Rheingold – R. (1982)

Rheingold『R.』について
『R.』は、ドイツのニューウェイヴ・グループ、Rheingoldが1982年に発表したアルバム。電子音楽とロックを土台にしたNDW期の作品で、バンドの代表曲「Fan Fan Fanatisch」を含む時期の一枚として位置づけられる。前作の流れを受けつつ、当時の西ドイツのシーンらしい硬質さとポップさが同居した内容になっている。
バンドの背景
Rheingoldは、Bodo Staiger、Lothar Manteuffel、Brigitte Kunzeを中心にしたドイツのニューウェイヴ・グループ。デュッセルドルフ周辺の音楽シーンや同時代のドイツ勢の影響を受けて結成され、グループ名はオペラの題名に由来する。1980年の「Dreiklangsdimensionen」で知られ、シングル「Fluss」や「Fan Fan Fanatisch」も発表している。
サウンドの印象
このアルバムでは、シンセサイザーの輪郭がはっきりした電子的な質感と、ギターやリズム隊の直線的な動きが目立つ。録音は過度に厚くはなく、音の隙間を残した作りで、機械的なビートと冷たい空気感が前に出るタイプ。メロディは比較的明快で、ニューウェイヴらしい軽さと緊張感が同時に感じられる。
「Fan Fan Fanatisch」は、こうしたRheingoldの特徴が分かりやすく出る楽曲。反復するフレーズと鋭いリズムが印象に残り、映画『The Fan』のサウンドトラックにも使われた。作品全体でも、音の作りと曲の推進力が結びついた、当時のNDWらしい感触がある。
作品の位置づけ
『R.』は、Rheingoldにとって1980年のシングル群に続く時期のアルバムで、バンドの活動が最も注目された頃の記録として見られる一枚。後には英語版の楽曲も制作されたが、大きな広がりにはつながらず、グループは解散している。そのため、このアルバムはRheingoldの短い活動期を示す重要な作品と言えそうだ。
同時代とのつながり
1982年の西ドイツでは、NDWと呼ばれる動きが広がり、電子音、鋭いリズム、ドイツ語の歌詞を軸にしたバンドが次々と登場していた。Rheingoldもその流れの中にあり、デュッセルドルフ周辺の実験的な空気と、ポップ・ソングとしての分かりやすさを両方持っている。Kraftwerk以後のドイツ音楽の文脈を感じさせる一方で、よりバンド的な粗さも残る、そんな時期の記録。
トラックリスト
- A1 FanFanFanatisch (3:52)
- A2 Das Steht Dir Gut (4:34)
- A3 Augenblick (4:27)
- A4 F.A.N. (5:16)
- B1 Abfahrt (4:35)
- B2 Überblendung (2:21)
- B3 Stahlherz (11:26)
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Cabaret Voltaire – The Voice Of America (1981)

Cabaret Voltaire「The Voice Of America」
Cabaret Voltaireの「The Voice Of America」は、シェフィールド出身のこのグループが、ニュー・ウェイヴ、インダストリアル、実験電子音楽の要素を前面に出していた時期の作品です。1980年作として知られる一枚で、のちのエレクトロニック・ミュージックの流れを先取りするような、硬質で攻撃的な音作りが印象に残ります。
作品の輪郭
Cabaret Voltaireは、もともとダダ的なパフォーマンス性と音響実験を出発点にしたグループです。この作品でも、その背景ははっきりしています。ビートは機械的で、反復が強く、ドラムやベースの動きも単純なロックの枠には収まりません。ノイズや加工音、テープ処理を思わせる質感が前に出ていて、録音全体にもざらついた空気がまとわりついています。
音の組み立ては、ダンスミュージックの推進力と、インダストリアルらしい冷たさのあいだを行き来する感じです。メロディを強く押し出すというより、リズムの圧力、音の断片、空間の詰まり具合で聴かせるタイプの作り。シンセやエフェクトの使い方にも、実験音楽寄りの感触があります。
Cabaret Voltaireの中での位置づけ
Cabaret Voltaireは1970年代から活動し、初期の実験性を保ちながら、のちにはポップ、ダンス、テクノ、ダブ、ハウスへと接続していきます。その流れの中で「The Voice Of America」は、初期のインダストリアル・サウンドを代表する時期の作品として位置づけられる一枚です。後年のより開いたダンス志向の作品と比べると、こちらはまだ緊張感の強い時代性が濃い印象です。
同時代のイギリスのアンダーグラウンドでは、ポスト・パンク以降の実験性と、機械的なビートへの関心が少しずつ広がっていました。その文脈の中で、この作品は、ロックの編成を使いながら電子音楽的な感覚を押し出していく流れの一例として捉えやすいです。
日本盤としての見どころ
こちらは日本リリースの盤。Cabaret Voltaireの初期重要作として、国内でどう受け止められていたかを含めて、当時のエレクトロニック/インダストリアルの空気を感じられるタイトルです。荒い質感と反復の強さ、そして録音の冷えた雰囲気が、この時期のCabaret Voltaireらしさをよく示しています。
- アーティスト: Cabaret Voltaire
- タイトル: The Voice Of America
- オリジナル作品年: 1980年
- リリース国: Japan
- ジャンル: Electronic
- スタイル: New Wave, Industrial, Experimental
初期Cabaret Voltaireの、音の切り貼り感と機械的な推進力がまとまって見える作品です。
トラックリスト
- A1 The Voice Of America / Damage Is Done
- A2 Partially Submerged
- A3 Kneel The Boss
- A4 Premonition
- B1 This Is Entertainment
- B2 If The Shadows Could March? /1974
- B3 Stay Out Of It
- B4 Obsession
- B5 News From Nowhere
- B6 Messages Received
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Carl Lewis – Goin’ For The Gold (1984)

Carl Lewis『Goin’ For The Gold』について
Carl Lewisは、アメリカの陸上競技選手として知られる一方で、1980年代には音楽作品も残しているアーティストだ。『Goin’ For The Gold』は、その中でもElectronicとDiscoの要素を持つ一枚として位置づけられる作品で、アスリートとしての顔とはまた違う側面が見える。
サウンドの印象
この作品は、ディスコ由来の4つ打ち感と、電子的な質感が前に出るタイプのサウンドが中心になる。ビートははっきりしていて、リズムの推進力が軸になりやすい。音の輪郭は比較的くっきりした方向が想像しやすく、80年代らしいシンセ主体の空気感と、ダンスフロアを意識した組み立てが見えやすい。
録音の雰囲気としては、装飾を重ねるというより、リズムと電子音の配置で押していくタイプの印象が強い。ディスコの流れを引きつつ、当時のエレクトロニック寄りの質感へ寄せた作り、という見方がしやすい。
アーティストの中での位置づけ
Carl Lewisにとっては、陸上競技のイメージが強い中で発表された音楽作品のひとつになる。音楽活動そのものが例外的に見える存在で、競技者としてのキャリアと並ぶ周辺領域の記録、という受け止め方が自然だろう。
同時代の文脈
ElectronicとDiscoの組み合わせは、80年代のダンス・ミュージックの流れの中でよく見られる方向性だ。シンセサイザー、打ち込み、反復するビートを軸にした作りは、ディスコの華やかさを保ちながら、より機械的で直線的な感触へ寄っていく時期の空気とも重なる。
まとめ
『Goin’ For The Gold』は、アスリートとして知られるCarl Lewisが残した音楽作品のひとつで、ElectronicとDiscoの接点にある一枚だ。80年代らしいリズムの明快さと電子的な質感、その組み合わせが作品の輪郭を作っている。
トラックリスト
- A1 Goin’ For The Gold (Short/Singing)
- A2 Goin’ For The Gold (Short//Rap Version)
- B1 Goin’ For The Gold (Dance Mix)
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Pictures – Pictures (1983)

Pictures / Pictures(1983年)
Picturesは、UKのユニットPicturesによる同名作品。Freeezのサイド・プロジェクトとして位置づけられるグループで、メンバーはJohn RoccaとAndy Stennett。電子音楽を軸に、ジャズやロックの要素を重ねた作りになっている。
作品の輪郭
ジャンル表記としてはElectronic、Jazz、Rock、スタイルとしてはSynth-pop、Experimental、Prog Rock。こうした並びからも、シンセを前面に出した80年代初頭らしい質感と、型にはまりきらない構成志向が見えてくる。リズムは機械的な推進力を持ちながら、フレーズの運びにはジャズ寄りの柔らかさも感じられる組み合わせ。
録音の雰囲気は、過度に厚塗りではなく、音の輪郭を見せるタイプ。シンセの音色、リズムの反復、ギターや鍵盤の配置が、それぞれ独立しつつまとまっていく印象がある。派手さよりも、構成と音色の切り替えで聴かせるタイプの作品といえる。
時代背景と位置づけ
1983年という時期は、UKでシンセポップが広く浸透していた頃で、同時に実験性やプログレ的な組み立てを持つ作品もさまざまな形で残っていた。Picturesもその流れの中にあり、ダンス寄りの感覚と、アルバム単位での展開を意識した作りが同居している。
Freeez周辺の文脈を踏まえると、クラブ感覚や都会的なビートの延長線上にありながら、より自由な発想で音を組み立てたプロジェクトとして見えてくる。1980年代初頭のUKエレクトロニック作品の中でも、ジャンルの境目に置かれた一枚という印象。
ひとことで言うと
シンセポップの輪郭を持ちながら、ジャズやプログレの要素を差し込んだUK発の1983年作。整ったビートと実験的な構成が並ぶ、Picturesという名義の出発点として捉えやすい作品。
トラックリスト
- A1 Lullabye (4:12)
- A2 Nursery Rap (0:32)
- A3 Dancing Mind To Mind (5:00)
- A4 Skrahs (3:30)
- A5 Battle Of The Leaves (8:15)
- B1 Black Tiger (4:55)
- B2 Loneliness (5:02)
- B3 Child In A Sweet Shop (4:05)
- B4 Adventure Lost (4:40)
- B5 Voodoo (3:47)
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Madonna – Like A Virgin (1984)

Madonna / Like A Virgin(1984)
Madonnaの2作目として知られる「Like A Virgin」は、1984年に発表された作品。アメリカ出身のマドンナが、ポップとエレクトロニックを土台に、自身の存在感を大きく押し出していった時期のアルバムである。
作品の輪郭
サウンドは、シンセサイザー主体の明るい質感と、ダンスフロアを意識したビートが中心。電子的な音色が前に出つつも、メロディははっきりしていて、曲ごとの輪郭がつかみやすい作りになっている。軽快なリズム、乾いたドラム、少し硬質な録音感が、80年代ポップらしい空気をまとっている。
ジャンルと時代の流れ
ジャンル表記はElectronic、Pop。スタイルとしてはSynth-pop、Dance-popに位置づけられていて、当時のクラブ寄りポップスの流れが見える内容。80年代前半のポップスでは、シンセの音色や打ち込み的な感覚が広がっていたが、この作品もその文脈の中にある。
Madonnaにとっての位置づけ
Madonnaは1983年のデビュー作で注目を集め、その翌年にこの「Like A Virgin」を発表した。初期キャリアの中でも、より大きな知名度と存在感につながる重要な時期の作品として見られることが多い。アーティストとしての輪郭が、よりはっきり表れてくる段階でもある。
ひとこと
アメリカのポップスが80年代らしい電子音へ大きく寄っていく、その流れをわかりやすく映した一枚。タイトル曲を含むこの時期のMadonnaは、ダンス性とポップ性のバランスが前面に出た時代性のある記録、という印象。
トラックリスト
- A Like A Virgin (Extended Dance Remix) (6:07)
- B Stay (4:04)
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Yanni – Keys To Imagination (1986)

Yanni / Keys To Imagination(1986)
ギリシャ生まれのキーボーディスト、Yanniによる1986年の作品。Keys To Imaginationは、電子楽器を軸にしながら、クラシカルな旋律感とアンビエント寄りの広がりを重ねた一枚で、彼の音楽性をつかみやすいタイトルのひとつといえる内容だ。
作品の印象
全体としては、シンセサイザーのレイヤーを丁寧に積み上げた、なめらかな音の流れが中心。ビートが前に出る場面もあるが、基本はリズムで押すというより、音色の変化とフレーズの反復で空気を作っていくタイプ。打ち込みの輪郭は比較的はっきりしていて、そこに伸びのある鍵盤の響きが乗る構図。
音の質感は、80年代の電子音楽らしいクリアさと、空間を広く使う残響感が目立つ。メロディは分かりやすく、旋律の流れに重心が置かれている一方で、過度にドラマティックへ振れすぎないところに、この時期のモダン・クラシカルらしい落ち着きがある。
Yanniというアーティスト
YanniことYiannis Chryssomallisは、ギリシャのカラマタ出身。水泳選手としての経歴を持ち、その後にミネソタ大学で心理学を学び、独学でピアノと作曲に向かった人物として知られている。楽譜を読まず、自分なりの記譜法で作曲を進めたというプロフィールも、この音楽の独特な流れにつながっているように見える。
Keys To Imaginationは、そうした彼の鍵盤主体の作風が前面に出た初期の一作として捉えやすい。のちの大規模なシンフォニック路線を思わせる芽も見えつつ、まだ電子音楽の枠組みの中で輪郭を整えている印象。
同時代との関わり
1986年という時期は、ニューエイジ、アンビエント、モダン・クラシカルがそれぞれ独自の広がりを見せていた頃。そうした文脈の中で、この作品も、シンセサイザーを使いながら「雰囲気」だけに寄らず、旋律をしっかり残すタイプの作品として位置づけられそうだ。電子音楽の機材感と、クラシック的な構成意識の両方が見えるところが特徴。
要点
- アーティスト: Yanni
- タイトル: Keys To Imagination
- リリース年: 1986年
- ジャンル: Electronic
- スタイル: Modern Classical, Ambient
- 鍵盤主体の構成、シンセのレイヤー、広めの残響感
80年代中盤の電子音楽の空気をまといながら、メロディの輪郭を保った作品。Yanniの初期像を追ううえで、ひとつの基準になりそうなアルバムだ。
トラックリスト
- A1 North Shore (5:06)
- A2 Looking Glass (6:39)
- A3 Nostalgia (4:29)
- A4 Santorini (4:35)
- B1 Port Of Mystery (4:49)
- B2 Keys To Imagination (5:15)
- B3 Forgotten Yesterdays (3:29)
- B4 Forbidden Dreams (3:57)
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Visible Wind – Catharsis (1988)

Visible Wind『Catharsis』(1988)
カナダ・モントリオールのプログレッシブ・ロック・バンド、Visible Windによる1988年作。ElectronicとRockを土台にしながら、Prog RockとSpace Rockの要素を組み合わせた作品として位置づけられるアルバムである。バンドは1983年にStephen GeysensとLuc Hébertを中心に始動し、この時期にはLouis Roy、Claude Rainville、Philippe Woolgarらが加わっている。
作品の輪郭
『Catharsis』は、Visible Windの作品群の中でも初期の重要作にあたる。のちの作品でより大きく展開していくバンドの方向性を、1988年の時点で示している1枚という印象。Christopher Wellsがボーカルを担当しており、後年の編成とは異なる顔ぶれでまとまっている。
サウンドは、電子的な質感とロックの推進力が同居するタイプ。スペース・ロックらしい広がりを持ちながら、プログレッシブ・ロックらしい構成の変化も感じられる内容で、リズムは直線的に押し切るというより、曲ごとに展開を作りながら進む形が想像しやすい。録音の空気感も、80年代後半らしい輪郭のある響きが軸になっていそうな作品である。
バンドにおける位置づけ
Visible Windにとっては、1988年のラインナップで発表された代表的な初期作。プロフィール上でも、この年の活動がひとつの節目として扱われている。後年には編成の変化を経て別の作品へつながっていくが、『Catharsis』はその前段階として、バンドの個性を確認できるタイトルと言えそうだ。
同時代の文脈
1988年は、プログレッシブ・ロックが70年代的な大作志向だけでなく、80年代的な音作りや電子楽器の感触を取り込みながら続いていた時期でもある。『Catharsis』もその流れの中に置くと、シンセや電子的な処理とロック・バンドの演奏感を並べた、時代性のある一作として見えてくる。
基本情報
- アーティスト: Visible Wind
- タイトル: Catharsis
- リリース年: 1988
- リリース国: Canada
- ジャンル: Electronic, Rock
- スタイル: Prog Rock, Space Rock
トラックリスト
- A1 Blind Regards (3:27)
- A2 The False Truths (8:42)
- A3 Learning To Bloom (3:50)
- A4 Wedding Game (5:18)
- B1 Catharsis (7:32)
- B2 Wrong Time, Wrong Place (6:37)
- B3 Les Tortues Schizophrènes Marchent Vers Leur Destin / Les Trois Lacs (8:49)
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Martha And The Muffins – Trance And Dance (1980)

Martha And The Muffins / Trance And Dance
カナダのニューウェイヴ/アートポップ・シーンから登場したMartha And The Muffinsによる、1980年の作品。電子音を軸にしたサウンドで、シンセポップの流れの中に置ける1枚だ。トロントのQueen Street West周辺やオンタリオ・カレッジ・オブ・アートの空気を背景にしたバンドらしく、ポップさの中に少しひねりのある作りが印象的。
サウンドの印象
タイトルが示す通り、ダンス感覚のあるリズムと、シンセの冷たい質感が前面に出る。ビートは比較的はっきりしていて、打ち込み的な感触とバンド演奏の輪郭が重なる場面もある。録音全体は、80年代初期らしい乾いた響きと、少し硬質な音像が特徴的。メロディは親しみやすい一方で、音の重ね方にはアートロック寄りの感触も残る。
アーティストの位置づけ
Martha And The Muffinsは、1977年にトロントのパンク/ニューウェイヴ/アートポップの文脈から現れたバンドで、この時期の作品は、そうした初期の動きと80年代のシンセポップの接点にある。後年の「Echo Beach」で広く知られる前後の時期にあたるため、バンドの初期像をつかむうえでも重要な時期の記録といえる。
同時代とのつながり
1980年前後のカナダや英国では、ギター中心のニューウェイヴに加えて、シンセサイザーを使ったポップスが広がっていた。Martha And The Muffinsのこの時期の音も、その流れの中で、ダンスビートとポップ・ソングの形を組み合わせたものとして聞こえる。派手さよりも、音色の組み合わせやリズムの立て方に個性が出るタイプの作品。
- アーティスト: Martha And The Muffins
- タイトル: Trance And Dance
- リリース年: 1980年
- ジャンル: Electronic
- スタイル: Synth-pop
- 国: Japan盤
80年代初期のシンセポップらしい質感と、カナダ発バンドのアート寄りの視点が重なる1枚。音の輪郭がはっきりしていて、当時の空気がそのまま残るタイプの作品だ。
トラックリスト
- A1 Luna Park (3:11)
- A2 Suburban Dream (3:27)
- A3 Was Ezo (4:00)
- A4 Teddy The Dink (3:27)
- A5 Symptomatic Love (4:08)
- A6 Primal Weekend (5:10)
- B1 Halfway Through The Week (3:40)
- B2 Am I On? (3:24)
- B3 Motorbikin’ (2:55)
- B4 About Insomnia (3:10)
- B5 Be Blasé (2:39)
- B6 Trance And Dance (7:14)
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Theo Travis – The Tonefloat Sessions (2009)

Theo Travis『The Tonefloat Sessions』について
Theo Travisの『The Tonefloat Sessions』は、2009年にオランダでリリースされた電子音響系の作品。ブリティッシュ・サクソフォニスト/フルート奏者/キーボード奏者として知られるTheo Travisの活動の中でも、ドローンとアンビエントの要素が前面に出た一枚として見ておきたい内容だ。
サウンドの軸は、明確なビートで押すタイプというより、持続音や空気感の変化で聴かせる方向にある。音の輪郭は比較的なめらかで、空間の広がりや残響の感触が印象に残るタイプ。リズムが強く主張する場面は多くなさそうで、音の重なりや質感の移ろいに耳が向く作品といえる。
音の印象
ドローンらしい持続感と、アンビエントらしい静かな流れ。そのあいだを行き来するような作りが、この作品の基本線に見える。即効性のある展開よりも、じわじわと空間を満たしていく組み立てで、録音の雰囲気も含めて冷たすぎず、かといって過度に装飾的でもない、落ち着いた手触り。
電子音楽の文脈では、2000年代後半らしい、ミニマルな構成と音色の細部で聴かせる流れの中に置けそうな作品でもある。派手な変化より、持続と余白のバランスに重心があるあたりが、この時期のアンビエント/ドローン作品らしいところ。
アーティストの位置づけ
Theo Travisは1964年生まれのイギリス出身ミュージシャンで、サクソフォン、フルート、キーボードを扱う人物。『The Tonefloat Sessions』では、その多面的な演奏活動の中でも、管楽器の表現を電子的な音響環境に溶け込ませる方向が見えやすい。アコースティックな息づかいと電子音の持続が近い距離で共存する構図、そんな印象。
オランダ発のリリースという点でも、ヨーロッパ圏の実験音楽やアンビエントの流れに接続する作品として見えてくる。ジャンルの境界を大きく越えるというより、電子音、ドローン、アンビエントの要素を静かに束ねた一作、という捉え方がしっくりくる。
まとめ
- 2009年、オランダでリリースされたTheo Travisの作品
- Electronicを基調に、DroneとAmbientの要素が中心
- ビート主導ではなく、持続音と空間感で聴かせるタイプ
- 管楽器奏者としての個性が、電子音響の中ににじむ内容
- 2000年代後半のアンビエント/ドローン文脈に置きやすい一枚
トラックリスト
- A The Lamentation Returns
- B Melancholy Of The Masses
Pure Reason Revolution – Coming Up To Consciousness (2024)

Pure Reason Revolution「Coming Up To Consciousness」
Pure Reason Revolutionは、2003年にウェストミンスター大学で結成されたイギリスのロック・グループだ。電子的な質感とロック、さらにプログ寄りの構成を行き来してきたバンドで、この「Coming Up To Consciousness」は2024年の作品になる。オルタナティヴ・ロックとプログ・ロックの要素を軸にした、現行編成での到達点として見える1枚。
作品の位置づけ
バンドは2011年にいったん解散を発表し、その後2018年に再始動している。このアルバムは、再結成後の流れの中で出てきた新作で、Jon CourtneyとGreg Jongを中心に、Annicke Shireenが新たなボーカルとして参加し、Ravi Kesavaramがドラムを担っている。過去の編成とは少し違う形で、現在のPure Reason Revolutionを示す内容といえる。
サウンドの印象
ジャンル表記はElectronicとRock、スタイルはAlternative RockとProg Rock。そうした情報どおり、ギター主体のバンド感に、電子音のレイヤーや硬質な質感が重なるタイプの作品として捉えやすい。リズムはきっちりと組み立てられ、展開の切り替えもはっきりしていそうだ。録音の空気感も、ラフに鳴らすというより、音像を積み上げていく方向の作りに見える。
バンドの流れとのつながり
Pure Reason Revolutionは、初期からメロディと構築性の両方を意識したバンドとして知られてきた。2024年作の「Coming Up To Consciousness」も、その延長線上にある作品として整理できる。2026年にはデビュー作「The Dark Third」の20周年を記念するツアーも行われており、このバンドが長い時間の中で現在形を更新していることがわかる。
クレジットの整理
- アーティスト: Pure Reason Revolution
- タイトル: Coming Up To Consciousness
- リリース年: 2024
- アーティストの国: Europe
- リリース国: Europe
- ジャンル: Electronic, Rock
- スタイル: Alternative Rock, Prog Rock
Pure Reason Revolutionの現在地を、電子的な質感とロックの骨格の両方から確認できるタイトルだ。
Commodity Fetish – The Through Line / Iron Hop (1986)

Commodity Fetish「The Through Line / Iron Hop」について
Commodity Fetishによる「The Through Line / Iron Hop」は、1986年にUSでリリースされたElectronic作品。EBMの文脈に置くと、打ち込みの反復と硬質なビートを軸にした、当時らしい空気を持つレコードとして見えてくる。アーティスト情報は多くないが、作品単体では、1980年代半ばの電子音楽の持つ機械的な推進力が前面に出た内容として受け取れる。
サウンドの印象
EBMらしく、リズムの輪郭がはっきりした作りが想像されるタイトル。ドラムマシンの直進的な拍、シーケンスの繰り返し、金属的な質感の音色が軸になっているタイプの作品として語られやすい。録音の雰囲気も、華やかさよりは乾いた質感、近い距離で鳴るような硬さが印象に残る方向だろう。
「The Through Line」と「Iron Hop」という2つの曲名も、動きのあるライン感と、跳ねるようなリズム感をそれぞれ連想させる。タイトルの並びだけでも、メロディ主体というより、ビートと構造で押していく性格がうかがえる。
1986年という時代感
1986年は、インダストリアルやダンス寄りの電子音楽が少しずつ整理され、EBMの輪郭がより見えやすくなっていった時期。US発の作品として見ると、欧州のシーンで発展していたEBMの感触を受けつつ、当時の電子音楽のローカルな解釈が反映されている可能性がある。ジャンルの流れの中では、シンセ、反復、ストイックなグルーヴが重要になる時代の一枚。
作品の位置づけ
アーティストのプロフィールや関連情報が限られているため、ディスコグラフィーの中での位置づけを細かく追うのは難しい。ただ、1986年のUSリリースとして残っている点は、当時のElectronic/EBMの広がりを示す記録として見やすい。作品名とジャンルだけでも、80年代中盤の硬質な電子音楽の空気を切り取った一枚として整理できる。
Visitors – Visitors (1981)

Visitors『Visitors』(1981)
フランス系のプロジェクトとして知られる Visitors の1981年作。Space Rock と Disco を軸にした、電子音とロックの要素が交差する一枚だ。アーティスト名義は Visitors だが、アメリカでは法的事情から Force 5 の名も使われていた。
作品の輪郭
この時期の Visitors は、いわゆる宇宙的なテーマを前面に出したグループとして位置づけられている。プログレッシブ・ロック寄りの流れを持つ時期もありつつ、1981年のこの作品ではコズミックなディスコ感が強い印象。プロデュースには JPM と Claude Lemoine が関わっており、同時代のディスコ/スペース系サウンドの文脈に置きやすい内容だ。
サウンドの特徴
リズムは比較的はっきりしていて、4つ打ちに近い推進力が感じられる場面がある。そこにシンセサイザー、オルガン、モーグ、エレクトリック・ピアノ、さらにギターやベースが重なり、ロックの手触りを残しながらも電子音が前に出る構成だ。録音の質感は、きらきらしたシンセの層と、やや硬質なビートが目立つタイプ。ディスコの明快さと、スペースロックらしい浮遊感が同居している。
メンバー
- Donald Rieubon
- Jean-Pierre Massiera
- Bernard Lignac
- Gérard Brent
- André Guiglion
- Bernard Baverey
- Willy Cat
位置づけ
Visitors という名義は複数の時期に使われており、この1981年作はその中でもコズミック・ディスコ寄りの再編成にあたる。グループの流れを見ても、プログレ的な宇宙感からダンス寄りの電子音楽へと寄せた時期として見ることができる。フランスの電子ロック/ディスコの周辺で起きていた変化を、そのまま反映したような作品だ。
Larry Fast – Metropolitan Suite (1987)

Larry Fast『Metropolitan Suite』
1987年にカナダで登場した、Larry Fastによる電子音楽作品。シンセサイザーを軸に活動してきた作家らしく、ここでも電子音の質感そのものを前に出した内容として受け取れる。ジャンルはElectronic、スタイルはExperimentalとAmbient。タイトルからも、ひとつの都市的な景色を音で組み立てるような印象がある。
アーティストについて
Larry Fastは、シンセサイザー奏者・作曲家として知られるアメリカのミュージシャン。1975年から1987年にかけてのSynergy名義によるシンセ作品群でよく知られ、同時にPeter Gabriel、Foreigner、Nektar、Bonnie Tyler、Hall & Oatesなどの作品にも関わってきた。電子音楽の制作と、ポップ/ロック作品の現場、その両方にまたがる経歴が特徴的な人物だ。
『Metropolitan Suite』の位置づけ
1987年という時期は、FastにとってSynergy名義のシンセ作品群がひと区切りを迎える時期でもある。『Metropolitan Suite』は、その流れの中で出てきた作品として見ると、作家の電子音楽的な関心がまとまった形で表れているように感じられる。カナダでのリリースという点も含め、活動の広がりがうかがえる一枚。
サウンドの印象
この作品は、リズムを強く押し出すタイプというより、音の重なりや空気感で進むタイプとして捉えやすい。シンセの音色は輪郭がはっきりしつつ、空間に溶けるような響きも持ち、アンビエント寄りの静けさと実験的な構成が同居している印象。録音の雰囲気も、派手な装飾よりは、音そのものの配置や持続感を意識したものとして受け取れる。
同時代の文脈
1980年代後半の電子音楽では、シンセサイザーを使った作品がポップ寄りにも実験寄りにも広がっていた。『Metropolitan Suite』も、その時代の流れの中で、メロディーの分かりやすさより音響の組み立てを重視する方向に置かれる作品として見えてくる。AmbientやExperimentalの要素が前に出るあたりに、当時の電子音楽の幅広さが感じられる。