Deep Purple – The Book Of Taliesyn (1968)
Deep Purple『The Book Of Taliesyn』
Deep Purpleの2作目のスタジオ・アルバム。オリジナルは1968年にリリースされ、初期ディープ・パープルの姿を知るうえで外せない1枚だ。イングランド出身のハードロック・バンドとして知られる彼らだが、この時期はまだ後の重厚なハードロック一色ではなく、プログレッシブ・ロック寄りの要素も見える時代。『The Book Of Taliesyn』は、その移り変わりの途中にある作品として位置づけられる。
作品の位置づけ
本作は、Mark I編成による初期3作のひとつ。Ritchie Blackmoreのギター、Jon Lordのオルガン、Rod Evansのボーカル、Nick Simperのベース、Ian Paiceのドラムという布陣で作られている。のちにDeep Purpleが示す攻撃的なハードロックとは少し距離がありつつも、バンドの核になる演奏力はすでに感じられる内容だ。
1968年にアメリカとカナダで先行発売され、イギリス盤は1969年に登場した。日本盤は1979年リリース。アルバムとしては、初期Deep Purpleの国ごとの発売時期の違いも含めて、当時の流通のあり方が見える一枚でもある。
サウンドの特徴
全体の印象は、ハードロックの輪郭がまだはっきり固まる前の、オルガン主体のロック・サウンド。Jon Lordのキーボードが前に出て、ギターは鋭さよりも曲の流れを組み立てる役回りが強い。ロックの骨格に、プログレッシブ・ロックらしい展開や組曲的な感触が重なる場面もある。
音の質感は、後年の分厚いリフ主体のDeep Purpleと比べると、やや軽めで、曲ごとの色合いがはっきりしている。クラシック・ロックの枠で聴くと理解しやすく、同時代の実験性を持つ英国ロックの流れともつながる内容だ。
収録曲とエピソード
マスター情報では、シングルとして「Kentucky Woman」と「River Deep, Mountain High」が挙がっている。前者はNeil Diamondの楽曲、後者はフィル・スペクター作品として知られる曲で、Deep Purple流に再構成されたカバーとして収録されている。初期の彼らがオリジナル曲だけでなく、外部の楽曲を自分たちの編成で鳴らしていたことがわかる部分だ。
アルバム全体としては、オリジナル曲とカバーが並び、バンドの演奏力とアレンジの方向性を示す構成。のちの代表曲群が生まれる前段階の作品として、Mark I期の試行錯誤がそのまま残っている。
同時代との関係
この時期のDeep Purpleは、Led ZeppelinやBlack Sabbathと並んで語られることになる重いハードロックの完成形というより、英国ロックの中でプログレッシブな感覚とハードな演奏を接続していく段階にある。Jon Lordのオルガンを軸にしたアンサンブルは、のちのハードロック/ヘヴィメタルの先駆けとして見ることもできるし、同時代のプログレッシブ・ロックの文脈で捉えることもできる。
ひとことで言うと
『The Book Of Taliesyn』は、Deep Purpleがハードロック・バンドとして大きく飛躍する前の姿を記録した作品。オルガンの存在感、曲ごとの展開、カバー曲の扱いなど、初期ならではの要素がまとまっている。後年の代表作とは違う輪郭だが、バンドの出発点を知るには重要なアルバムだ。
トラックリスト
- A1 Listen, Learn, Read On
- A2 Wring That Neck
- A3 Kentucky Woman
- A4 Exposition – We Can Work It Out
- B1 Shield
- B2 Anthem
- B3 River Deep, Mountain High