めてコンパイルし直す流れは珍しくなく、この盤もそうした文脈の中に置ける。
メンバーについて
クレジットには、Ellie Hope、Alan Shacklock、Jenny Haan、Dave Hewitt、Bernie Marsden、Dave Punshon、Ed Spevock、Steve Gurl、Chris Holmes、Dick Powellの名前が並ぶ。Babe Ruthはメンバーの入れ替わりも含めて活動していたバンドで、このベスト盤はそうした時期の楽曲をまとめて振り返る性格が強い。
まとめ
『Best Of Babe Ruth』は、Babe RuthというUKハードロック・バンドの輪郭をつかむための編集盤だ。70年代英国ロックの中で、演奏力と楽曲の作り込みを備えたバンドとしての姿が見えてくる。とくに「The Mexican」を含む代表曲の流れを通して聴くと、バンドの持っていた硬質さと独自性がわかりやすい一枚といえる。
トラックリスト
- A1 – Wells Fargo
- A2 – Ain’t That Livin’
- A3 – Private Number
- A4 – Theme From For A Few Dollars More
- A5 – Joker
- A6 – Dancer
- B1 – The Duchess Of Orelans
- B2 – Black Dog
- B3 – If Heaven’s On Beauty’s Side
- B4 – Lady
- B5 – Jack O’Lantern
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Duncan Mackay – Chimera (1974)
Duncan Mackay『Chimera』について
『Chimera』は、イギリスのキーボーディスト、シンガー、アレンジャー、作曲家として知られる Duncan Mackay の作品で、オリジナルは1974年のリリース。プログレッシブ・ロックとシンフォニック・ロックの流れの中に置かれる1枚で、1970年代前半らしい、鍵盤を中心に組み立てるロック作品として捉えやすいアルバムだ。
Duncan Mackay は 1950年7月26日、英国ヨークシャー州リーズ生まれ。ソロ活動だけでなく、鍵盤奏者としての仕事でも知られる人物で、この時期の英国ロック周辺のキーボード主体のサウンドを語るうえで名前の挙がる存在のひとりだ。『Chimera』は、そのキャリアの中でも初期のソロ作として位置づけられる作品と見てよさそうだ。
作品の内容と聴きどころ
このアルバムは、ギターのリフや歌を前面に押し出すタイプというより、キーボードの音色変化と曲展開で聴かせる作りの印象が強い。オルガン、ピアノ、シンセ系の音が場面ごとに入れ替わり、ロックの土台の上に組曲的な展開を重ねる、70年代プログレの手触りがある。
曲ごとのテンポや密度の差がはっきりしていて、静かなパートから厚みのあるセクションへ進む流れが目立つ。シンフォニック・ロックの要素としては、単なる技巧の見せ場ではなく、楽曲の構成そのものを鍵盤が支えている点が特徴的だ。
また、歌ものとしての分かりやすさだけで押す作品というより、演奏とアレンジの変化を追う楽しさがあるタイプのアルバムだ。プログレッシブ・ロック周辺の作品に慣れた耳だと、曲の切り替わりや音の重ね方に注目しやすいだろう。
1974年当時の文脈
1974年は、英国プログレッシブ・ロックがひとつの成熟期を迎えていた時期でもある。長尺の構成、鍵盤主導の展開、クラシック寄りの和声感を持つロック作品が各地で作られていた流れの中で、『Chimera』もそうした時代の空気を共有している。
同時代の鍵盤主体のロック作品と並べると、派手な超大作というより、ソロ・アーティストとしての感覚を生かした、比較的コンパクトにまとめた印象の作品として見ることができる。プログレとシンフォニック・ロックの中間にある、70年代中盤らしい1枚だ。
2010年盤について
2010年盤は、180g重量盤、ゲートフォールド仕様で、オリジナルのアナログ・マスター・テープからのカット、ファーストプレスの再現をうたうリイシューだ。コレクション性の高い作りで、ジャケットやパッケージ面でも当時の雰囲気を意識した再発盤として扱われている。
オリジナル盤との違いとしては、内容そのものを別物として作り替えた盤ではなく、当時の作品を現代の仕様で再提示したもの、という見方が自然だ。音質やプレスの安定感、パッケージの保存性を含めて、再発盤ならではの利点があるタイプといえる。
まとめ
『Chimera』は、Duncan Mackay の初期ソロ作として、鍵盤を軸にした70年代プログレッシブ・ロック/シンフォニック・ロックの文脈で聴けるアルバムだ。派手なヒット曲で押す作品というより、曲の構成と音の積み上げで聴かせる内容。2010年の再発盤では、180g重量盤とゲートフォールド仕様で、オリジナル盤の雰囲気を意識した形で復刻されている。
トラックリスト
- A1 – Morpheus
- A2 – Twelve Tone Nostalgia
- B – Song For Witches
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The Smiths – Meat Is Murder (1985)
The Smiths『Meat Is Murder』について
The Smithsの『Meat Is Murder』は、1985年に発表された2作目のスタジオ・アルバムだ。英マンチェスター出身の4人組による作品で、Morrisseyの歌詞とJohnny Marrのギターを軸に、1980年代の英国インディー・ロックを代表する一枚として知られている。
この盤は2009年のUS盤リイシュー。オリジナルの1985年盤をもとにした再発で、180グラム盤、両面に歌詞とクレジットを載せた特製ダストカバー付きという仕様になっている。録音はLiverpoolのAmazon StudiosとSurreyのRidge Farm、ミックスは1984年冬のロンドン、Island Studiosで行われた。
作品の位置づけ
The Smithsにとって『Meat Is Murder』は、デビュー作に続いてバンドの方向性をはっきり示したアルバムだ。デビュー盤で見えたバンドの輪郭を、そのまま次の段階へ進めた印象が強い。Morrisseyの言葉選びはこの時点でかなり明確で、日常の感情、社会への視線、身体性のあるテーマが並ぶ。
タイトル曲「Meat Is Murder」は、バンド名義の作品の中でも特にメッセージ性が前面に出た曲としてよく知られている。アルバム全体の中で、The Smithsが単なるギターポップの枠に収まりきらない存在として受け止められる理由のひとつでもある。
サウンドと聴きどころ
Johnny Marrのギターは、この時期のThe Smithsらしく、コード感と細かなフレーズの組み合わせが目立つ。Mike JoyceとAndy Rourkeのリズム隊は、派手に前へ出るというより、曲の流れを崩さずに支える役回りだ。そこにMorrisseyの歌が乗ることで、軽い音数でも曲の輪郭がはっきりする作りになっている。
実際に聴くと、音の密度は高いのに、演奏の見通しは悪くない。ギターの刻み、ベースの動き、歌の間の取り方が分離して聞こえやすく、各曲の構造が追いやすい盤だ。
代表曲
- 「The Headmaster Ritual」: アルバム冒頭を飾る曲で、緊張感のあるギターと歌の組み合わせが印象に残る。
- 「How Soon Is Now?」: The Smithsを代表する楽曲のひとつ。後年も繰り返し参照されることの多い曲で、アルバムの存在感を大きくしている。
- 「Well I Wonder」: 歌と演奏の距離感が近く、内省的な流れが出やすい曲。
- 「That Joke Isn’t Funny Anymore」: 作品後半の中でもよく知られる曲で、感情の置き方がはっきりしている。
ジャケットについて
ジャケットに使われた人物は、1967年9月21日に南ベトナムのダナンで撮影されたMarine Corporal Michael Wynnだとされている。元のヘルメットには「Make War Not Love」と書かれていたが、アルバム用の画像では文字が差し替えられている。戦争写真を引用したこのジャケットは、タイトルとあわせて作品の主題を強く印象づけるものになっている。
同時代との関係
1980年代前半の英国インディー・シーンでは、The SmithsはThe CureやNew Orderと並んで語られることが多い。もっとも、The Smithsはシンセ主体の方向よりも、ギターの組み立てと歌詞の語り口で独自の立ち位置を作ったバンドだ。後のオルタナティブ・ロックやインディー・ロックにも影響が広がっていくタイプの作品でもある。
2009年US再発盤として
この2009年US再発盤は、オリジナルの1985年盤を現在のフォーマットで手に取りやすくしたものだ。180グラム盤という点に加え、歌詞とクレジットをまとめたダストカバーが付くことで、当時の作品情報に触れやすい構成になっている。レーベル表記には1985年の著作権・原盤情報が残っており、作品自体はあくまで1985年作として扱うのが自然だ。
まとめ
『Meat Is Murder』は、The Smithsの初期像をはっきり示すアルバムだ。Morrisseyの主題の置き方、Marrのギターの組み方、バンド全体の空気感がまとまっていて、1980年代英国ロックの中でも特徴のある一枚として位置づけられている。
トラックリスト
- A1 – The Headmaster Ritual (4:52)
- A2 – Rusholme Ruffians (4:20)
- A3 – I Want The One I Can’t Have (3:14)
- A4 – What She Said (2:42)
- A5 – That Joke Isn’t Funny Anymore (4:58)
- B1 – Nowhere Fast (2:37)
- B2 – Well I Wonder (4:00)
- B3 – Barbarism Begins At Home (6:57)
- B4 – Meat Is Murder (6:07)
関連動画
- Barbarism Begins at Home (2011 Remaster)
- Meat Is Murder (2011 Remaster)
- What She Said (2011 Remaster)
- Rusholme Ruffians (2011 Remaster)
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The David – Another Day, Another Lifetime (1967)
The David『Another Day, Another Lifetime』について
The Davidは、1960年代半ばから後半にかけて活動したロサンゼルスのサイケデリック・グループだ。ブレントウッドで近所同士だったTim Harrison(ドラム)とWarren Hansen(ボーカル、キーボード)を中心に始まり、Palisades High SchoolつながりのMike Butte(ギター)、Chuck Spieth(ベース)、そして最後にMark Bird(リードギター)が加わった経緯が知られている。最初はThe Reasonsという名前だったが、マネージャーの「ヒットを取るのはダビデとゴリアテの戦いのように難しい」という言葉からThe Davidに改名した、というエピソードも残っている。
『Another Day, Another Lifetime』は1967年の作品として位置づけられる。The Davidにとって、20th Century Fox Recordsとのシングル契約を経て世に出た時期の音源で、バンドの初期像を知るうえで重要なタイトルといえる。
作品の位置づけ
The Davidは、同時代の米国西海岸サイケデリック・ロック、ガレージ・ロックの流れの中にあるバンドだ。活動時期や音の背景から、The Seeds、The Electric Prunes、The Chocolate Watchbandのような60年代後半のバンド群と並べて語られることが多いタイプの存在だろう。キーボードを含む編成もあって、ギター主体のガレージ感だけでなく、当時のサイケデリック・ポップらしい色合いも意識される。
アーティスト情報を見ると、The Davidはロサンゼルス周辺の若いメンバーで固まったバンドで、60年代後半の地元シーンの空気をそのまま反映したような成り立ちだ。大型バンドというより、シングルやローカルな流通を軸にしたグループとして理解すると、時代背景と合いやすい。
内容と聴きどころ
この作品は、サイケデリック・ロックを土台にしながら、ポップ・ロックやガレージ・ロックの要素を含む内容として捉えられる。曲単位では、当時のロサンゼルス産サイケに見られる、歪んだギター、はっきりしたリズム、メロディを残すボーカルの組み合わせが軸になっていると考えられる。
代表曲として特に広く知られた定番曲がこのタイトルから生まれている、というよりは、バンドそのものの資料的価値が大きい作品だ。メジャーなヒットを前面に押し出すタイプというより、60年代後半のローカル・サイケの断片を伝える記録として見たほうが実態に近い。
リリースと再発について
オリジナルは1967年のリリース。関連ノートによると、Vance Music Corp.に関わるリリースとして扱われている。のちにドイツで1990年代にブートレグ盤が出回ったことがあり、さらに現在VMCラベル表記で見かける再発はScorpio Recordsによるものとされている。
オリジナル盤と再発盤では、外観にも違いがある。再発盤はオリジナルよりもカバーが薄く、より現代的な仕様になっているとされる。盤を見分ける際には、この点が手がかりになりそうだ。
まとめ
『Another Day, Another Lifetime』は、The Davidというバンドの初期像を知るための1967年作だ。ロサンゼルスのサイケデリック・グループらしい編成と背景を持ち、60年代後半のガレージ/サイケの流れの中で位置づけられる一枚。作品単体のヒット性よりも、当時のローカル・シーンの記録としての意味合いが強い内容だ。
トラックリスト
- A1 – Another Day, Another Lifetime / I Would Like To Know (5:50)
- A2 – I’m Not Alone (1:48)
- A3 – Sweet December (3:05)
- A4 – Tell Me More (2:25)
- A5 – Now To You (3:58)
- B1 – Professor Crawford (2:40)
- B2 – Time M (4:50)
- B3 – So Much More (2:16)
- B4 – Mirrors Of Wood (3:40)
- B5 – Of Our Other Days (2:05)
関連動画
- The David “Another Day, Another Lifetime” 1968 *Another Day, Another LifetimeI-I Would Like To Know*
- The David “Another Day, Another Lifetime” 1968 *I’m Not Alone*
- The David “Another Day, Another Lifetime” 1968 *Sweet December*
- The David “Another Day, Another Lifetime” 1968 *Tell Me More*
- The David “Another Day, Another Lifetime” 1968 *Not To You*
- The David “Another Day, Another Lifetime” 1968 *Professor Crawford*
- The David “Another Day, Another Lifetime” 1968 *Time M*
- The David “Another Day, Another Lifetime” 1968 *So Much More*
- The David “Another Day, Another Lifetime” 1968 *Mirrors Of Wood*
- The David “Another Day, Another Lifetime” 1968 *Of Our Other Days*
Brainbox – To You (1972)
Brainbox『To You』について
Brainboxは、1968年にアムステルダムで結成されたオランダのロック・グループだ。Jan Akkerman、Pierre van der Linden、Kazimierz Lux(Kaz)を中心に始まり、のちにメンバーを入れ替えながら活動した。『To You』は1972年にオランダで出た作品で、Brainboxという名前で追うときに、バンドの流れをたどるうえで重要な一枚として見えてくる。
作品の基本情報
- アーティスト: Brainbox
- タイトル: To You
- オリジナル・リリース年: 1972年
- リリース国: Netherlands
- ジャンル: Rock
- スタイル: Classic Rock, Blues Rock
盤の表記では、B.V. Bovema/EMI, Haarlem Hollandで録音・製造され、N.V. Litho Zwanenburg, Hollandによる印刷表記もある。オランダ国内盤らしいクレジットが並ぶ仕様だ。
Brainboxというバンドの位置づけ
Brainboxは、Jan Akkermanの存在で語られることが多いバンドだ。AkkermanはのちにFocusでも知られるギタリストで、Brainboxでは初期から強い個性を持ち込んでいる。Pierre van der Lindenも同じく重要なメンバーで、後年のオランダ・プログレ系ロックの流れを考えると、このバンドの名前は外しにくい。
一方で『To You』の時期は、初期Brainboxの編成とは少し離れた段階にある。メンバー表を見ても、Robert Verwey、Shell Schellekens、Frans Smit、Cees Van Der Laarse、Michel van Dijk、André Reijnen、John Schuursma、Rudy de Queljoe、Herman Meyer、Ronnie Meyjes、Tony De Queljoe らがクレジットされていて、バンドが複数回の変化を経てきたことがわかる。そうした人員の移り変わりも含めて、Brainboxの作品群の中では時期の違いを感じやすい一枚だ。
内容の印象
この作品は、クラシック・ロックとブルース・ロックの軸をはっきり持った内容として受け取られている。ギター主体の展開、ロックの骨格を保った演奏、ブルース由来のフレーズ感が見えやすいタイプの作品だ。Jan Akkermanの名前から連想される流麗なギターワークは、Brainboxというバンドの魅力を考えるうえで大きな要素になっている。
同時代のオランダ勢でいうと、Focusのような組み立ての細かいロックよりも、こちらはよりロックの直進性やブルースの感触に寄った印象で語られやすい。英国ロックの流れで見れば、ギター主導のハード寄りクラシック・ロックや、ブルースを土台にしたバンド群と並べて語られることが多い。
ヒット曲・代表曲について
Brainboxは、作品単位で語られることが多く、特定の大ヒット曲だけで知られるバンドというよりは、Jan AkkermanやKaz Luxを含む演奏の流れで評価されてきた印象が強い。『To You』についても、アルバム全体のまとまりで聴かれることが多いタイプの作品だ。
オリジナル盤と盤の違い
この盤には、裏ジャケットに「Een Habo hoes」がないものと、あるものが区別されている。提示されている盤は「Without “Een Habo hoes” on the back cover」の版にあたる。レコード・コレクションの文脈では、同じ1972年盤でもこうした細部の違いが識別点になる。
また、ランアウトはエッチング、スタンパー番号はスタンプで入っており、二重のスタンパー番号(20, 40, 37, 44)は左右反転している、という物理的な特徴もある。こうした情報は、オランダ盤の製造工程を確認する手がかりになる。
まとめ
Brainbox『To You』は、オランダのロック史の中で、Jan Akkermanをはじめとするバンドの流れをたどる際に押さえておきたい1972年作だ。クラシック・ロックとブルース・ロックの要素を持つ一枚として、Brainboxの変遷と当時のオランダ・ロックの空気を映す作品として見えてくる。
トラックリスト
- A1 – Virgin (3:40)
- A2 – Amsterdam, The First Days (3:30)
- A3 – Sinner’s Prayer (2:19)
- A4 – Dark Rose (5:24)
- A5 – Cruel Train (2:21)
- B1 – Down Man (2:44)
- B2 – Woman’s Gone (3:57)
- B3 – To You (3:16)
- B4 – Summertime (4:02)
- B5 – Doomsday Train (3:00)
- C1 – Between Alpha And Omega (2:19)
- C2 – Baby, What You Want Me To Do (2:22)
- C3 – Scarborough Fair (5:55)
- C4 – The Flight (3:13)
- C5 – So Helpless (2:28)
- D1 – The Smile (Old Friends Have The Right To) (2:55)
- D2 – Reason To Believe (2:13)
- D3 – Sea Of Delight (2:51)
- D4 – Mobilae (5:55)
- D5 – Good Morning, Day (2:40)
関連動画
Guru Guru – UFO (1970)
Guru Guru『UFO』について
Guru Guruは、1968年にドイツで結成されたクラウトロック・バンドで、Mani Neumeierを中心に活動してきたグループだ。政治性や風刺を含んだロックから出発し、その後は実験性の強い作品を次々と発表していく。『UFO』はその初期にあたる1970年の作品で、バンドの出発点を知るうえで重要な一枚として位置づけられる。
この盤は1996年にドイツで出た再発盤で、レーベル表記では1970年録音・1996年発行という形になっている。オリジナル時点の空気をそのまま伝える内容として、初期クラウトロックの流れをたどる際に外せないタイトルのひとつだ。
作品の内容と初期Guru Guruの輪郭
『UFO』には、当時のロックの枠を押し広げるような長尺演奏と、即興的な展開が目立つ。曲ごとの構成に頼るというより、演奏の流れそのものを聴かせるタイプのアルバムで、反復、ノイズ、間の取り方が前面に出る。のちのクラウトロック作品に通じる要素が、この時点ですでにかなりはっきりしている。
バンドの初期はライブ中心で始まり、スタジオ録音に入ったのがこのデビュー作の時期にあたる。以後の作品ではプロデューサーとの協働も始まるが、『UFO』はその前段階にあるため、より荒さと自由度が強く感じられる構成だ。
聴感上の特徴
実際に耳に入るのは、ドラムの推進力、ベースの粘り、ギターや電子音のぶつかり合いだ。ロックのビートを土台にしながら、途中から演奏が崩れたり、別の方向へ逸れたりする。その変化が曲の展開としてそのまま残されている印象がある。
派手なメロディを追う作品ではなく、演奏の持続とズレを楽しむタイプの内容だ。後年の整ったサイケデリック/プログレッシブな録音と比べると、もっと生々しく、ライブ感の強い手触りがある。
同時代の文脈
1970年前後の西ドイツでは、Can、Amon Düül II、Faust、Neu! などと並んで、ロックを英米の模倣から切り離そうとする動きが進んでいた。Guru Guruもその流れの中にいて、特に『UFO』では、後のクラウトロックで定着する反復志向や即興性が、かなり早い段階で見えている。
同時代のバンドの中でも、Guru Guruはユーモアや演奏の暴れ方が前に出る場面があり、同じクラウトロックでも、Canの編集的な緊張感やNeu!の直線的な推進力とは少し違う手触りがある。
アルバムの位置づけ
『UFO』はGuru Guruの初期像をそのまま示す作品だ。のちにメンバー交代を重ねながら活動が続いていくが、この時点では、バンドが何を目指していたのかがかなりはっきり出ている。デビュー作として、グループの基礎を知る入口になっている。
代表曲を一曲で語るというより、アルバム全体の流れで聴く作品だ。タイトル曲を含め、曲単位よりも演奏の連なりが印象に残る内容で、初期クラウトロックの記録として見ても存在感がある。
再発盤について
この1996年盤は、オリジナル1970年盤の再発として流通したものだ。盤面表記にある通り、著作年は1970年、盤の発行は1996年で、ドイツ盤として再度リリースされている。
再発盤では、当時の録音をそのまま聴ける点がいちばん大きい。初期クラウトロックの生々しい演奏と、1960年代末から1970年代初頭の空気が残る一枚として、作品の輪郭はかなり明確だ。
まとめ
Guru Guru『UFO』は、ドイツの初期クラウトロックを語るうえで外せないデビュー作だ。ロック、電子音、即興性がひとまとまりで鳴っていて、バンドのその後の長い活動の出発点にもなっている。作品としては、整った完成度よりも、当時の現場感や実験の始まりが見える内容だ。
トラックリスト
- A1 – Stone In (5:42)
- A2 – Girl Call (6:15)
- A3 – Next Time See You At The Dalai Lhama (6:10)
- B1 – Ufo (10:15)
- B2 – Der LSD-Marsch (8:25)
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The Cocoon – While The Recording Engineer Sleeps (1989)
The Cocoon『While The Recording Engineer Sleeps』について
The Cocoonはドイツのグループで、Gunter Hampel、Matthias Arfmann、Rüdiger Klose、Jürgen Gleueの4人による作品としてこの『While The Recording Engineer Sleeps』を残している。1985年にStudio Harderbergで録音されており、フリー・ジャズとサイケデリック・ロックの接点にある内容として位置づけられる1枚だ。
タイトル曲のように、録音現場の気配をそのまま作品名に取り込んだ作りも印象に残る。特に“Teenage Dope Slaves”はIdiot Studioで録音されており、ほかの曲とは別の場所で収録されたことが記されている。こうした記録からも、まとまりのあるスタジオ作品というより、セッションの流れや場の空気をそのまま閉じ込めたタイプのアルバムとして見えてくる。
作品の位置づけ
オリジナルの制作時期は1985年、盤としてのリリースは2015年。つまり、1980年代半ばの音を後年に聴ける形で残した作品と受け取れる。The Cocoonのキャリア全体の中では、当時のドイツの実験音楽、即興演奏、ロック的なエネルギーが交わる地点を示す記録として扱える。
Gunter Hampelはジャズ/フリー・インプロヴィゼーションの文脈で知られる人物で、この作品でもその流れが土台にある。一方で、ロック寄りの粗い推進力や反復の感触も入り込んでいて、単純なジャズ作品とも、ロック作品とも言い切りにくい構成になっている。
同時代の文脈
1980年代のドイツでは、ジャズの即興性とロックの身体性をまたぐ試みがいくつも生まれていた。The Cocoonもその延長線上で聴ける。比較対象としては、フリー・ジャズの開放感と、クラウトロック以降の反復感、さらにサイケデリックな音の伸びを併せ持つ作品群が思い浮かぶ。とはいえ、このアルバムはそうした要素を整然と並べるのではなく、録音の現場感を残したまま進んでいく印象が強い。
聴きどころ
この盤は、曲の完成度を前に出すというより、演奏の呼吸や音のぶつかり方を追う楽しさがあるタイプだ。ドラム、管楽器、ギター、ベースの距離感が近く、即興の流れがそのまま記録されている感じがある。とくに“Teenage Dope Slaves”は、タイトルの強さもあって、アルバムの中でも少し異なる輪郭を持つ曲として受け取れそうだ。
再発盤が2015年に出ているため、現在この作品に触れる場合はその盤で聴くことになる。音源そのものは1985年録音なので、後年の再発であっても、作品の核は80年代半ばのセッションにある。録音年と盤の発売年が異なる点は、このアルバムを見るうえで押さえておきたいところだ。
まとめ
『While The Recording Engineer Sleeps』は、ドイツのフリー・ジャズとサイケデリック・ロックの交差点に置かれる作品。4人編成の演奏、1985年録音という時代性、そして録音場所をまたいだ収録という事実が、そのまま作品の輪郭になっている。派手なヒット曲を狙うアルバムではなく、セッションの記録として読むと見えやすい1枚だ。
トラックリスト
- A1 – Ventilator Changes Into Airplane (5:23)
- A2 – I Can See Voices (5:50)
- A3 – Bag Lady (5:15)
- A4 – Seems Like I Can’t LSD Your Mind (3:57)
- B1 – The Ritual Of The Boogie Transformation (7:56)
- B2 – While The Recording Engineer Sleeps (5:27)
- B3 – The Shadow Man (4:52)
- B4 – Teenage Dope Slaves (6:55)
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John Wetton – Wetton Manzanera (1987)
John WettonとManzaneraの名前が並ぶ1987年作
「Wetton Manzanera」は、John Wetton名義で1987年に日本で出た作品。レコーディングは1986年3月から8月にかけて、イングランドのSurreyにあるGalery Studioで行われている。タイトルからも分かる通り、John Wettonと、元Roxy Musicのギタリストとして知られるPhil Manzaneraの関係が前面に出た一枚という位置づけになっている。
John Wettonは、1970年代の英国ロックをいくつも渡り歩いたベーシスト、シンガー、ソングライター。King Crimson、Roxy Music、U.K.、Asiaといったバンド歴があり、プレイヤーとしての存在感と、歌い手としての芯のある声で知られてきた人物だ。この盤も、そうしたWettonのキャリアの流れの中で見ていくと輪郭がつかみやすい。
作品の位置づけ
1987年という時期のJohn Wettonは、ハードなプログレッシブ・ロックの文脈だけでなく、より歌を中心にした作品へと軸足を置いていた時期。ここではPhil Manzaneraとの組み合わせが核になっていて、WettonのボーカルとManzaneraのギターがどう噛み合うかが聴きどころになっている。
1970年代のWettonを思い浮かべると、King CrimsonやU.K.時代の緊張感の強い演奏がまず出てくるが、この1987年作では、その路線をそのまま引き継ぐというより、曲の輪郭を立てて聴かせる作りの印象が強い。日本盤として出た1987年リリースという点でも、当時の国内ロック/AOR/ポップロックの受け止め方と重なる部分がありそうだ。
John Wettonの声とPhil Manzaneraのギター
Wettonの歌は、低めの音域に重心があり、輪郭がはっきりしている。こうした声質は、派手に張り上げるタイプではなくても、メロディをしっかり前に出せるのが特徴だ。一方のManzaneraは、Roxy Musicで知られる通り、音数を詰め込みすぎず、フレーズの置き方で曲の空気を作るタイプのギタリストとして語られることが多い。
この組み合わせは、ロックの中でも演奏の密度だけで押すというより、歌とギターの役割分担で聴かせる形に向いている。Wettonのキャリアを追っていると、U.K.やAsiaのような大きな編成のバンドでの存在感とは別に、こうした人物同士の呼吸で進む作品にも魅力がある。
同時代の文脈
1980年代半ばの英ロックには、プログレッシブ・ロックの系譜を持つミュージシャンが、より整った曲構成やポップな手触りへ寄っていく流れが見える。John Wettonもその中にいる。King CrimsonやU.K.のような作品群とは距離を取りつつも、演奏の確かさや曲の組み立てはそのまま残る、という見え方になりやすい。
Phil Manzanera側から見ても、Roxy Music以後の活動の延長線上で、ロックの中に洗練されたギターの役割を持ち込む人物として、この顔合わせは自然なものに映る。派手な技巧の応酬というより、曲の芯をどう作るかに焦点がある組み合わせ。
オリジナル盤としての1987年日本盤
この作品は1987年のオリジナルリリースとして扱われる日本盤。レコーディング時期からも、80年代後半の制作感がそのまま反映された時代の記録といえる。再発盤ではなく、その年の初出として出ている点が大きい。
日本でのリリースということもあり、当時の国内の輸入ロック・ファンや、Wettonの名前をKing CrimsonやAsiaで知ったリスナーの耳に届く位置にあった作品と見てよさそうだ。
まとめ
「Wetton Manzanera」は、John Wettonのキャリアの中でも、歌を軸にしながらPhil Manzaneraとの関係性を前に出した1987年の一枚。プログレッシブ・ロックの重い文脈だけでなく、1980年代のロックが持っていた整理された曲作りの感覚も感じられる作品だ。Wettonという名前の持つ歴史を踏まえると、バンドの中心人物としての顔とはまた違う、人物同士の距離感が見えるタイトルになっている。
トラックリスト
- A1 – It’s Just Love (3:38)
- A2 – Keep On Loving Yourself (5:12)
- A3 – You Don’t Have To Leave My Life (4:24)
- A4 – Suzanne (3:24)
- A5 – Round In Circles (4:32)
- B1 – Do It Again (4:49)
- B2 – Every Trick In The Book (4:06)
- B3 – One World (3:54)
- B4 – I Can’t Let You Go (3:22)
- B5 – Have You Seen Her Tonight? (4:47)
Stardrive – Stardrive (1974)
Stardrive『Stardrive』(1974)
Stardriveは、1974年にUSで登場したセルフタイトル作。クレジット上は「Stardrive Featuring Robert Mason」とされていて、Robert Masonを前面に出した形の作品だ。メンバーにはMichael Brecker、Steve Gadd、Harvey Sarch、Jaime Austria、Howard Rego、Robert Masonが並ぶ。
編成を見るだけでも、当時のUSロックの枠を少し広げたような顔ぶれだ。電子的な要素、ロックの推進力、ファンク寄りのリズム感が同居する作りで、スタイル欄にあるFunk、Prog Rock、Ambientの要素がそのまま結びついている印象になる。
作品の輪郭
このアルバムは、1974年という時代らしい、バンド演奏の手触りとスタジオ的な音作りが同じ場所にある1枚として捉えやすい。フュージョン以後の感覚、プログレッシブ・ロックの構成意識、ファンクのリズム処理が交差するタイプの作品だ。電子音を前に出しながらも、演奏者の身体感覚が残るところがポイントになる。
Michael BreckerとSteve Gaddの参加も目を引く。Breckerはサックス奏者としての存在感で知られ、Gaddはタイトなドラミングで多くの録音に名を残した人物だ。この2人が加わることで、作品全体に演奏面の厚みが出ている構図になる。
同時代の文脈
1974年のUSでは、ロック、ファンク、電子音楽の境界が少しずつ曖昧になっていく時期だった。Stardriveもその流れの中に置くと見えやすい。プログレッシブ・ロックの組み立て感と、ファンクの反復するグルーヴ、さらにアンビエント的な広がりを持つ音像が重なるあたり、同時代の実験的なバンドや、クロスオーバー志向の作品群と並べて語られやすいタイプだ。
ただし、前面に出るのは派手なコンセプトよりも、演奏と音の質感のほうだ。ロックのバンド編成を軸にしながら、電子的な処理で空間を作るところにこの作品の特徴がある。
リリース情報
- アーティスト: Stardrive
- タイトル: Stardrive
- オリジナルリリース年: 1974年
- リリース国: US
- ジャンル: Electronic, Rock, Funk / Soul
- スタイル: Funk, Prog Rock, Ambient
まとめ
『Stardrive』は、1974年のUSで生まれた、ロックとファンクと電子音の接点にあるアルバムだ。Robert Masonを中心に据え、BreckerやGaddを含む演奏陣が参加している点も含め、当時のクロスオーバー感覚をそのまま映したような1枚として見えてくる。セルフタイトル盤らしく、まずはバンドの輪郭そのものを示す作品という位置づけになっている。
トラックリスト
- A1 – Funkascensions (5:28)
- A2 – Ballad I (2:23)
- A3 – Jupiterjump (7:40)
- B1 – Pulsar (5:47)
- B2 – Ballad II (2:36)
- B3 – Air Sauce (5:37)
- B4 – Ballad III (3:14)
- B5 – Journey (6:55)
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Chris Squire – Fish Out Of Water (1975)
Chris Squire『Fish Out Of Water』(1975年)について
Chris Squireのソロ作品『Fish Out Of Water』は、1975年に登場した1枚です。Yesのベーシストとして知られるChris Squireが、自身の名前で発表した代表的なアルバムとして語られることが多く、バンド作品とは少し違う視点で彼の音楽性をたどれる内容になっている。プログレッシブ・ロックの文脈では、同時代のソロ作の中でもよく参照されるタイトルのひとつ。
作品の位置づけ
Chris Squireは1948年生まれの英国出身で、合唱隊での経験を持ち、そのことが後のヴォーカル・アレンジや楽曲構成への感覚につながっているとされる人物。Yesでは結成時から中心メンバーとして活動し、亡くなるまでスタジオ・アルバムすべてに参加した唯一のメンバーでもある。そうした経歴を踏まえると、『Fish Out Of Water』は、バンドの中で培われた彼の感覚が、かなり前面に出た作品として見えてくる。
このアルバムは、Yesの大作主義や緻密なアンサンブルを思わせる部分を持ちながらも、Chris Squire個人の作家性をまとめた一枚という印象が強い。派手なソロ名義作というより、ベース奏者としての役割を超えた、曲作りと構成の手つきを確かめるような内容。
録音とリリース
制作は1975年の春から夏にかけて、英国サリー州のVirginia WaterとロンドンのMorgan Studiosで進められている。オリジナル盤はAtlanticから米国でリリースされ、ジャケットやラベル表記も1975年の作品としてまとまっている。今回の盤はPresswellプレスで、ランアウトにもPRの表記が見られる仕様。
付属品としてカスタム・インナー・スリーブが付いており、内ジャケットにはSD 18159の表記が確認できる。アメリカ盤らしい仕様がはっきりしたリリースで、当時のAtlanticの流通に乗った一枚という印象。
音の特徴
実際に聴くと、まず耳に入るのはChris Squireのベースの存在感。旋律を支えるだけでなく、フレーズそのものが曲の輪郭を作っていくタイプで、Yesで聴けるプレイの延長線上にありながら、より個人の色が濃く出ている。楽曲は長めの展開を持つものが中心で、パートの切り替えや声の重ね方にも気を配った作り。
ヴォーカル面では、合唱的な重なりやコーラスの処理がアルバム全体の印象を左右している。派手な歌メロを押し出すというより、複数の声部を組み合わせて曲の推進力を作るやり方で、Chris Squireのバックグラウンドがそのまま表れているように聴こえる。
同時代の文脈
1975年は、プログレッシブ・ロックが大きく展開していた時期。Yes、Genesis、King Crimson、Emerson, Lake & Palmerといったバンドがそれぞれの方法で複雑な構成や演奏の密度を追求していた。その中で『Fish Out Of Water』は、バンドの中心人物が個人名義で出した作品として、プログレのソロ作の一角を占める。
同じくYes周辺のソロ作と並べると、キーボード主体の作品とは違って、ベースと合唱的な構成感が軸になっている点が目立つ。Chris Squireらしさを、演奏だけでなく曲の組み立てから聴けるアルバム。
曲について
このアルバムは、1曲単位で独立したヒット曲を前面に出すタイプというより、アルバム全体で流れを作る構成が中心。代表曲としては、タイトル曲「Fish Out Of Water」がまず挙げやすい。作品名そのものを冠した曲であり、アルバムの性格を示す位置に置かれている。
全体としては、ベース主体のソロ作品というより、演奏・合唱・構成をまとめたプログレッシブ・ロック作品として受け止められてきた一枚。Chris Squireというプレイヤーの個性と、1975年という時代の空気が同時に見える内容になっている。
まとめ
『Fish Out Of Water』は、YesのChris Squireが自分の音楽語法を前面に出した1975年のアルバム。合唱隊での経験、旋律的なベース、緻密なアレンジという彼の要素が、そのまま作品の骨格になっている。プログレッシブ・ロックのソロ作をたどるうえでも、Chris Squireという人物を知るうえでも、重要な位置にある作品。
トラックリスト
- A1 – Hold Out Your Hand (4:14)
- A2 – You By My Side (5:03)
- A3 – Silently Falling (11:21)
- B1 – Lucky Seven (6:57)
- B2 – Safe (Canon Song) (14:53)