String Driven Thing – The Machine That Cried (1973)
String Driven Thing『The Machine That Cried』(1973)
String Driven Thingは、1967年にグラスゴーで結成されたバンドで、フォーク色とプログレッシブ・ロックの要素を行き来しながら活動してきたグループだ。中心人物はChris Adamsで、編成を変えながらも彼を軸に続いていく。『The Machine That Cried』は1973年に登場した作品で、バンドの初期ディスコグラフィーの中でも、グループの色がはっきり出た時期のアルバムとして位置づけられる。
作品の位置づけ
1973年という時期は、英国のロックがフォーク、プログレ、ハードな演奏感をそれぞれ行き来していた頃だ。String Driven Thingもその流れの中にあり、このアルバムではロックの推進力と、曲ごとの展開を重視する作りが見えてくる。バンド名が示す通り、弦楽器のうねりや推進感が前に出るタイプの音像で、同時代の英国プログレ周辺の空気を感じさせる内容だ。
メンバーにはChris Adams、Kim Beacon、Graham Smith、Colin Wilson、Colin Fairley、Alun Roberts、James Exell、Bill Hatje、Pauline Adams、Billy Fairley、John F. Mannionらの名前が見える。編成の変動が多いバンドなので、作品ごとに演奏の輪郭が変わるのもこのグループの特徴といえそうだ。
録音と盤の情報
レコーディングは1973年夏、ロンドンのIBC StudiosとAdvision Studiosで行われている。どちらも英国ロック史ではおなじみのスタジオで、この時代らしい空気をまとった録音環境だ。日本盤はNippon Phonogram Co. Ltd. Tokyo製造で、当時の国内流通盤として出ている。
サウンドの印象
実際に聴くと、曲の進み方は比較的ストレートなロックの感触を持ちながら、随所で展開や緊張感の置き方にプログレ寄りの発想が見える。派手に技巧を誇るというより、曲の流れの中で音を積み上げていくタイプの印象だ。フォーク由来の響きと、70年代前半の英国ロックらしい厚みが同居している。
Kim Beaconのヴォーカルが入ることで、演奏の輪郭が少し柔らかくなる場面もあり、Chris Adamsを中心としたバンドの骨格に歌の表情が乗る構図。Graham Smithのヴァイオリンもこのバンドの個性としてよく知られ、ロック・バンドの中で弦の音が前に出る独特の手触りになっている。
同時代とのつながり
同時代の英国では、フォークの感触を持つプログレ勢や、ヴァイオリンを取り入れたロック・バンドがいくつか活動していた。String Driven Thingもその流れの中で語られることが多く、英国のアンダーグラウンドなロック文脈に置いて見るとわかりやすい。派手な商業性より、バンドの演奏感と曲作りで聴かせるタイプの作品だ。
関連するトピック
String Driven Thingはその後も形を変えながら活動を続け、1990年代後半から2000年代初頭にはString Driven名義で活動した時期もあった。現在は再びString Driven Thingの名義に戻っている。メンバーではベーシストのColin Wilsonが2013年に、創設者でリードシンガーのChris Adamsが2016年10月7日に亡くなっている。
まとめ
『The Machine That Cried』は、1973年の英国ロックの空気をそのまま閉じ込めたような一枚というより、String Driven Thingというバンドの編成感、弦の響き、曲の運び方がまとまった作品だ。プログレッシブ・ロックの枠組みに触れながらも、フォーク由来の質感を残したバンドの個性が読み取りやすいアルバムである。
トラックリスト
- A1 – Heartfeeder
- A2 – To See You
- A3 – Night Club
- A4 – Sold Down The River
- B1 – Two Timin’ Rama
- B2 – Travelling
- B3 – People On The Street
- B4 – The House
- B5 – The Machine That Cried
- B6 – Going Down