Talk Talk – The Colour Of Spring (1986)

Talk Talk『The Colour Of Spring』
Talk Talkは、1981年にロンドンで結成されたイギリスのバンド。シンセポップとアートロックをまたぐ存在として知られ、1986年に発表された本作『The Colour Of Spring』は、彼らの作品の中でも大きな転換点にあたるアルバムだ。
それまでのシンセポップ寄りの作風から少し距離を取り、演奏や音の重なりをより前面に出した構成。リズムはきっちりと組まれつつも、音の隙間や余白が印象に残る。キーボード、ベース、ドラムの配置も含めて、整ったポップの流れの中に、実験的な手つきが入っている感じがある。
サウンドの特徴
この時期のTalk Talkらしく、音数を詰め込みすぎない作りが目立つ。打ち込み的な質感よりも、生楽器の鳴りや録音の空気感が前に出る場面が多い。曲によっては静かな立ち上がりから徐々に厚みを増していく流れもあり、アルバム全体としてもメリハリのある構成になっている。
Mark Hollisの歌は、メロディをはっきり追いながらも、感情を過剰に押し出しすぎないところがある。そこにPaul Webbのベース、Lee Harrisのドラム、そしてSimon Brennerのキーボードが重なり、バンドとしてのまとまりがよく出ている。
作品の位置づけ
『The Colour Of Spring』は、Talk Talkがより実験的な方向へ進んでいく流れの入口にあるアルバムとして語られることが多い。1980年代前半のUKポップ/シンセポップの文脈から出発しながら、この作品ではアートロック寄りの感触がはっきりしてくる。後年の評価が高い終盤2作につながる前段階としても重要な一枚といえる。
また、制作面ではSimon Brennerが録音に参加し、続く時期のバンドの音作りにも関わっていく。編成の上では4人だが、スタジオ作品ではその役割がかなり大きい時期でもある。
同時代とのつながり
1986年というと、UKではシンセポップが広く定着していた一方で、バンド主体の音作りへ戻る動きや、より内省的なアレンジを取り入れる流れも見えていた時期。本作はそうした空気の中で、ポップソングの形を保ちながら音の組み立てを少しずつずらしていくアルバムとして捉えやすい。
結果として『The Colour Of Spring』は、Talk Talkのディスコグラフィーの中でも、ポップと実験の境目に置かれた作品として印象に残る。1986年のUKロック/ポップの流れの中で見ても、静かに存在感を増していくタイプのアルバムだ。
トラックリスト
- A1 Happiness Is Easy
- A2 I Don’t Believe In You
- A3 Life’s What You Make It
- A4 April 5th
- B1 Living In Another World
- B2 Give It Up
- B3 Chameleon Day
- B4 Time It’s Time