Wapassou – Wapassou (1973)
Wapassou『Wapassou』について
Wapassouのデビュー作『Wapassou』は、1973年にフランスで登場した作品だ。ストラスブールを拠点にしたこのグループは、1970年代初頭に結成されたシンフォニック/プログレッシブ・ロック・バンドとして知られている。初期の作品はサイケデリック色が強く、その後はギター、ヴァイオリン、キーボード、女性ヴォーカルを軸にした長尺の組曲形式へと進んでいくが、このアルバムはその出発点にあたる一枚になる。
作品の位置づけ
このアルバムは、Wapassouの最初期の姿を示す作品として見ると分かりやすい。後年の作品で見られるような、クラシック由来の構成感や組曲的な展開に向かう前段階であり、より心理的な揺らぎや、当時の欧州サイケデリック・ロックに近い感触が前に出ている。バンドのプロフィールでも、このデビューLPは「よりサイケデリック寄り」とされており、のちの独自路線とは少し違う入口になっている。
同時代のフランス・ロックの文脈で見ると、後のWapassouは長い曲構成、室内楽的な楽器編成、女性ヴォーカルの存在などから、一般的なハードロック系とも、単純なプログレ・バンドとも少し異なる位置にあった。比較対象としては、同じフランスのアンダーグラウンド寄りのサイケ/プログレ勢や、叙情性と構成美を重視する欧州系の作品群が思い浮かぶ。
サウンドの特徴
このデビュー作の情報から読み取れる範囲では、後年の大作志向よりも、まずはバンドの輪郭を作る段階の演奏が中心と見られる。Wapassouはのちに、ギター、ヴァイオリン、キーボード、女性の声を組み合わせた独特の編成で知られるが、その基礎がすでにこの時点で形になっていたはずだ。特に、フランスのプログレでも珍しい「打楽器の少なさ」がバンドの個性として語られることが多く、その特徴が後の作品に通じている。
実際に聴いた印象として語られやすいのは、音の厚みよりも、旋律の流れと楽器同士の受け渡しが前面に出るタイプの進行だという点だ。ロックの推進力だけで押し切るのではなく、フレーズの反復や展開で曲を組み立てる感触がある。
1987年盤について
今回の盤は1987年のフランス盤で、Wotre Music向けのOméga Studio再発盤にあたる。スリーヴには「Made in France – Imp. S.N.A.」、レーベル面には「Made in France」と記されている。オリジナル1973年盤と比べると、作品そのものは同じデビュー作でも、流通経路や盤の製造時期が異なる再発盤という見方になる。
再発盤であるため、1973年当時の初出盤をそのまま追う資料というよりは、後年に改めて入手しやすくした版として扱うのが自然だ。Wapassouのようにオリジナル盤が流通しにくい作品では、この1987年盤が実際の聴取環境において重要な役割を持つこともある。
参加メンバー
クレジットには Freddy Brua、Jacques Lichti、Karin Nickerl、Jean-Pierre Schall、Jean-Michel Biger、Geneviève Moerlen、Jean-Jacques Bacquet、Monique Fizelson、Charly Kolb、Francis Gentel、Christine Maillard、Michel Lacour、Dominique Kihm、Dominique Metz の名前が並ぶ。Wapassouは固定のロック・バンドというより、編成の広がりを持ったアンサンブルとして捉えたほうが近い。
まとめ
『Wapassou』は、フランスのストラスブールから現れたWapassouの出発点を記録したアルバムだ。のちの組曲志向、室内楽的な響き、女性ヴォーカルを含む独自のプログレ表現へ向かう前の、サイケデリックな輪郭を持つ初期像がここにある。1973年のオリジナル盤と、1987年のWotre Music向け再発盤という時間差も、この作品の聴かれ方を考えるうえでひとつのポイントになる。
トラックリスト
- A1 – Mélopée (4:02)
- A2 – Rein (10:38)
- A3 – Musillusion (Wapassou) (4:00)
- B1 – Châtiment (6:54)
- B2 – Trip (13:41)