Caravan – Caravan (1969)
Caravan『Caravan』について
Caravanの『Caravan』は、1969年にオリジナルが出た初期作品で、Canterbury系プログレッシブ・ロックの出発点を確認できる1枚。こちらは1982年に日本で出た盤で、ジャケットやクレジットからも、当時の国内流通盤としての位置づけが見えてくる。録音は1968年10月、ロンドンのAdvision Studios。バンドがまだ初期段階にあった時期の記録である。
バンドの成り立ちと、この作品の位置
Caravanは、Wilde Flowersの流れをくむメンバーを中心に1968年に結成された英国のバンド。Canterbury周辺の音楽シーンを代表する存在として知られ、のちの『In the Land of Grey and Pink』で高い評価を受けることになるが、この『Caravan』はその少し前、バンドの輪郭が固まりつつある時期の作品にあたる。
この時点では、後年の代表作で前面に出てくる組曲的な展開や、ジャズ寄りの複雑な構成というより、ロックを土台にブルースの要素を含んだ演奏が中心。Canterbury系の中でも、比較的ストレートなバンド・サウンドとして聴こえる一面がある。
収録曲と聴きどころ
本作では、長めの展開を持つ曲と、比較的コンパクトな曲が並び、初期Caravanらしい試行の幅が見える。代表曲としてまず挙がるのは「Place of My Own」「Magic Man」あたりで、バンド名義の初期レパートリーとしても重要な存在。特に「Place of My Own」は、のちのCaravanを知ってから聴くと、すでにメロディの運びにこのバンドらしさが出ていることが分かる。
演奏面では、デヴィッド・シンクレアのキーボード、パイ・ヘイスティングスのギターとヴォーカル、リチャード・シンクレアのベース、リチャード・コフランのドラムという初期の核がそのまま機能していて、バンドとしてのまとまりがはっきりしている。各パートがきっちり役割を持ち、派手に押し切るというより、曲の流れを崩さず進めていくタイプの演奏。
同時代との関係
1969年という時期を考えると、英国ではプログレッシブ・ロックの輪郭が見え始め、サイケデリック・ロックやブルース・ロックもまだ強く残っていた頃。Caravanはその交差点にいるバンドで、同じCanterbury系のSoft Machineと並べて語られることも多い。とはいえ、本作ではジャズ色の強い方向へ深く振り切る前段階として、ロック・バンドとしての輪郭がはっきりしている。
後年のCaravanを知っていると、この盤には「完成された代表作」よりも、バンドの初期衝動や方向性の確認といった意味合いが強く感じられる。そこがこの作品の面白いところでもある。
1982年日本盤について
この1982年の日本盤は、オリジナルが1969年という作品を国内向けにあらためて届けた盤。クレジットには「Manufactured by Polydor K. K., Japan」とあり、当時の日本盤らしい仕様になっている。オリジナル盤との内容差については、この情報からは特に別テイクや大きな改訂は読み取れず、作品としては初期Caravanの記録をそのまま伝えるものとして扱える。
まとめ
『Caravan』は、Canterbury系プログレの本流に入る前のCaravanを確認できる初期作。ブルース・ロックを土台にしつつ、のちのバンド・カラーにつながる要素がすでに見えている。代表作の影に隠れがちだが、バンドの始まりをたどるうえでは外せない1枚である。
トラックリスト
- A1 – Place Of My Own
- A2 – Ride
- A3 – Policeman
- A4 – Love Song With Flute
- A5 – Cecil Rons
- B1 – Magic Man
- B2 – Grandma`s Lawn
- B3 – Where But For Caravan World I