Pentangle – Cruel Sister = クルーエル・シスター (1970)
Pentangle『Cruel Sister = クルーエル・シスター』について
Pentangleは、1960年代後半から活動したイギリスのフォーク・ロック・バンドだ。Jacqui McSheeの歌声、Bert JanschとJohn Renbournのギター、Danny Thompsonのダブルベース、Terry Coxのドラムスという編成で知られ、アコースティックな響きとロックのリズム感を同時に持つグループとして位置づけられる。
『Cruel Sister』は1970年に発表された作品で、Pentangleの初期の流れを代表する1枚として知られている。バンドの持ち味である、声と弦楽器の組み合わせ、リズムの細かな動き、民謡由来の素材を扱う感覚が、そのまま盤全体の骨格になっている。
作品の輪郭
タイトルの通り、伝承歌やバラッドの要素を軸にした作品として受け取られることが多い。Pentangleは同時代のブリティッシュ・フォークの中でも、伝統曲の扱い方に独自性があるグループで、Fairport Conventionのような英国フォーク・ロックの文脈と並べて語られることがある。
ただし、Pentangleの場合はロック寄りの勢いだけで押すタイプではなく、演奏の細部をじっくり聴かせる印象が強い。Jacqui McSheeのボーカルが前面に出る場面もあれば、JanschとRenbournのギターが絡み合う場面もあり、そこにThompsonのベースとCoxのドラムスが入ることで、曲の輪郭がはっきり立つ構成になっている。
聴きどころ
実際に聴くと、派手な展開よりも、音の置き方や間の取り方が印象に残るタイプの作品だ。アンサンブルは緻密だが、過剰に作り込んだ感じは薄く、楽器それぞれの音が見えやすい。フォークの素材感と、ロックのバンド演奏としてのまとまりが同居しているところが、この作品の核になっている。
代表曲という意味では、Pentangle全体で知られる楽曲群の中で語られることが多い曲名はいくつかあるが、この作品はアルバム単位での流れが重視される印象が強い。1曲ごとの強さより、通して聴いたときの組み立てに目が向く盤だ。
1980年盤としての位置づけ
今回の盤は1980年の日本盤だ。オリジナルの1970年盤からは時間が経っているが、Pentangleの初期作品を日本で改めて手に取れる形にしたリリースとして見られる。ジャケット表記や帯など、国内盤らしい体裁で流通した可能性がある点も、この時期の再発売盤らしいところだ。
オリジナル盤と比べた内容面の違いは、少なくとも作品情報上では確認しにくい。なので、ここでは1970年作としての『Cruel Sister』が、1980年に日本で再度聴かれる形になった盤、と捉えるのが自然だ。
Pentangleというバンドの中で
Pentangleは、フォークの伝統をそのまま保存するのではなく、バンド編成の中で再構成したグループだった。『Cruel Sister』は、その姿勢がよく見える作品のひとつだと思える。アコースティック主体でありながら、演奏は単なる伴奏に収まらず、各パートが対話するように進む。そこにこのバンドならではの強みがある。
1970年前後の英国フォーク・ロックを追うとき、Pentangleは外せない存在だ。その中でも『Cruel Sister』は、伝承曲の題材とバンド演奏の両方を、かなり明確に見せてくれるアルバムとして印象に残る。
トラックリスト
- A1 – A Maid That’s Deep In Love = 恋する女 (5:25)
- A2 – When I Was In My Prime = 若かりし頃 (2:54)
- A3 – Lord Franklin = ロード・フランクリン (3:22)
- A4 – Cruel Sister = クルーエル・シスター (6:58)
- B – Jack Orion = ジャック・オリオン (18:40)