Marillion – With Friends From The Orchestra (2019)
Marillion『With Friends From The Orchestra』
Marillionの『With Friends From The Orchestra』は、2019年に登場した作品。イングランド・バッキンガムシャー州エイルズベリーで1979年に結成され、80年代以降継続して録音を重ねてきたこのバンドらしい、プログレッシブ・ロックの流れをくむ一枚だ。
Marillionは、初期のFish時代と、1989年以降のSteve Hogarth時代で印象が分かれることでも知られる。長い活動の中で編成を変えながらも、Steve Rotheryのギター、Mark Kellyのキーボード、Pete Trewavasのベース、Ian Mosleyのドラムを軸に、演奏の細部を積み上げてきたバンドという見方がしやすい。
作品の輪郭
タイトルの通り、本作はオーケストラとの共演を前提にした内容。バンドの楽曲を、弦楽器を含む編成で再構成したアルバムとして位置づけられる。ロックバンドの骨格に、室内楽的な響きが重なる構成で、音の密度や空間の使い方が普段のバンド編成とは少し違って聴こえる作品だ。
Marillionの持ち味である長めの構成、メロディの流れ、楽器同士の受け渡しが、オーケストラのレイヤーによって整理される場面がある一方、Steve Hogarthの歌唱は前面に残る。プログレッシブ・ロックの文脈にありながら、クラシック寄りのアレンジとロックの演奏が並ぶ点が、この作品の特徴といえそうだ。
サウンドの印象
音像は、バンド単体の演奏よりも広がりを持ちやすい。ギターやキーボードの線に、ストリングスの持続音や厚みが重なり、曲によっては元のロック色がやわらぐ場面もある。反対に、リズム隊の動きがはっきり出る箇所では、オーケストラの存在が曲の輪郭を強める方向に働いている。
Marillionらしい緻密なアレンジ志向と、オーケストラ編成の整った響きが交差する内容。80年代の英国プログレの流れを引きつつ、同時代の大編成アレンジ作品とも比較されやすいタイプのアルバムだ。
バンドの中での位置づけ
2019年時点のMarillionは、長いキャリアの中で既に独自の活動基盤を築いていた時期。本作は、その蓄積された楽曲を別の角度から見せる試みとして捉えやすい。新曲中心の通常作とは違い、既存曲の再解釈に重心があるため、バンドのカタログを別の編成で見直す作品という印象が強い。
関連する文脈
プログレッシブ・ロックの中でも、MarillionはGenesisやYesといった英国プログレの系譜と並べられることが多い。そこに、80年代以降のネオ・プログレ的な感触や、Steve Hogarth期以降の歌ものとしての比重が加わっている。『With Friends From The Orchestra』は、その両方を保ちながら、オーケストラ編成で再提示した作品として見ると流れがつかみやすい。
まとめ
『With Friends From The Orchestra』は、Marillionの楽曲をオーケストラとともに組み替えた2019年作。プログレッシブ・ロックの構成感、ロックバンドとしての演奏、そして弦楽器の厚みが重なる一枚だ。バンドの歴史の中では、既存曲の別解釈を示す位置づけの作品として整理できる。
トラックリスト
- A1 Estonia
- A2 A Collection
- A3 Fantastic Place
- A4 Beyond You
- B1 This Strange Engine
- B2 The Hollow Man
- C1 The Sky Above The Rain
- C2 Seasons End
- D1 Ocean Cloud