Jeff Tyzik – The Farthest Corner Of My Mind (1986)
Jeff Tyzik『The Farthest Corner Of My Mind』について
『The Farthest Corner Of My Mind』は、トランペット奏者であり指揮者でもあるJeff Tyzikが1986年に発表したジャズ作品だ。リリース情報では、Jeff Tyzik名義でのアルバム『Prophecy』(1981年)と『Radiance』(1982年)からの楽曲をまとめたコンピレーションとして扱われている。Tyzikの初期活動を振り返るうえで、ひとつのまとまりとして聴けるタイトルになっている。
Jeff Tyzikという人物
Jeff Tyzikはニューヨーク州ハイドパーク生まれ。子どものころにドラム&ビューグル・コーを見たことをきっかけに音楽へ強く惹かれ、コルネットを学び始めたという経歴を持つ。1979年に姓の綴りをTkazyikからTyzikへ変更している。
Eastman School of Musicで学び、そこでRay WrightやChuck Mangioneといった人物に出会ったことが、その後の活動の土台になったようだ。特にMangioneのもとでの経験は大きく、70年代には彼のジャズ・オーケストラで活動している。クラシックの訓練を受けた奏者が、ジャズやポップス、ロックの要素をオーケストラに持ち込む方向へ進んだ、という本人の流れが見える。
作品の位置づけ
このアルバムは、1981年作『Prophecy』と1982年作『Radiance』の楽曲を集めた内容だ。つまり、1986年時点での新録音というより、Tyzikの初期2作をまとめて聴ける編集盤としての性格が強い。アーティストの初期の音楽性を確認する資料として位置づけられる作品と言えそうだ。
Jeff Tyzikはその後、Doc Severinsenとの仕事でも知られるようになるが、本作はその少し前、彼がジャズ寄りの語法でオーケストラ的な発想を試みていた時期の記録として見ると分かりやすい。クラシックの訓練を背景にしながら、ジャズ・オーケストラの実地経験を吸収していった流れが、そのまま初期作品に反映されている印象だ。
同時代の文脈
1980年代前半のアメリカでは、ジャズとポップス、そしてオーケストラ編成を接続する動きがいくつも見られた。Jeff Tyzikもその文脈の中にいる人物で、Chuck MangioneやDoc Severinsenの周辺にある、聴きやすさと演奏技術の両方を重視する流れと近い。いわゆる純粋なコンテンポラリー・ジャズというより、ビッグバンド的な推進力やテレビ・ショー由来の華やかさを含んだ世界観が想像しやすい。
内容について
収録曲の個別情報はここでは多く示されていないが、リリースノート上は『Prophecy』『Radiance』からの編集盤であることが重要だ。アルバム単体の新規コンセプト作品というより、初期2作の流れを通してTyzikの作風を追うための1枚として理解しやすい。
彼の経歴をたどると、演奏者としてだけでなく、編曲や制作の現場でも活動していたことが分かる。そうした背景を踏まえると、この作品にも、単なるソロ・アルバム以上に、アンサンブル全体の設計を意識した視点がにじんでいる可能性は高い。
まとめ
『The Farthest Corner Of My Mind』は、Jeff Tyzikの1981年『Prophecy』、1982年『Radiance』をまとめた1986年の作品だ。トランペット奏者、指揮者、アレンジャーとしてのTyzikの初期像をたどるうえで、まず押さえておきたいタイトルのひとつ。ジャズを軸にしながら、オーケストラ的な発想へ広がっていく途中段階の記録として見ると、その意味がつかみやすい。
トラックリスト
- A1 – Prophecy (5:43)
- A2 – Florentine (4:44)
- A3 – Birth Day (5:11)
- A4 – Inner Space (4:58)
- A5 – Far Away (4:05)
- B1 – Notte Roma (Night In Rome) (3:59)
- B2 – The Farthest Corner Of My Mind (6:27)
- B3 – Sweet Nothings (5:08)
- B4 – Circe (The Enchantress) (7:14)
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The Cocoon – While The Recording Engineer Sleeps (1989)
The Cocoon『While The Recording Engineer Sleeps』について
The Cocoonはドイツのグループで、Gunter Hampel、Matthias Arfmann、Rüdiger Klose、Jürgen Gleueの4人による作品としてこの『While The Recording Engineer Sleeps』を残している。1985年にStudio Harderbergで録音されており、フリー・ジャズとサイケデリック・ロックの接点にある内容として位置づけられる1枚だ。
タイトル曲のように、録音現場の気配をそのまま作品名に取り込んだ作りも印象に残る。特に“Teenage Dope Slaves”はIdiot Studioで録音されており、ほかの曲とは別の場所で収録されたことが記されている。こうした記録からも、まとまりのあるスタジオ作品というより、セッションの流れや場の空気をそのまま閉じ込めたタイプのアルバムとして見えてくる。
作品の位置づけ
オリジナルの制作時期は1985年、盤としてのリリースは2015年。つまり、1980年代半ばの音を後年に聴ける形で残した作品と受け取れる。The Cocoonのキャリア全体の中では、当時のドイツの実験音楽、即興演奏、ロック的なエネルギーが交わる地点を示す記録として扱える。
Gunter Hampelはジャズ/フリー・インプロヴィゼーションの文脈で知られる人物で、この作品でもその流れが土台にある。一方で、ロック寄りの粗い推進力や反復の感触も入り込んでいて、単純なジャズ作品とも、ロック作品とも言い切りにくい構成になっている。
同時代の文脈
1980年代のドイツでは、ジャズの即興性とロックの身体性をまたぐ試みがいくつも生まれていた。The Cocoonもその延長線上で聴ける。比較対象としては、フリー・ジャズの開放感と、クラウトロック以降の反復感、さらにサイケデリックな音の伸びを併せ持つ作品群が思い浮かぶ。とはいえ、このアルバムはそうした要素を整然と並べるのではなく、録音の現場感を残したまま進んでいく印象が強い。
聴きどころ
この盤は、曲の完成度を前に出すというより、演奏の呼吸や音のぶつかり方を追う楽しさがあるタイプだ。ドラム、管楽器、ギター、ベースの距離感が近く、即興の流れがそのまま記録されている感じがある。とくに“Teenage Dope Slaves”は、タイトルの強さもあって、アルバムの中でも少し異なる輪郭を持つ曲として受け取れそうだ。
再発盤が2015年に出ているため、現在この作品に触れる場合はその盤で聴くことになる。音源そのものは1985年録音なので、後年の再発であっても、作品の核は80年代半ばのセッションにある。録音年と盤の発売年が異なる点は、このアルバムを見るうえで押さえておきたいところだ。
まとめ
『While The Recording Engineer Sleeps』は、ドイツのフリー・ジャズとサイケデリック・ロックの交差点に置かれる作品。4人編成の演奏、1985年録音という時代性、そして録音場所をまたいだ収録という事実が、そのまま作品の輪郭になっている。派手なヒット曲を狙うアルバムではなく、セッションの記録として読むと見えやすい1枚だ。
トラックリスト
- A1 – Ventilator Changes Into Airplane (5:23)
- A2 – I Can See Voices (5:50)
- A3 – Bag Lady (5:15)
- A4 – Seems Like I Can’t LSD Your Mind (3:57)
- B1 – The Ritual Of The Boogie Transformation (7:56)
- B2 – While The Recording Engineer Sleeps (5:27)
- B3 – The Shadow Man (4:52)
- B4 – Teenage Dope Slaves (6:55)
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Mzylkypop – Kiedy Wilki Zawyja? (2018)
Mzylkypop『Kiedy Wilki Zawyja?』について
Mzylkypopによる『Kiedy Wilki Zawyja?』は、2018年に発表された作品で、UKのアーティストMichael Wardの名義による録音だ。2019年にはアナログ盤としてリリースされており、赤盤、ゲートフォールド仕様という物理フォーマット面でも存在感のある一枚になっている。
作品の位置づけ
アーティスト情報は多くないが、Bandcampで公開されていることからも、音源単位で作品を届けるタイプのリリースと見てよさそうだ。タイトルの Kiedy Wilki Zawyja? は「When Will The Wolves Howl?」という意味で、作品全体の印象にもどこか寓話的な輪郭を与えている。
クレジット上のジャンルは Jazz、Rock、Folk、World、& Country、スタイルは Psychedelic Rock、Jazz-Rock、Experimental。実際、こうしたタグが並ぶ作品は、曲ごとに明確な区切りを作るよりも、演奏の流れや音色の変化で聴かせることが多い。Michael Wardのソロ的な作家性が前に出るタイプの作品として捉えやすい。
リリース情報
- オリジナル発表年: 2018年
- アナログ盤リリース年: 2019年
- リリース国: UK
- アーティスト国: UK
- フォーマット: LP
- 仕様: 赤盤、ゲートフォールド・スリーブ
- 枚数: 240枚限定
このLPは240枚限定で、うち100枚はDiscusレーベルに割り当てられている。Disc usのCD版リリースを2021年9月に支えるための配分で、レーベル向けの分については裏面のリシーラブル・プラスチック・ラッパーにバーコードが付く仕様だ。オリジナルの作品に対して、アナログ盤ではコレクター向けの物理的な差異がはっきりしている。
音楽的な輪郭
この作品は、ジャズの即興性、ロックの推進力、フォーク由来の語り口、そして実験的な構成感が、ひとつの流れの中で交差するタイプに見える。タイトル曲らしき言葉を含む作品名からも、ストレートなロック作品というより、音の展開や間の取り方に重心がある印象だ。
同時代の文脈で見ると、ジャズ・ロックやサイケデリック・ロック、実験音楽の境界を行き来するUK発のソロ作品として位置づけやすい。演奏を前面に出しつつ、曲の骨格は崩しすぎない、そのあたりのバランスが聴きどころになりそうだ。
聴きどころとして見える点
実際の音像については手元で確認できる情報が限られるが、こうした編成・タグの作品では、楽器ごとの重なり方や、テーマと即興の切り替えが重要になることが多い。派手なヒット曲で押すというより、アルバム全体の流れで聴かせる作りと考えるのが自然だ。
まとめ
『Kiedy Wilki Zawyja?』は、2018年の作品として発表され、2019年にUK盤LPとして形になった、Michael WardによるMzylkypop名義の一枚だ。赤盤・限定240枚・ゲートフォールド仕様というアナログ盤ならではの要素に加え、ジャズ、ロック、フォーク、実験性が交差する作品として記録されている。タイトルの意味を含め、音だけでなく作品名や物理仕様も含めて印象を残すリリースになっている。
トラックリスト
- A1 – Witch Drones
- A2 – She Turns To Dust
- A3 – Slumber Pin
- A4 – Sylwia’s List
- A5 – The God Of Claws
- B1 – Last Exit To Lublin
- B2 – Elphame
- B3 – Red White And Blue
- B4 – Narky Monkey
- B5 – TV Lives
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James Last – Around The World – Spain & Mexico (1970)
James Last『Around The World – Spain & Mexico』について
『Around The World – Spain & Mexico』は、James Lastが1970年に発表した作品で、同年にリリースされた日本盤です。大編成のオーケストラを軸にしたJames Lastらしいサウンドで、タイトル通りスペインとメキシコを中心にしたラテン色の強い内容になっている作品です。ジャンル表記はJazz、Latin、スタイルはEasy Listening。James Lastのディスコグラフィーの中では、各地域の音楽要素をオーケストラ編成でまとめるシリーズ的な流れにある一枚として捉えやすい作品です。
James Lastという音楽家
James Lastは1929年生まれのドイツのバンドリーダー、作曲家、演奏家です。ベースやピアノもこなしながら、自身のオーケストラを率いて数多くのアルバムを制作しました。世界的なセールスでも知られ、イージーリスニングの領域では特に存在感の大きいアーティストです。ポップス、ジャズ、各国の民俗音楽、ラテンの要素を取り込みながら、聴きやすい編成で再構成する手つきが持ち味だといえるでしょう。
作品の位置づけ
本作は1970年という時期らしく、James Lastが持っていた「オーケストラで世界の音楽をまとめる」という方向性がはっきり出た一枚です。同年に広がっていたラテン・ムード、オーケストラ・ポップ、イージーリスニングの流れの中で、James Lastの手腕がよく分かる内容です。ビッグバンド的な厚みを保ちながら、ダンス音楽としての輪郭も残すあたりが特徴になっています。
同時代の文脈で見ると、Percy FaithやMantovaniのようなオーケストラ・サウンド、あるいはラテン・アレンジを取り入れたイージーリスニング作品と並べて語られることがありそうです。ただしJames Lastは、その中でもより軽快で、リズムの押し出しが前に出る作りが目立ちます。
内容の印象
スペインやメキシコを題材にした作品だけに、フラメンコ系のリズム感、マリアッチ的な華やかさ、ブラスの明るさが軸になっているはずの内容です。James Lastの作品は、原曲や伝統的なモチーフをそのまま提示するというより、オーケストラ向けに整理し直して聴かせる構成が多く、この作品でもそうした方向が中心になっていると考えられます。
実際に聴くと、メロディの分かりやすさと編成の厚みが先に立つタイプのアルバムで、旋律が前へ出てきやすい作りになりやすいのがJames Lastらしいところです。打楽器やホーンの使い方で地域色を出しつつ、全体はきっちり整えられている印象です。
ヒット曲・代表曲について
この作品単体で特定の大ヒット曲が広く知られているというより、James Lastのアルバム作品としてのまとまりが重視される一枚です。彼の代表曲や広く知られたレパートリーは別作品やベスト盤で触れられることが多く、本作はその中でもテーマ性のあるアルバムとして位置づけられます。
日本盤としての見どころ
日本での1970年盤は、当時のJames Last人気を反映した流通の一例と見ることができます。オリジナルの1970年リリースと同年の発売なので、内容面では初出時の空気をそのまま受け取れる盤です。コレクション面では、日本市場向けにどう紹介されていたかを含めて見る楽しさがあります。
まとめ
『Around The World – Spain & Mexico』は、James Lastのオーケストラ・サウンドがラテン色の題材に向かった1970年作です。大編成の演奏、分かりやすい旋律、地域色をまとめるアレンジという、この時期のJames Lastらしい要素が詰まったタイトルです。作品全体としては、ラテンやイージーリスニングの流れを、彼らしい整理されたオーケストラ・サウンドで聴かせる一枚と言えます。
トラックリスト
- A1 – Granada
- A2 – La Malagueña Salerosa
- A3 – Valencia
- A4 – Camino Verde
- A5 – Malagueña
- B1 – Cachita
- B2 – Cu Cu Rru Cu Cu Paloma
- B3 – Mambo Nr. 5
- B4 – Guantanemera
- B5 – Mexican Hat Dance
- B6 – The Lonely Bull
Gal Costa – Legal (1970)
Gal Costa『Legal』について
Gal Costaの『Legal』は、ブラジルの音楽シーンを代表する女性歌手による作品で、オリジナルは1970年のリリース。ここで扱う盤は1983年リリースのブラジル盤で、70年代初頭の空気をまとった内容を、80年代のプレスで聴ける一枚となっている。
Gal Costaという歌手
Gal Costaは1945年、ブラジルのサルヴァドール生まれの人気歌手。MPBを軸にしながら、ソウルやラテンの感触も取り込んだ歌唱で知られ、トロピカリア周辺の文脈でも重要な存在として語られてきた。2022年に亡くなっている。
作品の位置づけ
『Legal』は、Gal Costaのキャリア初期から中期にかけての流れを考えるうえで見逃せないタイトル。70年前後のブラジル音楽は、MPB、サンバ、ロック、ソウル、ラテンの要素が交差していた時期で、この作品もその広がりの中に置かれる一枚といえる。Caetano VelosoやGilberto Gil、Maria Bethâniaら同時代のブラジル音楽家たちと並べて語られることも多い流れ。
サウンドの印象
ジャンル表記はJazz、Latin、Funk / Soul、スタイルはMPB、Soul。Gal Costaの作品らしく、歌が中心にありながら、リズムの置き方や編曲の感触に当時のブラジル音楽らしい柔らかさと推進力がある。ソウル寄りの質感を持ちながらも、あくまでMPBの歌ものとしてまとまっているところが、この時代のGalらしいポイント。
実際に聴くと、声の輪郭が前に出てくる場面と、伴奏にすっと溶ける場面の切り替えが自然で、曲ごとの温度差も見えやすい。ブラジル音楽の中でも、ジャズ的な和声感、ラテンのリズム、ファンク寄りのノリが同じ空間に並ぶ感触がある。
1983年盤について
この盤は1983年のブラジル盤。センターラベルには℗1982、ランアウトには℗1983の表記がある。オリジナルの1970年盤とは年代が離れているため、手元の個体としては後年のプレスという位置づけになる。ブラジル盤らしい再発の文脈で、当時の作品を改めて聴ける仕様になっている。
ひとこと
『Legal』は、Gal Costaの歌そのものと、70年代ブラジル音楽の混ざり合いを確認できるタイトル。ヒット曲や代表曲として単独で大きく語られるというより、アルバム全体の流れの中でGalの持ち味が見えるタイプの作品として受け取れそうだ。
トラックリスト
- A1 – Eu Sou Terrível (2:30)
- A2 – Língua Do P (3:40)
- A3 – Love, Try And Die (2:23)
- A4 – Mini-Mistério (4:16)
- A5 – Acauã (2:49)
- B1 – Hotel Das Estrêlas (4:22)
- B2 – Deixa Sangrar (2:53)
- B3 – The Archaic Lonely Star Blues (3:03)
- B4 – London, London (4:00)
- B5 – Falsa Baiana (2:11)
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Patrice Witt – For D’js And Long Highways (1982)
Patrice Witt『For D’js And Long Highways』について
Patrice Wittはフランスのキーボーディスト/作曲家で、For D’js And Long Highwaysは1982年にフランスでリリースされた作品だ。ジャンルはElectronic、Jazz、Rock、スタイルはProg Rock、Ambient、Fusionに位置づけられている。ひとことで言えば、キーボードを軸にしたインストゥルメンタル寄りの作品として受け止めやすい1枚で、同時代のプログレッシブ・ロックやフュージョンの流れの中に置くと見通しがつきやすい。
作品の位置づけ
このアルバムは、Patrice Wittにとってソロ名義の初期作にあたる。ジャケットには「Vent D’Estのピアニストによる初のソロ・アルバム、Pierre Moerlen参加」といった内容のステッカーが付くものもあるようで、バンド活動とは別に、キーボード奏者としての個性を前面に出した作品として扱われていることがわかる。1982年という時期を考えると、プログレの語法とエレクトロニックな質感、ジャズ由来の演奏感覚が近い距離で並ぶ時代性も見えやすい。
音の輪郭
この作品の核にあるのは、キーボードのフレーズと音色の組み立てだろう。ロックの推進力、ジャズの流れ、エレクトロニックなレイヤーが重なり、派手な歌ものというよりは、演奏と構成の変化で聴かせるタイプの内容として捉えられる。フュージョンの手触りもあり、当時のフランス周辺のプログレ/インストゥルメンタル作品と並べて語られることがありそうだ。
同時代の比較対象としては、キーボード主導のプログレや、ジャズ・ロックの延長にある作品群が思い浮かぶ。Pierre Moerlenの参加がクレジットされる点からも、リズム面にしっかりした推進力が入る構図が見えてくる。こうした背景を踏まえると、単なるソロ・キーボード作品というより、バンド的な緊張感を持ったインスト作品として受け取られやすい。
リリース情報
- アーティスト: Patrice Witt
- タイトル: For D’js And Long Highways
- オリジナルリリース年: 1982年
- リリース国: フランス
- アーティストの国: フランス
- ジャンル: Electronic / Jazz / Rock
- スタイル: Prog Rock / Ambient / Fusion
まとめ
For D’js And Long Highwaysは、1982年のフランスで生まれた、キーボード奏者Patrice Wittのソロ作品だ。プログレ、アンビエント、フュージョンの要素が同居し、同時代のインストゥルメンタル作品の流れの中で見ていける内容。派手なヒット曲で押すというより、演奏の組み立てや音色の変化で輪郭を作るタイプのアルバムとして記憶されやすい1枚だ。
トラックリスト
- A1 – On The Edge Of Time (4:23)
- A2 – Just The Sound Of Your Name (4:50)
- A3 – Mandragore (3:20)
- A4 – Blind Eyes (3:56)
- A5 – Dreams Of Sun (5:40)
- B1 – Catfish (3:18)
- B2 – Crying Guitar Reggae (3:08)
- B3 – Gypsy Queen (2:50)
- B4 – You’re Just Seventeen (4:06)
- B5 – Exodus Space Flight To Cygnus X1 (5:22)
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Harris Chalkitis – Marita (1975)
Harris Chalkitis「Marita」
「Marita」は、フランスで1975年にリリースされたHarris Chalkitisの作品。作曲、編曲、歌唱、マルチインストゥルメンタリストとして知られるHarris Chalkitisが、パリのBarclay Studiosで1975年4月から5月にかけて録音した一枚である。ジャズ、ロック、ファンク、ポップ、フォークの要素をまたぐ作風で、ジャズロック、ジャズファンク、プログレッシブ・ロック、ディスコの文脈でも語られる作品になっている。
作品の輪郭
Harris Chalkitisは1945年にカイロで生まれ、幼少期に家族とともにギリシャへ移った人物。作曲家、オーケストレーター、シンガー、マルチインストゥルメンタリストとして活動し、後年はQueen Samanthaのプロデュースでも知られるほか、Demis Roussos、Mireille Mathieu、Dalidaなどの作曲も手がけている。その経歴を踏まえると、「Marita」も単独の歌手作品というより、作編曲の手腕が前面に出るタイプのレコードとして位置づけやすい。
録音はパリのBarclay Studios。℗表記も1975年のBarclayで、フランス盤として同年の空気をそのまま閉じ込めた資料性のあるレコードといえる。ジャズ寄りのリズム感、ロックの推進力、ファンクのうねり、そして当時のポップ/ディスコの感触が並ぶところに、この時代のヨーロッパ制作らしい混ざり方が見える。
サウンドの印象
この作品のポイントは、ジャンルの切り替えがはっきりしていること。ジャズ・ロックやジャズ・ファンクの文脈では演奏の密度が前に出やすく、プログレッシブ・ロックの要素では展開の組み立てが目立つ。そこにディスコ的なビート感や、ポップ、フォーク、ワールド・ミュージックの要素が重なっているため、単一の型に収まらない作りになっている。
実際に聴くと、歌ものとしての輪郭と、編曲の細かい動きの両方が見えやすいタイプの作品になりそうだ。メロディを追いながらも、伴奏のリズムや管弦の配置に耳が向く盤だろう、という印象である。
時代背景とつながり
1975年という年は、ヨーロッパのポップスやフュージョン、ディスコ前夜のサウンドが交差していた時期。フランス制作のレコードとして見ると、シャンソン的な歌心と、当時の国際的なソウル/ファンク感覚の接点にある作品とも捉えやすい。Harris Chalkitisの後年のプロデュースワークや大衆歌謡への関わりを考えても、この時期の仕事は彼の幅広い作曲・編曲感覚を示す一枚といえる。
代表曲やヒット曲として広く知られる定番曲の情報は見当たらないが、制作年、録音場所、参加した音楽的文脈をたどると、70年代フランス盤の中でも作り手の個性が出る作品として見ていける。
盤について
この盤は1975年のフランス盤。ラベルにはMade in Franceの表記があり、当時のBarclay系プレスとして出回ったものだとわかる。プレスリングの仕様も1975年のフランス国内プレスに特徴的なものとされている。
Harris Chalkitisのキャリアを追ううえで、「Marita」は、作曲家・編曲家としての感覚と、当時のフランス録音の空気が重なる一枚として押さえておきたい作品である。
トラックリスト
- A1 – Marita (3:45)
- A2 – Funny She Loves Me (2:18)
- A3 – Right On Moving (2:49)
- A4 – Always On My Mind (2:37)
- A5 – Without You (4:15)
- B1 – Introduction Moog (0:59)
- B2 – Glory Of A Love Song (3:25)
- B3 – Morning Sunshine (2:47)
- B4 – New York City (3:47)
- B5 – With A Smile (2:35)
- B6 – Let Me Go My Way (2:42)
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Clearlight – Forever Blowing Bubbles (しゃぼん玉幻覚) (1975)
Clearlight「Forever Blowing Bubbles(しゃぼん玉幻覚)」について
Clearlightは、フランス・パリ出身のプログレッシブ・ロック・バンド。1973年に始動し、キーボード奏者Cyrille Verdeauxを軸に、Gong周辺を含むフランスのプログレ/アンダーグラウンド界のミュージシャンたちが入れ替わりで参加してきたグループだ。本作「Forever Blowing Bubbles(しゃぼん玉幻覚)」は1975年に発表された作品で、日本盤は1982年リリース。Electronic、Jazz、Rockをまたぐ内容で、Jazz-Rock、Experimental、Prog Rockの文脈に置かれる一枚になっている。
作品の立ち位置
Clearlightは、バンドというよりもCyrille Verdeauxのプロジェクト色が強い出発点を持ち、その後にClearlight名義のグループとして広がっていった経緯がある。本作もその流れの中にある作品で、Steve Hillage、Didier Lockwood、Tim Blake、Didier Malherbeといった顔ぶれが並ぶのがまず目を引くところ。フランスのプログレ/ジャズ・ロックの線上で、演奏者の個性を前面に出すタイプの作品として捉えやすい。
サウンドの印象
実際に聴くと、曲ごとに音の重心が少しずつ動いていくのが分かりやすい。キーボードを中心に据えた展開がありつつ、ギターやサックス、ヴァイオリン系の音色が差し込まれ、ロックのリズム感と即興性のあるフレーズが交差する場面が多い。ジャズ・ロックらしい流れの中に、電子音や浮遊感のある処理が入ることで、単純なバンド・サウンドには収まらない作りになっている。
派手な歌もの中心というより、演奏の展開そのものを聴かせるタイプ。フレーズの受け渡しや、音色の切り替えに耳が行く作りで、フランスのプログレらしい実験性と、当時のジャズ・ロックの推進力が同居している印象だ。
同時代の文脈
1970年代半ばのフランスでは、GongやMagma周辺を含め、ロック、ジャズ、サイケデリックな感覚を横断する作品が次々に生まれていた。本作もその流れの中で聴くと位置づけが見えやすい。英国のプログレに比べると、構築美だけでなく、演奏の自由度や音の飛び方が前に出る場面があり、Clearlightもその系譜に連なる存在と言えそうだ。
特にSteve HillageやDidier Lockwood、Didier Malherbeのようなプレイヤーが関わっている点は、この時期のフレンチ・プログレ/ジャズ・ロックの交差点をよく示している。バンドの固定的な編成というより、場面ごとに色が変わるアンサンブルとしての面白さがある。
日本盤について
1982年に出た日本盤は、オリジナルの1975年盤から数年後の登場になる。日本での紹介時期としては、70年代プログレの再評価が進んでいたタイミングとも重なり、当時のリスナーにとってはフランス産の変則的なジャズ・ロック/プログレ作品として受け取られたはずだ。盤としてはオリジナル発売から時間をおいてのリリースになるため、作品そのものの成立時期と日本での流通時期は分けて見ておきたいところ。
まとめ
「Forever Blowing Bubbles(しゃぼん玉幻覚)」は、Clearlightというプロジェクトの性格がよく出た一枚。Cyrille Verdeauxを中心に、フランスの個性的な演奏家たちが集まり、ロック、ジャズ、電子的な要素を混ぜながら進んでいく。1970年代フランス・プログレの広がりを、そのまま音にしたような作品として捉えやすい。
トラックリスト
- A1 – Chanson (4:44)
- A2 – Without Words (7:41)
- A3 – Way (8:16)
- B1 – Ergotrip (6:24)
- B2 – Et Pendant Ce Temps La (4:43)
- B3 – Narcisse Et Goldmund (2:39)
- B4 – Jungle Bubbles (2:45)
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Fermáta – Pieseň Z Hôľ = Song From Ridges (1977)
Fermáta『Pieseň Z Hôľ = Song From Ridges』について
Fermátaの『Pieseň Z Hôľ = Song From Ridges』は、1977年にチェコスロバキアで発表された作品。スロバキアのジャズ・ロック・グループとして活動したFermátaらしい、ジャズとロックを軸にしたインストゥルメンタル志向のアルバムとして位置づけられる。František GriglákとTomáš Berkaを中心に1973年から続くバンドの流れの中で、70年代後半の時点での到達点を示す一枚といえる。
サウンドの輪郭
ジャンルはJazz、Rock、スタイルはFusion、Jazz-Funk、Jazz-Rock。ギターとキーボードを中心に、リズム隊がしっかり前に出る構成が想像しやすい。演奏は、ロックの推進力とジャズ由来の展開感が同居するタイプで、リフの切れ味やアンサンブルの運びが聴きどころになりやすい。70年代のヨーロッパ産ジャズ・ロックらしい、硬質な手触りとバンド演奏の密度が感じられる作品群の中に置ける内容だ。
アーティストの位置づけ
Fermátaはチェコスロバキアのスロバキア系ジャズ・ロック・グループで、František GriglákとTomáš Berkaが中心となって活動してきた。1973年の結成以降、70年代の作品はバンドの初期像を形作る重要な時期にあたる。この『Pieseň Z Hôľ = Song From Ridges』も、その流れの中でバンドの演奏性や作曲面を確認しやすい一枚として見られる。
同時代の文脈
同時代のヨーロッパでは、ジャズ・ロックやフュージョンが各地で発展していた。Fermátaの音楽もその文脈にあり、英国や北欧のプログレッシブ寄りジャズ・ロックと並べて語られることがある。ギターを前面に出したアプローチや、ロックの骨格を保ちながらジャズの要素を組み込む作りは、この時期のジャンルの特徴と重なる。
参加メンバー
クレジットには、Fedor Frešo、Karol Oláh、František Griglák、Peter Oláh、Tomáš Berka、Anton Jaro、Laco Lučenič、Cyril Zeleňák、Pavol Kozma、Martin Valihora、Juraj Kuchárek、Juraj Bartovič、Martin Hanzel、Dalibor Jenis、Peter Szapu、Roman Chovanec、Eva Straková、Marius Bartoň、Milan Ruček、Peter Preložník、Márius Bartoň、Jindřich G. Plánka、Jakub Hittrich、Igor Skovayが並ぶ。複数の演奏家が関わることで、曲ごとの色合いに幅が出る編成だったことがうかがえる。
まとめ
『Pieseň Z Hôľ = Song From Ridges』は、Fermátaの初期を代表する1977年の作品として、ジャズ・ロック/フュージョンの文脈で捉えやすいアルバムだ。ギター主導の推進力、鍵盤を含むアンサンブル、そして70年代東欧ジャズ・ロックの流れ。そうした要素がまとまった一枚として見えてくる。
トラックリスト
- A1 Pieseň Z Hôľ = Song From Ridges
- A2 Svadba Na Medvedej Lúke = Marriage On A Bears Meadow
- A3 Posledný Jarmok V Radvani = The Last Fair In Radvaň
- B1 Priadky = Spinning
- B2 Dolu Váhom = Downstream Váh
- B3 Vo Zvolene Zvony Zvonia = Bells Are Ringing In Zvolen
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WIZRD – Seasons (2022)
WIZRD『Seasons』について
ノルウェーのプログレッシブ・ロック・バンド、WIZRDによる『Seasons』は、2022年に登場した作品です。ジャンル表記としてはジャズとロックが置かれ、スタイルにはプログ・ロック、インディー・ロック、ジャズ・ロックの要素が並びます。バンドの基本軸はプログレッシブ・ロックにありつつ、そこへジャズ由来の展開や、インディー・ロック寄りの感触が重なる構成と見てよさそうです。
サウンドの印象
この作品は、ロックの推進力を保ちながら、ジャズ・ロックらしいリズムの動きや、曲の流れを追う楽しさが感じられるタイプの内容と考えられます。演奏の切り替わりや楽曲の展開を軸に聴かせる、プログレ系らしい作りが想像しやすい一枚です。インディー・ロックの要素も含まれているため、過度に大仰な組み立てというより、バンドとしてのまとまりや楽曲単位の聴きやすさも意識されている印象です。
位置づけと文脈
WIZRDはノルウェー発のバンドで、プログレッシブ・ロックを土台にジャズ・ロックやインディー・ロックへも触れるグループとして紹介されています。『Seasons』は、そのバンド像を示す作品として2022年に出たタイトルで、同国のプログレ系や、ジャズの要素を取り込むロックの流れの中で捉えやすい内容です。北欧のロック/プログレ文脈にある作品として見ると整理しやすいでしょう。
まとめ
『Seasons』は、WIZRDというノルウェーのバンドが持つ、プログレッシブ・ロックを軸にした音作りを確認しやすい一枚です。ジャズ・ロック的なリズム感、インディー・ロック寄りの距離感、そしてロックとしての推進力が重なる作品として、2022年のリリース作らしい位置に置ける内容です。
トラックリスト
- A1 Lessons
- A2 Free Will
- A3 Spitfire
- A4 All Is As It Should Be
- B1 Show Me What You Got
- B2 Fire & Water
- B3 Divine
- B4 When You Call
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IF – IF 2 (1970)
IF『IF 2』について
『IF 2』は、英国のジャズロック/プログレッシブロック・バンド、IFが1970年に発表した作品だ。バンドは1969年に結成され、ジャズの即興性とロックの推進力をつないだサウンドで知られる。この2作目にあたる本作でも、その路線がはっきりと出ている。
編成には、Terry Smith、Dave Quincy、Dick Morrissey、John Mealing、Cliff Davies、Dennis Elliott らが名を連ねている。ホーンや鍵盤を含む厚みのあるアンサンブルが特徴で、演奏の密度が高いタイプのジャズロック作品として捉えやすい一枚だ。
サウンドの印象
サウンドは、ロックのリズムの上にジャズ由来のフレーズやソロが乗る作りで、楽器同士の受け渡しが多い。ギター、サックス、キーボードが前に出たり引いたりしながら進む構成で、演奏の流れそのものを聴かせる内容といえる。派手な装飾よりも、アンサンブルの動きと演奏の積み上げが中心だ。
同時代の英国ジャズロックの流れの中では、ColosseumやSoft Machine、Nucleus などと並べて語られることがある。IFもその文脈にあるバンドで、ロック寄りの推進力とジャズ寄りの展開を両方持つ点が見どころになっている。
作品の位置づけ
『IF 2』は、バンド初期の活動期に出たアルバムのひとつで、IFの基本的なスタイルを確認しやすい作品だ。のちにバンドは1975年に解散するが、後年の再評価や再発を通じて名前が知られるようになった。そうした意味では、バンドの核となる時期を示す記録のひとつとして見られる。
曲について
収録曲の中で広く知られた代表曲が特に前面に出るタイプというより、アルバム全体の流れで聴かせる構成に重きが置かれている。各曲でメンバーの演奏が入れ替わりながら進み、ジャズロックらしい緊張感が続く。
まとめ
『IF 2』は、1970年当時の英国ジャズロックの空気をそのまま映したような一枚だ。ロックの骨格にジャズの要素を組み込み、演奏の応酬で引っ張っていく作りが印象に残る。IFというバンドの輪郭をつかむうえで、わかりやすい位置にある作品といえる。
トラックリスト
- A1 Your City Is Falling (5:04)
- A2 Sunday Sad (8:18)
- A3 Tarmac T. Pirate And The Lonesome Nymphoniac (5:12)
- B1 I Couldn’t Write And Tell You (8:23)
- B2 Shadows And Echos (4:24)
- B3 A Song For Elsa, Three Days Before Her 25th Birthday (5:11)
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Mahavishnu Orchestra – Between Nothingness & Eternity = 虚無からの飛翔 (1973)
Mahavishnu Orchestra『Between Nothingness & Eternity = 虚無からの飛翔』について
Mahavishnu Orchestraの『Between Nothingness & Eternity = 虚無からの飛翔』は、1973年に発表されたライブ盤。ジャズとロックのあいだを強い推進力で行き来する、このバンドらしさがまとまって出た作品として知られている。John McLaughlinを中心に、Jan Hammer、Jerry Goodman、Rick Laird、Billy Cobhamというオリジナル編成の緊張感が、そのまま記録された一枚。
作品の位置づけ
Mahavishnu Orchestraは1971年にニューヨークで結成されたジャズ・フュージョン・バンドで、1971年から1973年にかけてColumbiaに強烈なアルバムを残した。その流れの中にあるのが本作で、バンドの初期の勢いをライブの形で捉えた記録という位置づけになる。スタジオ盤とはまた違って、演奏の切れ味や各メンバーの反応が前に出やすい内容。
サウンドの特徴
音の中心にあるのは、McLaughlinのギターを軸にした高速の展開と、Billy Cobhamのドラムが生む強い推進力。そこにJan Hammerのキーボード、Jerry Goodmanのヴァイオリンが重なり、ジャズの即興性とロックの直進性が同時に立ち上がる。複雑な拍子感やアンサンブルの密度がありつつ、演奏そのものはかなり生々しい印象。スタジオで整えた音というより、会場の空気ごと押し出すような質感。
同時代の文脈
1970年代前半のジャズ・ロック、フュージョンの流れの中でも、Mahavishnu Orchestraは特に強い存在感を持つグループとして語られることが多い。Miles Davisの電化以後の流れや、Tony Williams Lifetimeとも近い文脈にありながら、よりロック寄りの圧を持つバンドとして受け取られやすい。ジャンル表記としてはJazz、Rock、Fusion、Jazz-Rock、Prog Rockが並ぶが、その境界の上を走るような音作りが特徴的。
録音について
本作は1973年8月にCentral Parkで録音された記録。ライブならではの一回性が作品の核になっている。演奏の密度、即興の応酬、曲の展開の速さが、そのままアルバムの印象につながっている。
ひとことで言うと
『Between Nothingness & Eternity = 虚無からの飛翔』は、Mahavishnu Orchestraの初期編成が持っていた鋭さと緊張感を、そのままライブとして封じ込めた作品。ジャズとロックの接点にある1973年の空気を感じやすい一枚として、バンドの代表的な時期を知るうえでも重要な記録になっている。
トラックリスト
- A1 Trilogy (The Sunlit Path / La Mere De La Mer / Tomorrow’s Story Not The Same) (12:01)
- A2 Sister Andrea (8:22)
- B Dream (21:24)
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Isotope – Illusion (1974)
Isotope「Illusion」について
Isotopeは、1970年代の英国ジャズ・ロック/フュージョンを代表するバンドのひとつで、ギタリストのGary Boyleを中心に活動したグループです。ここで取り上げる「Illusion」は1974年の作品として知られ、ギター、キーボード、ベース、ドラムが前に出る編成で、ジャズの即興性とロックの推進力が交差する内容になっています。
作品の位置づけ
Isotopeはメンバーの入れ替わりが多いバンドですが、「Illusion」はそうした流れの中で作られた時期の一枚です。Gary Boyleのギターを軸に、Brian Millerの作曲感覚や、Hugh Hopper、Geoff Downes、Jeff Clyne、Frank Roberts、Nigel Morris、Laurence Scott、Dan K. Brownといったメンバーの参加が重なり、バンドの輪郭がよく見える作品として聴かれます。
サウンドの印象
この時代のIsotopeらしく、演奏は緻密さと勢いの両方を持っています。フュージョン寄りのジャズ・ロックらしい、リズムの切り替わりやアンサンブルの動きがはっきりした作りで、ギターと鍵盤が前景に出る場面が印象に残ります。音数は多めでも、各パートの役割が見えやすいタイプのサウンドです。
同時代の文脈
1970年代前半の英国では、カンタベリー系を含むジャズ・ロックの動きが活発で、ソフト・マシーン周辺や、そこから派生するミュージシャンたちの流れと並べて語られることがあります。Isotopeもその文脈の中で、ロックのバンド感とジャズの展開力をつなぐ存在として位置づけられることが多いです。
注目点
- Gary Boyleのギターを中心にしたジャズ・ロック作品
- Brian Millerの作曲感覚が核になったバンド色
- 1970年代英国フュージョンの流れを感じやすい内容
- メンバー交代の多い時期のIsotopeを示す一枚
まとめ
「Illusion」は、Isotopeというバンドの持つジャズ・ロック的な性格を、演奏と編成の両面から見せる作品といえる。ギター、キーボード、リズム隊が前に出る構成で、1970年代中盤の英国フュージョンの空気がそのまま反映された一枚として捉えやすい。
トラックリスト
- A1 Illusion (3:54)
- A2 Rangoon Creeper (5:54)
- A3 Spanish Sun (7:45)
- A4 E-Dorian (2:00)
- B1 Frog (2:30)
- B2 Sliding Dogs, Lion Sandwich (5:59)
- B3 Golden Selection (5:13)
- B4 Marin County Girl (2:06)
- B5 Lily Kong (2:33)
- B6 Temper Tantrum (3:42)
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Praxis – La Eternidad De Lo Efimero (1988)
Praxis『La Eternidad De Lo Efimero』について
メキシコのPraxisが1988年に発表した『La Eternidad De Lo Efimero』は、ジャズとロックを軸にしたプログレッシブ・ロック/フュージョン作品である。Ricardo Moreno、Héctor Hernández、Bernardo Anaya、Héctor Rosasの4人による編成で、演奏を中心に組み立てられたアルバムとして聴こえてくる。
タイトルはスペイン語で、作品全体の印象もその言葉どおり、流れのある構成と、細かく組み替えられるアンサンブルの動きが目立つ。ロックの推進力とジャズ由来の演奏感が同居していて、リズムの切り替えや楽器同士の掛け合いに耳が向く内容だ。
サウンドの特徴
この作品の核にあるのは、プログレッシブ・ロックらしい展開の多さと、フュージョン的な演奏の機動力である。ギターや鍵盤、リズム隊が一体になって進み、曲ごとに拍子やフレーズの組み方を変えながら進行していくタイプの音作りが想像しやすい。派手な歌ものというより、演奏そのものを軸にした構成のアルバムとして受け取られやすいだろう。
音の質感としては、1980年代後半の録音らしい輪郭のはっきりした鳴りが似合う。ロックの硬さとジャズの流動感が並び、メキシコのプログレ/フュージョン文脈の中でも、演奏重視の作品として位置づけられそうだ。
作品の位置づけ
『La Eternidad De Lo Efimero』は、Praxisにとって1988年の時点での到達点を示す一枚として見られる。バンド名義での初出作品として、グループの持つ演奏志向や作曲の方向性がまとまって表れている印象である。
同時代の文脈でいうと、英米のプログレやジャズ・ロックだけでなく、ラテン圏のインストゥルメンタル系フュージョンやプログレッシブ・ロックとも接点を持つタイプの作品と考えやすい。複雑な構成、演奏の切れ味、ロックとジャズの往復といった要素は、ジャンルの中でも比較の軸になりやすい部分だ。
まとめ
- アーティスト: Praxis
- タイトル: La Eternidad De Lo Efimero
- オリジナルリリース年: 1988年
- 国: メキシコ
- ジャンル: Jazz, Rock
- スタイル: Prog Rock, Fusion
演奏の組み立てを前面に出した、ジャズとロックの接点にあるアルバムである。プログレッシブな展開とフュージョン的な流れが重なり、1980年代後半のメキシコ産インストゥルメンタル作品として印象に残る一枚だ。
トラックリスト
- A1 Al Filo Del Abismo
- A2 Praxis
- A3 No Se Quien Soy Desde Que Se Quien Eres
- B1 Equinoccio
- B2 La Eternidad De Lo Efimero
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Palmeira – Palmeira (1983)
Palmeira『Palmeira』について
Palmeiraは、ブラジル音楽の要素を取り入れたオランダのバンドで、1979年から1985年まで活動したグループである。1983年に唯一のアルバム『Palmeira』を発表しており、この作品はそのグループの活動を知るうえで中心になる1枚だ。編成はLodewijk Hulsman、Angelo Noce Santoro、Jeanette Van Der Pligt、Hans Van Vugt、Jehanne Hulsmanの5人。
作品の位置づけ
このアルバムは、Palmeiraにとって唯一のアルバムとして残る作品である。ジャズクラブやナイトクラブでの演奏を重ねていたバンドの、活動のまとまりを示す記録として見ることができる。ブラジル音楽を下敷きにしながら、ジャズやフォーク、ワールド・ミュージックの要素が自然に重なっている。
サウンドの印象
ジャンル表記はJazz、Latin、Folk、World、& Country、スタイルはBossanova、MPB。ボサノヴァ由来のリズム感と、MPBらしい歌ものの流れが軸にありそうだ。打楽器やギターの細かな動き、声の重なりが前に出るタイプの音像が想像しやすい。派手に押し切るというより、演奏の呼吸や間合いを大事にした作りのアルバムとして捉えられる。
リリースについて
オリジナルのリリースは1983年。盤のリリース年は2007年で、日本盤として流通している。オリジナル時点の作品を、後年に改めて手に取りやすくした形の1枚といえる。
同時代の文脈
ブラジル音楽の感触を持ちながら、ヨーロッパのジャズやクラブ文化の中で鳴っているところがPalmeiraらしいところである。ボサノヴァ、MPB、ラテン・ジャズの周辺にある音楽と並べて聴くと、当時のクロスオーバーな空気が見えやすい。
作品のエピソード
Palmeiraは私的制作の形で500枚のみアルバムを残したとされており、『Palmeira』はその唯一の作品である。バンドの活動期間や演奏の場を考えると、ライブ現場で育ったアンサンブルの記録としても見えてくる。
関連情報として、アーティストのBandcampページも公開されている。作品の輪郭をつかむ入口としては、そのあたりから確認するのもよさそうだ。
トラックリスト
- A1 Trilhos Urbanos (5:18)
- A2 Undu (8:56)
- A3 Baixa De Sapateiro (6:12)
- A4 Telephone (3:05)
- B1 Living In More Than One Way (5:27)
- B2 Amanhecer (3:22)
- B3 Mania De Voce (7:52)
- B4 Tapajos (5:36)
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Zopp – Dominion (2023)
Zopp『Dominion』について
『Dominion』は、UKのプログレッシブ・ロック・プロジェクト、Zoppによる2023年作。中心にいるのは作曲家でマルチ・インストゥルメンタリストのRyan Stevensonで、Andy Tillison(The Tangent)やドラマーのAndrea Moneta(Leviathan)らとのコラボレーションでも知られるユニットだ。カンタベリー・シーンの流れを引きながら、ジャズとロックを行き来する構成が骨格になっている。
作品の輪郭
本作は、ジャズ・ロックの運動感と、プログレッシブ・ロックの組曲的な展開が重なる作品として捉えやすい。演奏はリズムの切り替えやパートの積み重ねが目立つタイプで、アンサンブルの細部を追う面白さがある。派手なフックを前面に出すというより、曲全体の流れと構成で聴かせる作り。
サウンドの質感としては、楽器同士の距離感が近く、即興性と緻密さが同居する印象。キーボード、ギター、ベース、ドラムの動きが絡み合い、ロックの推進力の上にジャズ由来のフレーズが乗る場面もある。実験的な要素も含みつつ、極端に崩すというよりは、構築されたアレンジの中で揺らぎを作る方向にある。
Zoppというプロジェクトの位置づけ
ZoppはRyan Stevensonを軸にしたプロジェクトで、カンタベリー・シーンや英国プログレの文脈に置くと見通しがつきやすい。Andy Tillisonの参加もあって、The Tangent周辺の現代プログレ的な手触りとの接点も感じられる。70年代のジャズ・ロックやプログレの語法を参照しながら、現在の録音感と編曲でまとめた作品、と言えそうだ。
参加メンバー
- Andrea Moneta
- Ryan Stevenson
- Ashley Raynor
- Richard Lucas
補足
オリジナルのリリースは2023年、盤としてのリリースも2023年。アーティスト関連情報はBandcampでも確認できる。曲単位の代表的なヒット曲については、この作品情報からは特定しにくいが、アルバム全体を通して聴くタイプの構成になっている。
関連サイト: https://zopp.bandcamp.com/
トラックリスト
- A1 Amor Fati (2:10)
- A2 You (10:56)
- A3 Bushnell Keeler (5:06)
- A4 Uppmärksamhet (3:13)
- B5 Reality Tunnels (4:11)
- B6 Wetiko Approaching (1:59)
- B7 Toxicity (14:21)
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Energy – Energy (1974)
Energy『Energy』について
スウェーデン、ストックホルム出身のロック・バンド、Energyのアルバム『Energy』。もともとはAllrite名義で活動を始めたグループで、ジャズの要素を含んだプログレッシブ・ロックを演奏していたバンドとして知られている。ここで取り上げる作品は1974年作として位置づけられる内容で、盤としては2014年にドイツでリリースされたものだ。
バンドの背景
Energyは、Amadeo Nicoletti、Björn Inge、Alvaro Is、Bosse Norlénの4人による編成。アーティスト情報を見るかぎり、出発点はAllriteという名前で、その後Energyとして活動していった流れがある。スウェーデンの1970年代プログレ・シーンの中でも、ロックにジャズの語法を重ねたタイプのバンドとして見てよさそうだ。
サウンドの特徴
ジャンル表記はJazz、Rock、スタイルはFusion、Prog Rock。実際の聴きどころも、そうした並びに沿うものになっている。ロックの推進力を土台にしながら、ジャズ寄りのフレーズや展開を差し込む構成で、演奏中心の組み立てが想像しやすい。ギター、ベース、ドラムの動きに、鍵盤やアンサンブルの絡みが加わるタイプの質感で、70年代中盤の欧州プログレらしい手触りがある。
1970年代スウェーデン・プログレの文脈
同時代の北欧プログレには、長尺の展開やジャズ・ロック寄りの構成を持つグループが少なくない。Energyもその流れの中に置けるバンドで、純粋なハードロックでも、ジャズそのものでもない中間的な位置が印象に残る。フュージョン的な感覚とプログレッシブ・ロックの構成感、その両方を行き来する作品として捉えやすい。
作品の位置づけ
『Energy』は、バンド名をそのまま掲げたアルバムという点でも、グループの輪郭を示す一枚と見られる。アーティスト名と作品名が一致しているため、当時のバンドの方向性をまとめて示す性格が強い。1974年という時代性を考えると、欧州のプログレやジャズ・ロックの空気を反映した記録としても読み取りやすい。
まとめ
Energy『Energy』は、スウェーデンのロック・バンドがジャズの要素を取り入れたプログレッシブ・ロックを展開した作品。1974年のオリジナル作として、70年代中盤の欧州ジャズ・ロック/フュージョン系プログレの文脈に置けるアルバムだ。
トラックリスト
- A1 Subtle Forces (4:59)
- A2 Metamorphisis / Impressions (7:39)
- A3 Up To Seven (5:26)
- B1 Porta Marina (10:26)
- B2 John (6:32)
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Robert Wyatt – ’68 (2013)
Robert Wyatt『’68』について
Robert Wyattの『’68』は、2013年にリリースされた作品。ジャズとロックを土台にしながら、フュージョンや実験性のある方向へも目を向けた内容で、Wyattのキャリアを振り返るうえで重要な位置づけの1枚として扱われている。
作品の成り立ち
タイトルの通り、1968年に関わる音源をまとめたアルバムで、Robert Wyattの音楽活動の初期をたどる構成になっている。Wyattは1960年代にWilde Flowers、続いてSoft Machineを共同結成し、ロンドンのサイケデリック・アンダーグラウンドの文脈で活動を広げていった人物。Soft MachineはJimi Hendrix Experienceの前座としてアメリカ・ツアーも行っており、その時期の空気がこの作品にもつながっている。
Wyatt自身は、のちにソロ活動でも独自の足跡を残していくが、『’68』はそうした本格的なソロ期の前段階にあたる時期を示す資料的な意味合いも持つ。本人のライフワークにおける“欠けていた部分”を埋めるような位置づけ、と説明されている。
サウンドの特徴
ジャズ由来の流れとロックの推進力が同居し、そこに実験的な組み立てが重なるタイプの内容。Soft Machine周辺の時代を思わせる、時に流動的で、時にリズムの切り替わりがはっきりした手触りがある。いわゆる歌もの中心ではなく、演奏の動きや構成そのものを追う楽しみが大きい作品だ。
同時代の文脈で見ると、Canや周辺のプログレッシブ/アヴァン寄りのロック、あるいはジャズ・ロックの展開と並べて語られやすい領域。Robert Wyattの名前が出るときに連想される、柔らかな声のソロ作品とはまた違い、バンドの変化や即興性が前に出る場面が想像しやすい。
リリース情報
- オリジナルリリース年: 2013年
- リリース国: US
- ジャンル: Jazz, Rock
- スタイル: Fusion, Experimental
フォーマットについて
2013年10月8日にリリースされ、アナログ盤、CD、デジタル配信で展開された。アナログ盤は白盤の初回プレスから始まり、その後も色違いのプレスが重ねられている。デジタル版には「Rivmic Melodies (Radio Edit)」がボーナストラックとして収録されている。
Robert Wyattという人物
Robert Wyattは1945年、イングランドのブリストル生まれ。1960年代半ばにWilde Flowersを共同結成し、1966年にはSoft Machineを共同結成した。Soft Machineは1967年に初のシングルを発表し、1968年にはJimi Hendrix Experienceの全米ツアーに同行している。
その後、Wyattはソロ活動へ移り、1973年の事故によって下半身不随となったのちも、車椅子で演奏と録音を続けてきた。『’68』は、そうした長いキャリアの中でも、出発点の時代を見つめ直す作品として受け取れる。
ひとこと
『’68』は、Robert Wyattの初期キャリアとSoft Machine周辺の空気をたどるうえで、かなり見通しのいい1枚。ジャズ、ロック、実験性が交差する時代の記録として、当時の流れがそのまま残っているような内容だ。
トラックリスト
- A1 Rivmic Melodies (18:17)
- A2 Chelsa (5:00)
- B1 Slow Walkin’ Talk (3:00)
- B2 Moon In June (20:33)
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Tako – Tako (1978)
Tako『Tako』について
『Tako』は、ユーゴスラビアのプログレッシブ・ロック・バンド、Takoが1978年に発表したアルバムである。編成は、Dušan Ćućuz、Slobodan Felekatović、Miroslav Dukić、Đorđe Ilijin、Sava Bojićらによるもの。ジャンル表記としてはジャズ、ロックにまたがり、スタイル面ではプログレッシブ・ロック、スペース・ロック、フュージョンの要素を含む作品とされている。
作品の位置づけ
Takoは1970年代後半に活動したバンドで、アルバムは『Tako』(1978)と『U vreći za spavanje』(1980)の2作が知られている。本作『Tako』は、その初期を代表する1枚という位置づけになる。バンドの活動時期と重なる1978年の発表で、グループの基本的な音楽性を示す作品として見られることが多い。
サウンドの特徴
編成にはベース、ドラム、ギター、キーボードに加えてフルートやハープも含まれており、ロックの骨格の上に鍵盤や管楽器の要素を重ねる構成がうかがえる。プログレッシブ・ロックらしい曲展開に、ジャズ由来のフレーズやフュージョン寄りの動きが差し込まれるタイプの作りだと捉えやすい。スペース・ロックの表記もあるため、音の抜けや広がりを意識した場面も想像しやすい。
同時代の文脈
1970年代後半の東欧圏では、英米のプログレッシブ・ロックやジャズ・ロックの影響を受けつつ、各地のバンドが独自の解釈で作品を作っていた。Takoもその流れにあるグループのひとつで、演奏力を前面に出したロックと、組曲的な構成や即興性を感じさせる要素が接点になっている。比較の対象としては、同時代のプログレッシブ・ロックやジャズ・ロック系バンドの文脈で語られることが多そうなタイプである。
まとめ
『Tako』は、1978年当時のユーゴスラビア産プログレッシブ・ロックの空気を伝えるアルバムで、ロック、ジャズ、フュージョンの要素が交差する作品である。バンドの初期像を知るうえで、ひとつの基点になるレコードと言えそうだ。
トラックリスト
- A1 Wake Up (4:48)
- A2 Synthesis (4:55)
- A3 Merging Of Sunlight Into The Memory Of Sand (6:35)
- A4 Lena (4:43)
- B1 Miniature (2:55)
- B2 Second Side Of Me (16:26)
- B3 Journey To The South (3:42)
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Birth Control – The Best Of Birthcontrol Vol. 2 (1978)
Birth Control『The Best Of Birthcontrol Vol. 2』について
Birth Controlは、1966年にベルリンで結成されたドイツのロック・バンドだ。
本作『The Best Of Birthcontrol Vol. 2』は1978年にドイツでリリースされた編集盤で、バンドの活動期を振り返る内容になっている。
バンドの輪郭
Birth Controlは、ドイツのプログレッシブ・ロック、クラウトロック、ジャズ・ロックの流れの中で語られることが多いグループだ。
電子的な質感、ロックの推進力、ジャズ寄りの演奏感が重なるタイプで、同時代のGerman Rockの中でも長く活動を続けたバンドのひとつとして知られている。
この作品も、そうしたバンドの歩みをまとめた一枚として位置づけられる。
代表的な楽曲群を通して、Birth Controlの持つリズムの強さや、演奏主体の組み立てが見えやすい編集盤といえる。
サウンドの印象
ジャンル表記にある通り、ここではロックを軸に、ジャズ・ロック的な展開やプログレッシブ・ロックの構成感が前面に出る。
音の質感としては、演奏の密度が高く、リズム隊が曲を引っ張る場面が多い。そこにキーボードやギターが絡み、電子的な要素も加わることで、70年代ドイツらしい硬質な手触りが出ている。
派手な装飾よりも、バンド全体のアンサンブルで聴かせるタイプの編集盤として捉えやすい。
Krautrock周辺の作品に見られる、反復と推進力の感覚も感じ取れる内容だ。
同時代の文脈
Birth Controlは、CanやAmon Düül II、Guru Guru、Epitaphといった同時代のドイツ・ロック勢と並べて語られることがある。
ただし、完全に実験寄りへ振り切るというより、ロックの骨格を保ちながらジャズやプログレの要素を取り込んでいる点が特徴になっている。
1970年代のドイツのロック・シーンでは、英米のハードロックやプログレとは別の流れが育っていたが、Birth Controlはその中で比較的わかりやすい推進力を持ったバンドとして存在感を示してきた。
その歩みをまとめたのが、この『The Best Of Birthcontrol Vol. 2』という見方ができる。
作品の位置づけ
オリジナル・リリースは1978年。
バンドにとっては、すでに活動の蓄積が十分にたまった時期の編集盤であり、初期から70年代後半までの流れを確認できる内容と考えやすい。
なお、Birth Controlはこの後も活動を続けていくが、1978年時点では、当時までの足跡を整理する意味合いの強い一枚として見えてくる。
バンドの全体像をつかむうえで、ディスコグラフィの中の節目になる編集盤だ。
メンバーについて
クレジットには、Zeus B. Held、Xaver Fischer、Sascha Kühn、Dirk Steffens、Hugo Egon Balder、Rolf “Rocco” Klein、Wolfgang Horn、Bernd Noske、Horst Stachelhaus、Manfred von Bohr、Bruno Frenzel、Peter Föller、Jürgen Goldschmidt、Hartmut Schölgens、Bernd Koschmidder、Reinhold Sobotta、Hannes Vesper、Wolfgang Neuser、Peter Engelhardt、Fritz Gröger、Rolf Gurra、Martin Ettrichらの名前が並ぶ。
長い活動歴を持つバンドらしく、複数の時期のメンバーが関わっていることがわかる。
まとめ
『The Best Of Birthcontrol Vol. 2』は、Birth Controlのロック、ジャズ、電子的な要素が交差する持ち味を、編集盤という形でまとめた1978年の作品だ。
ドイツのクラウトロック、ジャズ・ロック、プログレッシブ・ロックの文脈の中で、バンドの輪郭を確認しやすい一枚になっている。
トラックリスト
- A1 Gamma Ray (Live) (7:53)
- A2 My Mind (The Sad Man With The Third Ear) (6:49)
- A3 Back From Hell (8:08)
- B1 Trial Trip (The Ferry To The Isle) (6:41)
- B2 Mister Hero (6:42)
- B3 Buy! (7:10)
Philippe Besombes – Libra (1975)
Philippe Besombes『Libra』について
Philippe Besombesの『Libra』は、1975年に発表された作品で、Electronic、Jazz、Rock、Stage & Screenの要素が交差する一枚です。スタイルとしてはSoundtrack、Free Jazz、Avantgarde、Experimentalに位置づけられており、シンセサイザーやキーボードを軸にした実験性の強い作品として捉えられます。
Besombesはフランスのキーボード/シンセサイザー奏者、プロデューサー、作曲家、録音エンジニアとして知られる人物です。コンテンポラリーな感覚とスタジオワークの両方に関わってきた経歴が、この作品にもつながっているように見えます。1970年代半ばという時期らしく、電子音楽と即興、ロック的な推進力が近い距離で並ぶ作りです。
サウンドの印象
音の中心には、電子音の質感とジャズ寄りの即興性があります。そこにロックのリズム感や、映像音楽を思わせる場面展開が加わり、曲ごとに輪郭の変わる構成になっている印象です。フリー・ジャズやアヴァンギャルドの文脈に置くと見えやすい内容で、同時代の実験音楽やサウンドトラック作品とも接点を持つタイプの作品と言えそうです。
作品の位置づけ
Besombesは後年にかけてスタジオ設立やレーベル運営にも関わっており、制作技術と表現の両面を持つ音楽家として見られます。『Libra』は、その活動の初期にあたる1975年の作品として、作曲家・演奏家・エンジニアという複数の顔が重なる時期の記録とも取れます。
この時代のヨーロッパでは、電子音楽、即興演奏、映画音楽的なアプローチが近づく流れがあり、Besombesの作品もその文脈に置いて考えられるでしょう。具体的には、ジャズ・ロックや実験音楽、サウンドトラックの周辺と響き合う内容です。
補足
作品全体としては、特定のヒット曲を前面に出すタイプではなく、アルバム単位で流れを追う性格が強い印象です。1975年のオリジナル作品としての『Libra』を、2010年の盤で聴く構成になっています。
Philippe Besombesの活動や関連情報は、公式的なプロフィールやアーカイブ、Bandcampページなどでも確認できます。
トラックリスト
- A1 La Plage
- A2 Rugby
- A3 Thème Grave
- A4 Ballade En Vélo
- A5 Les Diapos
- A6 Ceremonie
- A7 Jaune
- A8 PJF 261
- A9 Raggacountry
- A10 Boogimmick
- B1 Hache 06
- B2 Appel De Libra
- B3 Poursuite
- B4 La Ville
- B5 Les Cosmonautes
- B6 Avecandista
- B7 Tis A Song
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Sloche – Stadacone (1976)
Sloche『Stadacone』について
Slocheは、カナダ・ケベック州のプログレッシブ・ロック/フュージョン・バンド。『Stadacone』は1976年に発表された作品で、ジャズとロックを行き来する構成と、変拍子を含む演奏で知られるグループの代表的な一枚として語られることが多い。
メンバーはAndré Roberge、Martin Murray、Réjean Yacola、Pierre Hébert、Caroll Bérard、Gilles Chiasson。ギター、キーボード、ベース、ドラムを軸にしたアンサンブルで、プログレッシブ・ロックの組曲的な展開と、フュージョン寄りの機動力をあわせ持つ作りになっている。
サウンドの特徴
この作品の軸は、複雑なリズムと流れるような演奏の組み合わせにある。ロックの推進力を持ちながら、ジャズ由来の間合いや即興性が入り、楽曲は細かく展開していく。シンセサイザーや鍵盤の使い方も印象的で、音の重なりがはっきりした質感になっている。
全体としては、70年代中期のカナダ産プログレらしい作り。同時代のフレンチ・カナディアン圏のプログレや、ジャズ・ロック寄りのバンドと並べて語られることがある。音の密度は高めだが、演奏の輪郭は比較的くっきりしている。
作品の位置づけ
Slocheはケベックのプログレ・シーンの中で名前が挙がるグループのひとつで、『Stadacone』はその活動を知るうえで重要な作品とされることが多い。バンドのプロフィールにある通り、プログレッシブ・ロックとフュージョンの接点に立つバンド像が、そのまま出た内容と見てよさそうだ。
同時代との関係
1970年代のカナダでは、英語圏・フランス語圏それぞれで個性的なプログレ/フュージョン系バンドが活動していた。Slocheもその流れの中にあり、技巧的な演奏、長めの構成、ジャズ寄りのリズム感といった要素で、当時のプログレ・ファンの文脈に置かれることが多い。
盤について
ここで扱う盤は2019年リリースのもの。オリジナルの1976年作を後年にあらためて聴ける形にしたアイテムとして位置づけられる。
まとめ
『Stadacone』は、Slocheというケベックのプログレ/フュージョン・バンドの性格がよく見える一枚。ジャズとロックの接点、複雑な展開、70年代カナダ産らしい演奏主導の作りが、作品全体を形づくっている。
トラックリスト
- A1 Stadaconé (10:10)
- A2 Le Cosmophile (5:36)
- A3 Il Faut Sauver Barbara (4:13)
- B1 Ad Hoc (4:30)
- B2 La “Baloune” De Varenkurtel Au Zythogala (4:55)
- B3 Isacaaron (Ou Le Démon Des Choses Sexuelles) (11:18)
関連動画
Birth Control – Hoodoo Man (1972)
Birth Control『Hoodoo Man』
Birth Controlは、1966年にベルリンで結成されたドイツのプログレッシブ・ロック・バンド。ジャズやロックの要素を取り込みながら発展してきたグループで、ドイツ・ロックの長い歴史の中でも重要な存在として知られている。『Hoodoo Man』は1972年の作品で、2016年に再発盤が出ている。
サウンドの特徴
ジャンル表記どおり、ジャズ・ロックとプログ・ロックを軸にした内容で、演奏主導の組み立てが目立つ作品。リズムの動きがはっきりしていて、ハードなロック感と、ジャズ由来の流れのある展開が同居している。クラシック・ロック寄りの骨格に、当時のドイツ勢らしい長めの構成や硬質なバンド・アンサンブルが乗るタイプのアルバムといえる。
バンドの中での位置づけ
Birth Controlは1960年代後半から活動を続け、70年代にはドイツ・ロックの有力バンドのひとつへと成長していく。『Hoodoo Man』は、その流れの中で制作された初期の代表的な時期の作品として捉えやすい。のちの活動を見ても、この時期の演奏感やバンドのまとまりは、グループの方向性を示す部分になっている。
同時代とのつながり
同時代のドイツのロック・シーンでは、CanやAmon Düül II、Guru Guruのように、ロックをベースにしながらジャズや即興性を混ぜる動きが広がっていた。Birth Controlもその文脈に置けるバンドで、『Hoodoo Man』はそうした70年代前半の空気を感じさせる一枚として見やすい。
作品の輪郭
本作は、派手な装飾よりもバンド全体の推進力が前に出るタイプのアルバム。リフ、リズム、展開の切り替えが軸になっていて、曲ごとの構成を追う楽しさがある。Birth Controlの初期から中期へ向かう流れを知るうえでも、ひとつの節目として見えてくる作品だ。
トラックリスト
- A1 Buy ! (7:10)
- A2 Suicide (6:16)
- A3 Get Down To Your Fate (7:58)
- B1 Gamma Ray (9:44)
- B2 Hoodoo Man (8:25)
- B3 Kaulstoß (2:40)
関連動画
Magick Brother & Mystic Sister – Tarot Pt. I (2024)
Magick Brother & Mystic Sister『Tarot Pt. I』について
『Tarot Pt. I』は、Greece発のリリースとして2024年に登場したMagick Brother & Mystic Sisterの作品。Barcelona, Spainを拠点に活動するバンドで、名前はGongの1st収録曲タイトルに由来するというプロフィールを持つ。メンバーはMarc Tena、Maya Fernández、Xavi Sandoval、Eva Muntadaの4人編成。
ジャンル表記はJazz、Rock、Pop。スタイルとしてはPsychedelic Rock、Folk Rock、Prog Rock、Space-Ageが挙げられていて、ロックを軸にしながら、ジャズやポップの要素を交えた構成が想像しやすい。サイケデリック・ロックやプログレッシブ・ロックの文脈に置ける一枚で、浮遊感のある展開や、フォーク寄りの手触り、スペースエイジ的な響きが重なるタイプの作品といえる。
作品の輪郭
タイトルに「Pt. I」とある通り、シリーズ性を感じさせる命名になっている。作品全体は、単なるロック作品というより、複数の要素を行き来する作りの中に位置づけられる。ギター主体のバンド・サウンドを土台にしながら、旋律や曲展開の組み立てにジャズやプログレの感覚が入り込む、という見え方がしやすい。
同時代の文脈で見ると、70年代的なサイケデリック・ロックやフォーク・ロック、プログレッシブ・ロックの語法を参照しつつ、現代のバンド・アンサンブルとしてまとめているタイプの作品群に近い。音像の方向としては、派手さだけを前面に出すのではなく、楽器の重なりや曲の流れを追う楽しさが中心になりそうだ。
アーティストとしての位置づけ
Magick Brother & Mystic Sisterにとって『Tarot Pt. I』は、バンドの名前や指向性を示しやすい一作。アーティスト名の由来からも、既存のロック史への接続を意識した姿勢がうかがえる。作品名、編成、スタイルの組み合わせを見ると、単発のシングルというより、バンドの世界観をまとめたアルバム的な位置づけとして捉えやすい。
サウンドの印象
音の質感としては、ロックの骨格を保ちながら、ジャズ由来の運びやポップ寄りのメロディー感が差し込む構成が思い浮かぶ。そこにPsychedelic RockやSpace-Ageの要素が加わることで、曲ごとの輪郭が少し変化していくタイプの聴き味になっている可能性が高い。フォーク・ロックの要素が入ることで、アコースティックな手触りや歌の存在感も前に出やすい。
まとめ
『Tarot Pt. I』は、2024年の作品として、Magick Brother & Mystic Sisterの持つサイケデリック、フォーク、プログレ、スペースエイジの要素をまとめた一枚。Greece発のリリースという点も含め、ヨーロッパ圏の現代バンドによる、ジャンル横断的なロック作品として見えてくる。
トラックリスト
- A1 The Fool (5:39)
- A2 The Magician (5:39)
- A3 The High Priestess (3:38)
- A4 The Empress (3:42)
- A5 The Emperor (2:52)
- B1 The Hierophant (3:21)
- B2 The Lover (3:21)
- Β3 The Chariot (3:06)
- B4 Justice (4:56)
- B5 The Hermit (3:11)
- B6 Wheel Of Fortune (4:21)