Diana Ross – Ross (1983)
Diana Ross『Ross』(1983)について
Diana Rossの『Ross』は、1983年にリリースされた14作目のソロ・スタジオ・アルバムである。録音は1982年から1983年にかけて行われ、USでは1983年6月9日にMotownから発売された。ソロ転向後のDiana Rossが、80年代前半のポップ/R&B路線をそのまま反映した一枚として位置づけられる作品だ。
作品の輪郭
この時期のDiana Rossは、60年代のThe Supremesでの成功を経て、ソロ・アーティストとして長く活動を続けていた。『Ross』は、そのソロ期の中でも1980年代のシンセサイザー主体のサウンドを前面に出したアルバムで、Electronic、Funk / Soul、Popの要素を持ち、スタイルとしてはSynth-pop、Soul、Discoにまたがる内容である。
タイトルがそのまま自身の名前である点も印象的で、アーティスト名を冠した作品らしく、当時のDiana Rossの現在形を示す役割を持つアルバムと見られる。Motown期のディスコ・イメージを引き継ぎつつ、80年代らしい打ち込みやシンセの質感が加わった時代性のある仕上がりである。
サウンドと聴きどころ
このアルバムでは、リズムの輪郭がはっきりしたトラックと、艶のある歌声の組み合わせが軸になる。Diana Rossのボーカルは、前に出すぎず、それでも曲の中心を外さないタイプで、ソウルやダンス寄りの曲でもポップ・シンガーとしての明瞭さが保たれている。
1983年という年を考えると、同時代にはMichael JacksonやWhitney Houstonの大ブレイク前夜の空気があり、R&Bとポップの境界がより近づいていた。『Ross』もその流れの中にある作品で、ディスコ以後のダンス・ミュージックとポップ・アルバムの接点に置かれる一枚といえる。
作品の位置づけ
Diana Rossのキャリアの中では、ソロ・アルバムを継続して重ねていた時期の作品であり、80年代の音像へ自然に移行していく過程を示すアルバムでもある。1970年代のディスコ時代に強い印象を残した彼女が、その後の時代にどう対応していたかを知るうえで、ひとつの手がかりになる。
なお、この盤はSterling SoundでTed Jensenによってマスタリングされている。フロント・カバーにはエンボス加工のタイトル表記がある点も、物理メディアとしての存在感を持たせる要素である。
ヒット曲・代表曲について
『Ross』については、アルバム全体の流れを追う聴き方がしやすい作品で、シングル単位の強い記憶だけで語るタイプというより、80年代初頭のDiana Ross像をまとめて示す内容として捉えやすい。ソロ・キャリアの中で、ダンス・ポップとソウルの接点を確認できるアルバムである。
まとめ
『Ross』は、Diana Rossのソロ・キャリアの中で1983年という時代の空気をはっきり映した作品である。Motownの伝統を背にしつつ、当時のポップ/R&Bの音作りへ寄せたアルバムとして、1980年代前半の彼女の立ち位置を知るには見やすい一枚だ。
トラックリスト
- A1 – That’s How You Start Over (4:09)
- A2 – Love Will Make It Right (4:44)
- A3 – You Do It (4:31)
- A4 – Pieces Of Ice (4:54)
- B1 – Let’s Go Up (4:01)
- B2 – Love Or Loneliness (4:17)
- B3 – Up Front (3:56)
- B4 – Girls (3:58)