Booker T & The MG’s – Soul Dressing (1965)
Booker T & The MG’s『Soul Dressing』について
Booker T & The MG’sは、1960年代のメンフィス・ソウルを語るうえで外せないインストゥルメンタル・コンボだ。オルガンのBooker T. Jones、ギターのSteve Cropper、ベースのDonald “Duck” Dunn、ドラムのAl Jackson Jr. を中心に、Staxレーベルの屋台骨として数多くの録音を支えたグループでもある。そんな彼らが1965年に発表したのが『Soul Dressing』。バンド単独作としての存在感がはっきり出た時期のアルバムで、同時代のR&Bやソウルの文脈の中でも重要な一枚に置ける作品だ。
作品の位置づけ
『Soul Dressing』は、Stax LP 705として1965年にオリジナル発売されたアルバムの再発盤にあたる。Booker T & The MG’sは、Otis Redding、Wilson Pickett、Sam & Daveといったヴォーカリストの伴奏や制作でも知られるが、自身の名義でもヒット曲を持つ。グループとしての代表曲には「Green Onions」や「Hip Hug-Her」があり、『Soul Dressing』もそうした流れの中にあるアルバムだ。
この時期の彼らは、単なるバックバンドではなく、演奏そのものを作品として成立させるグループとして評価を広げていた。Staxらしいリズムの切れ味、オルガンとギターの受け渡し、ベースとドラムのまとまりが、そのままバンドの個性になっている。
聴きどころ
このアルバムの魅力は、派手な展開よりも、短いフレーズを積み重ねて曲を運ぶところにある。Booker T. Jonesのオルガンは前に出すぎず、Steve Cropperのギターは必要な音だけを置き、リズム隊が全体を引っ張る。いかにもStaxらしい、演奏の呼吸が見えるタイプのインストゥルメンタル・ソウルだ。
実際に聴くと、音数の少なさよりも、各パートの間合いが印象に残る。メロディを大きく歌い上げるというより、リフとグルーヴで聴かせる作りで、当時のソウル・インストの標準形のひとつとして機能している感じがある。ファンク寄りの推進力と、R&Bの骨格が同居しているところも面白い。
同時代とのつながり
Booker T & The MG’sは、同じStax周辺のアーティストたちと密接につながっていた。彼らの演奏は、Otis Reddingのようなシンガーの熱量を支える土台でもあり、逆に自分たちの作品では、その土台だけで一枚のアルバムを成立させている。Instrumental R&Bやソウルの流れの中では、The Metersのような後続のバンドを思い起こさせる要素もあるが、より前の時代のメンフィス録音らしい乾いた鳴りが特徴的だ。
再発盤としてのポイント
この盤は2000年のSundazed Musicによる再発。オリジナルの1965年盤を踏まえつつ、180グラム盤として出された仕様だ。クレジット上でもオリジナルの作品年は1965年、こちらの盤は2000年リリースとして整理される。Sundazedの再発盤らしく、当時のソウル作品をアナログで手に取りやすくした一枚といえる。
また、同系統の再発盤の中でも、この盤はSide BのランアウトにⓊが入るプレスである点が記されている。ジャケットには「Renew your faith in music.」というステッカーが付く仕様もある。
まとめ
『Soul Dressing』は、Booker T & The MG’sが“伴奏の名手”にとどまらず、グループとしてソウルを組み立てる力を示した作品のひとつだ。Staxの空気、メンフィスのリズム、インストゥルメンタル・ソウルの手触りが、そのまま入っているアルバム。
ヒット曲を持つバンドの代表作という見方もできるし、60年代ソウルの演奏美学を知るための一枚としても位置づけられる作品だ。
トラックリスト
- A1 – Soul Dressing (2:24)
- A2 – Tic-Tac-Toe (2:30)
- A3 – Big Train (2:30)
- A4 – Jellybread (2:27)
- A5 – Aw’ Mercy (2:34)
- A6 – Outrage (2:31)
- B1 – Night Owl Walk (3:12)
- B2 – Chinese Checkers (2:25)
- B3 – Home Grown (2:39)
- B4 – Mercy Mercy (2:32)
- B5 – Plum Nellie (2:03)
- B6 – Can’t Be Still (1:57)