The Box – Secrets Out (1983)
The Box『Secrets Out』(1983)について
『Secrets Out』は、イングランド・シェフィールド出身のThe Boxが1983年に発表した作品です。電子音楽とロックの要素を軸にしながら、新しい波の時代らしい硬質さと実験的な感触をあわせ持つ1枚として聴こえます。The Boxは、Clock DVAの初期メンバーだったPaul Widger、Charlie Collins、Roger Quailを中心に、Terry Toddらが加わって結成されたグループで、この作品はそうした流れの中で形になった初期の仕事にあたります。
作品の立ち位置
バンドは後にGo! DiscsからLPを2枚と複数のシングルを出し、その後はCabaret VoltaireのDoublevisionレーベルでも活動を続けています。そうした経歴を踏まえると、『Secrets Out』はThe Boxの出発点に近い時期の記録であり、のちの展開につながる輪郭がすでに見える作品として位置づけられるはずです。Peter Hopeが参加した編成で、メンバーはPeter Hope、Roger Quail、Charlie Collins、Paul Widger、Terry Todd。
音の印象
楽器の配置はかなり整理されていて、リズムの刻み、ギターの切れ味、電子的な質感が前に出るタイプの音像です。ロックの推進力を保ちながら、ニューウェーブ以降の乾いた空気感や、実験色のある組み立てが同居しているところが耳に残ります。シェフィールド周辺の同時代の流れ、たとえばCabaret VoltaireやClock DVAに通じる緊張感を感じさせる場面もあり、ただしそのまま同列に置けるわけではなく、よりバンドとしてのまとまりが見える印象です。
同時代の文脈
1983年という時期は、ポストパンクの余韻と電子音楽の方法が交差していた時代です。The Boxもその空気の中で、単純なロックでも純粋な電子音楽でもない形を取っています。音の作り方にしても、歌ものとしての分かりやすさより、リズムや質感の組み合わせを優先しているように聴こえる場面があり、この時代の実験的なニューウェーブ作品らしい手触りです。
ひとこと
『Secrets Out』は、The Boxが1980年代前半のシェフィールド・シーンの中でどんな位置にいたかを確かめやすい作品です。電子音、ロック、ニューウェーブ、実験性が一枚の中でどう接続されているか、その輪郭が見えやすいタイトルといえます。
トラックリスト
- A1 – Water Grows Teeth
- A2 – Skin, Sweat And Rain
- A3 – Something Beginning With ‘L’
- A4 – Strike
- A5 – The Hub
- A6 – Hang Your Hat On That!
- B1 – I Give Protection
- B2 – No Sly Moon
- B3 – Slip And Slant
- B4 – Old Style Drop Down
- B5 – Swing
- B6 – Out