Camel – Nude (1981)
Camel『Nude』について
Camelの『Nude』は、1981年に発表された8作目のスタジオ・アルバムで、同年のプログレッシブ・ロックの流れの中でも、物語性を強く意識した作品として知られている。Camelは1971年結成のイングリッシュ・プログレッシブ・ロック・バンドで、初期からギターとフルートを担うAndrew Latimerを軸に、緻密なアンサンブルとメロディの明確さを持つ作風を築いてきた。
この作品は、実在の日本兵として戦後も長くジャングルに残った横井庄一のエピソードを下敷きにしたコンセプト作として語られることが多い。孤立、帰還、記憶といった要素を、曲ごとの流れでたどる構成になっている点が大きい。
作品の位置づけ
Camelは1970年代前半にデビューし、『The Snow Goose』で代表的な評価を得たバンドだが、『Nude』はその後の流れにある一枚として、よりストーリー性のある組み立てが目立つ作品。1970年代後半のメンバー変動を経たのちのアルバムで、演奏面ではLatimerを中心に、Richard Sinclair、Mel Collins、Kit Watkins、Jan Schelhaas、Colin Bassらが参加している。バンドの持つ叙情性と、曲の展開を重視する姿勢が、そのままアルバム全体に出ている印象だ。
Camelの中では、派手なヒット曲で押すタイプの作品というより、アルバム全体の流れで聴かれる性格が強い。代表曲としては、序盤の「City Life」や、組曲的に展開する後半の流れが挙げられることが多い。
曲の流れと聴きどころ
『Nude』は短い曲をつないで物語を進める構成で、各曲が場面転換のように機能している。冒頭から、静かな導入とバンドらしいリフ、キーボードのレイヤーが順に重なっていく。派手に押し切るというより、場面ごとの温度を変えながら進む作りだ。
実際に聴くと、Latimerのギターは音数を詰め込みすぎず、旋律を前に出す場面が多い。Mel Collinsのサックスやフルートも、単なる色付けではなく、場面の輪郭をはっきりさせる役割を持っている。Camelらしい歌心は保ちながら、作品全体ではやや硬質な緊張感もある。
後半に向かうにつれて、断片的だった要素がまとまり、物語の終着点へ向かう流れになる。組曲的な進行が好きな人には、曲間のつながりそのものが聴きどころになりやすいアルバムだ。
同時代の文脈
1981年という時期のプログレは、70年代前半の大作志向とは少し違う形で残っていた。Camelもその中で、GenesisやYesのような大きな成功路線とは別に、演奏の丁寧さとコンセプトの明確さを軸に作品を積み重ねている。『Nude』は、その中でもストーリーを前面に出した一枚として位置づけやすい。
同系統の英国プログレを聴く人なら、叙情面ではGenesis、曲のまとまりではPink Floyd、アンサンブルの細やかさではYesやCaravan周辺を連想するかもしれない。ただしCamelは、そうした比較の中でも、ギターを中心にした旋律の運びと、過度に技巧を見せつけない進め方が特徴になっている。
1982年盤について
今回の盤は日本盤で、盤としてのリリースは1982年。作品そのものは1981年のオリジナル作として扱われる。日本盤では、輸入盤を追いかけて入手した人にとって、国内で手に取りやすい形になった一枚だったはずだ。内容はオリジナル作に基づくため、作品の骨格は1981年盤と同じとみてよい。
まとめ
『Nude』は、Camelの持つメロディ重視のプログレ感と、コンセプト・アルバムとしてのまとまりがはっきり出た作品だ。単曲での派手さより、アルバム全体で一つの物語を追う作り。Camelのディスコグラフィの中では、バンドの叙情性と構成力がよく見える位置にある一枚といえそうだ。
トラックリスト
- A1 – City Life
- A2 – Nude
- A3 – Drafted
- A4 – Docks
- A5 – Beached
- A6 – Landscapes
- B1 – Changing Places
- B2 – Pomp & Circumstance
- B3 – Please Come Home
- B4 – Reflections
- B5 – Captured
- B6 – The Homecoming
- B7 – Lies
- B8 – The Last Farewell: The Birthday Cake / Nude’s Return