The Waitresses – Wasn’t Tomorrow Wonderful? (1982)
The Waitresses『Wasn’t Tomorrow Wonderful?』について
The Waitressesは、アメリカ・オハイオ州アクロン出身のニュー・ウェイヴ/ポストパンク・バンド。のちにニューヨークへ拠点を移し、鋭いギター・ワークと、話し言葉に近いボーカル、軽妙なユーモアを含む楽曲で知られるグループだ。本作『Wasn’t Tomorrow Wonderful?』は1982年に登場した作品で、同年リリースの日本盤として流通している。
バンド名を聞いてまず思い浮かぶのは、やはりPatty Donahueのボーカルと、Chris Butlerを中心にしたひねりのある曲作り。The Waitressesは、同時代のニュー・ウェイヴの中でも、単にシンセや速いビートを並べるだけではない、言葉の運びや曲の切り方に特徴があるグループとして語られることが多い。本作も、その輪郭がはっきり出る時期の一枚として捉えやすい。
作品の位置づけ
1982年という時期は、The Waitressesにとって比較的知られた楽曲が広く流通していた時期でもある。代表曲としては「I Know What Boys Like」がよく挙がり、バンドの名前を外へ押し出した曲として扱われることが多い。そうした流れの中で聴くと、『Wasn’t Tomorrow Wonderful?』は、バンドの持ち味をアルバム単位で確認するための作品として見えやすい。
アメリカのニュー・ウェイヴやポストパンクの文脈では、Talking HeadsやB-52’sのように、ロックの基本形をそのままなぞらずに、リズムや言葉の置き方で個性を作るバンドが並ぶ。その中でもThe Waitressesは、より都会的で、少し乾いた感触のある仕上がりが印象に残るタイプだ。
音の特徴
クレジット上のジャンルはElectronic、Rock、Pop、スタイルはNew Wave。実際の印象としては、ロックの骨格を土台にしながら、電子音やキーボードの配置で空気を整え、ポップなフックを曲の中に通していく作り。演奏の熱量を前面に押し出すというより、フレーズの置き方や間の取り方で曲を進める場面が目立つ。
この手のニュー・ウェイヴ作品は、派手さよりも、短い言葉、反復、少しずらしたノリで印象を残すことが多い。本作もその系譜にある一枚として見やすい。Patty Donahueの歌い回しに耳が向く人は多そうで、バンドのユーモアや距離感は、そうしたボーカルの立ち方にも支えられている。
参加メンバーについて
クレジットにはChris Butler、Mars Williams、Ralph Carney、Holly Beth Vincent、David Hofstra、Billy Ficca、Dan Klayman、Tracy Wormworth、Patty Donahue、Stuart Austin、Ariel Warner、Patty Darlingの名が並ぶ。The Waitressesの中心人物としてはChris ButlerとPatty Donahueがまず挙がり、そこにサックスやリズム隊、補助的なプレイヤーが加わる形。ニュー・ウェイヴ期らしい柔軟な編成感がある。
日本盤としての特徴
この日本盤には、歌詞シートと帯が付属する。日本で流通した当時の洋楽LPらしい仕様で、コレクション面でもわかりやすいポイントだ。マスタリングはSterling Soundで行われ、Ze Recordsからのライセンス盤として出ている。
オリジナルの1982年作品として見た場合、日本盤は作品内容そのものに大きな変更があるタイプではなく、当時の国内流通向けのパッケージ違いとして捉えるのが自然だろう。帯や歌詞シートの有無は、聴く体験というより、手元に置く楽しさに関わる要素になっている。
まとめ
『Wasn’t Tomorrow Wonderful?』は、The Waitressesというバンドの個性を、1982年時点のニュー・ウェイヴの空気の中で確認できる作品。アクロン発のバンドがニューヨークへ移りながら形にしていった、言葉の切れ味とリズム感のバランスが、この時期の重要な手がかりになっている。
代表曲で知られるバンドを、アルバム単位で追う入口としても位置づけやすい一枚。派手な大ヒットだけではなく、当時のポップ/ロック/電子音の交差点にあった感触を残す作品として記憶されることが多い。
トラックリスト
- A1 – No Guilt
- A2 – Wise Up
- A3 – Quit
- A4 – It’s My Car
- A5 – Wasn’t Tomorrow Wonderful?
- B1 – I Know What Boys Like
- B2 – Heat Night
- B3 – Redland
- B4 – Pussy Strut
- B5 – Go On
- B6 – Jimmy Tomorrow
関連動画
- I Know What Boys Like – The Waitresses (HQ Audio)
- The Waitresses – I Know What Boys Like (1982)
- THE WAITRESSES- Wasn’t Tomorrow Wonderful
- The Waitresses – Christmas Wrapping (Music Video)
- The Waitresses – No Guilt (Live TV 1982)
- The Waitresses – I Know What Boys Like (Excerpt from the Sitcom “Square Pegs”, 1982)
- No Guilt
- Wise Up
- Quit
- It’s My Car
A Flock Of Seagulls – A Flock Of Seagulls (1982)
A Flock Of Seagulls『A Flock Of Seagulls』について
A Flock Of Seagullsのデビュー・アルバム『A Flock Of Seagulls』は、1982年に発表された1枚で、ニューウェーブとシンセポップの流れの中でもよく知られた作品だ。バンドはイギリス・リバプールでマイク・スコアと弟のアリ・スコアを中心に始まり、80年代前半の空気を強くまとったサウンドで存在感を示した。
このアルバムはバンドにとって最初の長編作品であり、後の代表曲をまとめて確認できる初期の基盤でもある。US盤では「Tokyo」が外れている構成で、収録内容に地域差がある点もこの時代のレコードらしいところだ。
作品の位置づけ
本作は、A Flock Of Seagullsの名前を広く知らしめた出発点として扱われることが多い。アルバムからは複数のシングルが切られており、発売順としては「Telecommunication」「Modern Love Is Automatic」「I Ran」「Space Age Love Song」が並ぶ。
特に「I Ran」は、このバンドを語るうえで外しにくい代表曲だ。シンセの輪郭がはっきりしたイントロと、ギターの細いフレーズが前面に出る作りで、ニューウェーブの中でも識別しやすい楽曲になっている。「Space Age Love Song」も含め、アルバム全体の印象を決める中心曲として機能している。
サウンドの印象
この時期のA Flock Of Seagullsは、シンセサイザーを土台にしながら、ポール・レイノルズのギターが音の輪郭を作る形が特徴的だ。ベースとドラムは直線的に進み、ボーカルはマイク・スコアの高めで乾いた響きが前に出る。音数は多くないが、各パートの配置がはっきりしていて、80年代初頭のスタジオ録音らしい整理された質感がある。
同時代のニューウェーブやシンセポップの文脈で見ると、デュラン・デュランやトンプソン・ツインズのようなポップ性の強い流れと並べて語られることがある一方で、A Flock Of Seagullsはギターの処理や空間の使い方に独特の癖がある。派手さよりも、音の配置と反復で覚えさせるタイプの作りだ。
収録曲とシングル
オリジナル盤は1982年4月9日発売。UKアルバムチャートには4月17日に入っており、最高32位を記録している。シングルは以下の4曲。
- 「Telecommunication」
- 「Modern Love Is Automatic」
- 「I Ran」
- 「Space Age Love Song」
とくに「Modern Love Is Automatic」は、12インチ・シングル版で別構成の収録があったことでも知られる。こうした形で当時のクラブ向けフォーマットや拡張ミックスの文化と接続していた点も、この時代の作品らしい。
US盤としての特徴
今回のUS盤は、Aristaからの流通で、Hauppauge Record Manufacturing Ltd.によるプレスが示されている。表記上は1982年の盤で、オリジナル発売年と同じ時期のリリースにあたる。US/Canada盤では「Tokyo」が省かれているため、曲順と収録内容に違いがある。
クレジット面では、全曲がZomba Enterprises, Inc.(BMI)出版、℗表記は曲ごとに1981年と1982年が混在している。制作の積み重なりがそのまま残っている形だ。
アーティストとしての意味合い
A Flock Of Seagullsは、1979年にリバプールで始まったグループで、1980年代前半に活動の核がある。オリジナル編成はマイク・スコア、ポール・レイノルズ、アリ・スコア、フランク・モーズリー。のちに再結成や別編成での活動もあるが、このデビュー作はやはりオリジナル期の輪郭を最もはっきり伝える。
2018年にはオリジナル・ラインナップでオーケストラ作品『Ascension』を制作し、2021年にも『String Theory』を制作しているが、そうした後年の動きと比べると、本作はバンドの原型が最もストレートに出ている時期の記録といえる。
まとめ
『A Flock Of Seagulls』は、1982年のニューウェーブ/シンセポップの空気をそのまま掴めるデビュー・アルバムだ。代表曲「I Ran」を中心に、シンセとギターの役割分担が明確で、曲ごとの輪郭もはっきりしている。US盤では「Tokyo」が省かれているため、聴き比べると構成差も確認できる1枚になっている。
トラックリスト
- A1 – I Ran (3:58)
- A2 – Space Age Love Song (3:46)
- A3 – You Can Run (4:28)
- A4 – Don’t Ask Me (2:46)
- A5 – Messages (2:51)
- B1 – Telecommunication (2:31)
- B2 – Modern Love Is Automatic (3:49)
- B3 – Standing In The Doorway (4:41)
- B4 – D.N.A. (2:30)
- B5 – Man Made (5:38)
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The Box – Secrets Out (1983)
The Box『Secrets Out』(1983)について
『Secrets Out』は、イングランド・シェフィールド出身のThe Boxが1983年に発表した作品です。電子音楽とロックの要素を軸にしながら、新しい波の時代らしい硬質さと実験的な感触をあわせ持つ1枚として聴こえます。The Boxは、Clock DVAの初期メンバーだったPaul Widger、Charlie Collins、Roger Quailを中心に、Terry Toddらが加わって結成されたグループで、この作品はそうした流れの中で形になった初期の仕事にあたります。
作品の立ち位置
バンドは後にGo! DiscsからLPを2枚と複数のシングルを出し、その後はCabaret VoltaireのDoublevisionレーベルでも活動を続けています。そうした経歴を踏まえると、『Secrets Out』はThe Boxの出発点に近い時期の記録であり、のちの展開につながる輪郭がすでに見える作品として位置づけられるはずです。Peter Hopeが参加した編成で、メンバーはPeter Hope、Roger Quail、Charlie Collins、Paul Widger、Terry Todd。
音の印象
楽器の配置はかなり整理されていて、リズムの刻み、ギターの切れ味、電子的な質感が前に出るタイプの音像です。ロックの推進力を保ちながら、ニューウェーブ以降の乾いた空気感や、実験色のある組み立てが同居しているところが耳に残ります。シェフィールド周辺の同時代の流れ、たとえばCabaret VoltaireやClock DVAに通じる緊張感を感じさせる場面もあり、ただしそのまま同列に置けるわけではなく、よりバンドとしてのまとまりが見える印象です。
同時代の文脈
1983年という時期は、ポストパンクの余韻と電子音楽の方法が交差していた時代です。The Boxもその空気の中で、単純なロックでも純粋な電子音楽でもない形を取っています。音の作り方にしても、歌ものとしての分かりやすさより、リズムや質感の組み合わせを優先しているように聴こえる場面があり、この時代の実験的なニューウェーブ作品らしい手触りです。
ひとこと
『Secrets Out』は、The Boxが1980年代前半のシェフィールド・シーンの中でどんな位置にいたかを確かめやすい作品です。電子音、ロック、ニューウェーブ、実験性が一枚の中でどう接続されているか、その輪郭が見えやすいタイトルといえます。
トラックリスト
- A1 – Water Grows Teeth
- A2 – Skin, Sweat And Rain
- A3 – Something Beginning With ‘L’
- A4 – Strike
- A5 – The Hub
- A6 – Hang Your Hat On That!
- B1 – I Give Protection
- B2 – No Sly Moon
- B3 – Slip And Slant
- B4 – Old Style Drop Down
- B5 – Swing
- B6 – Out
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The Wreckery – Collection (1988)
The Wreckery『Collection』について
『Collection』は、オーストラリア・メルボルンで1985年に結成されたパンク・ブルース系グループ、The Wreckeryの作品です。1988年にオーストラリアでリリースされ、バンドの活動初期をまとめて追ううえでひとつの節目になるタイトルとして位置づけられます。
バンドの背景
The Wreckeryは、Robin Casinader、Hugo Race、John Murphy、Nick Barker、Edward Clayton-Jones、Charles Toddらが在籍したグループです。オーストラリアのロック・シーンの中でも、パンクの推進力とブルース寄りの感触をあわせ持つバンドとして知られています。
サウンドの印象
ロックを軸にしながら、スタイルとしてはニュー・ウェイヴの要素が見える作品です。演奏の輪郭がはっきりしたタイプのサウンドで、ギター、リズム、ボーカルの押し引きが前に出る作りが想像しやすいところです。パンク的な直進性と、ブルース由来の質感が同居するバンドらしさが、作品全体の手触りにつながっているようです。
作品の位置づけ
1988年という時点での『Collection』は、The Wreckeryの初期の流れを示すものとして見られるタイトルです。メルボルン発のオーストラリアン・ロックの文脈の中で、同時代のニュー・ウェイヴやポスト・パンク周辺と並べて語られることもありそうです。Hugo RaceやJohn Murphyの名前から、後年のオーストラリア勢の動きに接続して見ていく楽しみもあります。
ひとこと
ヒット曲や代表曲を前面に押し出すタイプというより、バンドの輪郭や当時の空気をまとめてたどる性格の作品として受け取れます。オーストラリアのロック史の中で、パンクとブルース、ニュー・ウェイヴのあわいを記録した一枚、といった見方がしやすいです。
トラックリスト
- A1 Ruling Energy
- A2 Grinder Mill
- A3 Body Like A Stone
- A4 Yeh My People
- A5 No Shoes For This Road
- B1 Governors Pleasure
- B2 Base Devil
- B3 Overload
- B4 Seven Days Spell
- B5 Everlasting Sleep
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Lene Lovich – Stateless (1978)
Lene Lovich『Stateless』
Lene Lovichの『Stateless』は、1978年に初出したニューウェイヴ期の重要作のひとつ。アメリカ・デトロイト生まれで、10代でイギリスへ渡ったLovichが、電子的な質感とロックの輪郭を行き来しながら、自分の個性を前面に出した作品として知られる。カナダ盤は1979年リリースで、オリジナルの登場から間を置かずに広まった一枚になる。
作品の輪郭
ジャンル表記はElectronic、Rockで、スタイルはLeftfield、New Wave、Synth-pop。実際の印象としては、シンセの冷たい響きと、ギターやリズムの硬さが同居する内容。ポップソングの形を取りながら、声の出し方やフレーズの置き方で、一般的なニューウェイヴ作品とは少し違う方向へ寄っている。音のまとまりよりも、ひっかかりのある配置が目立つ作り。
Lene Lovichという存在
Lovichは、後のニューウェイヴ・シーンで個性的な女性シンガーとして語られることの多い人物。アメリカ出身でありながらイギリスで活動を本格化させた経歴もあり、当時の英国ニューウェイヴの空気と強く結びついている。『Stateless』は、その初期キャリアを代表する位置づけの作品として見られることが多い。
同時代とのつながり
同時代の文脈で見ると、Patti SmithやSiouxsie Sioux、Debbie Harryのような、声や佇まいでロックの既成像をずらしていくアーティスト群と並べて語られやすい。とはいえ、Lovichはより歌い回しの癖が強く、曲の構造よりも発声そのものが印象を残すタイプ。ニューウェイヴ、シンセポップ、左寄りのポップ感覚が交差する地点にある作品といえる。
曲とエピソード
このアルバムは、発売後1年ほどのあいだに複数の版が出たことでも知られる。収録曲の一部は再録音やリミックスが行われ、地域によって内容が少しずつ異なる。盤によってはマトリクス表記に「Steve」が入っているものがリミックス版の目印になる、という細かな違いもある。こうした版の差異も含めて、当時のニューウェイヴ作品らしい流通の複雑さが見える一枚。
代表曲としては「Lucky Number」がよく挙げられる。アルバムの中でも認知度の高い楽曲で、Lovichの鋭い歌声と、リズムの立ち方がはっきり出た曲。作品全体の性格をつかむ入口として語られることが多い。
まとめ
『Stateless』は、1978年のニューウェイヴの空気を、Lene Lovich独自の声と感覚で切り取ったアルバム。電子音の冷たさ、ロックの硬さ、ポップソングとしてのわかりやすさが同時に並ぶ内容で、初期ニューウェイヴの一断面として見どころのある作品だ。
トラックリスト
- A1 Home (3:40)
- A2 Sleeping Beauty (3:00)
- A3 Lucky Number (2:47)
- A4 Too Tender (To Touch) (4:04)
- A5 Say When (2:49)
- B1 Writing On The Wall (3:08)
- B2 Telepathy (2:45)
- B3 Momentary Breakdown (3:18)
- B4 I Think We’re Alone Now (2:45)
- B5 One In A 1,000,000 (2:48)
- B6 Tonight (4:27)
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Television – Live At The Waldorf In San Francisco 29 June 1978 (2003)
Television『Live At The Waldorf In San Francisco 29 June 1978』
Televisionは、1973年にニューヨークで結成されたアメリカのロック・バンドだ。本作『Live At The Waldorf In San Francisco 29 June 1978』は、1978年6月29日にサンフランシスコのWaldorfで行われたライヴを収めた作品として2003年に登場し、2020年盤としても流通している。ジャンル表記はRock、スタイルはNew Wave、Punk。
バンドの輪郭
Tom VerlaineとRichard Lloydの2本のギターを軸にしたTelevisionは、パンク以後のニューヨーク・シーンを代表する存在のひとつとして語られることが多い。演奏の骨格はタイトで、フレーズの応酬や間の取り方にこのバンドらしさが出る。Billy Ficcaのドラム、Richard Meyersのベースが支えるリズムも含めて、音数は多くないが、各パートの動きがはっきり聴こえるタイプのバンドだ。
1978年のライヴという位置づけ
1978年は、Televisionの初期活動期の終盤にあたる時期で、バンドの基本形がすでに固まっていた頃だ。本作はその時期のステージを記録したもので、スタジオ盤とは少し違う、演奏の生々しさや曲の組み立て方が見えやすい内容になっている。Tom VerlaineのギターとRichard Lloydのギターが絡む場面は、このバンドの核心ともいえる部分だろう。
サウンドの特徴
Televisionの音は、いわゆる勢いだけのパンクとは少し違う。テンポを保ちながらも、ギターの細かな音の動きや、フレーズの受け渡しに耳が向く作りだ。New WaveやPunkの文脈に置かれつつも、即効性よりも演奏の精度や構成の工夫が前に出る印象がある。ライヴ盤では、その輪郭がよりはっきり伝わる。
代表曲との関係
Televisionを語るうえでは、『Marquee Moon』や『Venus』のような代表曲がまず挙がることが多い。本作が収めるのは1978年のライヴなので、そうした楽曲群をステージでどう鳴らしていたかに触れられる点も、この作品の見どころのひとつといえる。
同時代との関わり
同時代のニューヨーク・パンクの流れの中では、TelevisionはRamonesやPatti Smith Groupなどと並べて語られることがある。ただし、Televisionはよりギターの対話や曲の展開に重心があるバンドで、単純な速さや荒さとは別の方向に個性がある。New Waveの初期形を考えるうえでも、重要な位置にあるグループだ。
作品の聴きどころ
- Tom VerlaineとRichard Lloydのギターの掛け合い
- 1978年時点のバンドのまとまり
- スタジオ盤とは異なるライヴならではの演奏感
- パンクとニューウェイヴの境界にある時期の記録
Televisionは2000年代以降も活動を続けたが、2023年にTom Verlaineが亡くなり、バンドは事実上その歴史を終えた。本作は、初期Televisionの姿を伝えるライヴ記録として、バンドの輪郭をつかみやすい一枚だ。
トラックリスト
- A1 The Dream’s Dream
- A2 Friction
- A3 Marquee Moon
- A4 Careful
- B1 Venus De Milo
- B2 Foxhole
- B3 Ain’t That Nothin’
- B4 Little Johnny Jewel
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Siouxsie & The Banshees – Tinderbox (1986)
Siouxsie & The Banshees『Tinderbox』
Siouxsie & The Bansheesの『Tinderbox』は、1986年にオリジナル・リリースされた7作目のスタジオ・アルバムです。ポストパンクを土台にしながら、オルタナティヴ・ロック、ニューウェイヴ、ゴシック・ロックの要素を組み合わせた一枚で、バンドの中期を代表する作品として語られることの多いタイトルです。ここで紹介するのは2018年盤です。
バンドの立ち位置
Siouxsie & The Bansheesは、1976年にロンドンで結成されたイギリスのバンドです。Siouxsie Siouxのヴォーカル、Steven Severinのベースを軸に、時期ごとにギタリストやドラマーを変えながら活動してきました。『Tinderbox』の時点では、Siouxsie Sioux、Steven Severin、John Valentine Carruthers、Budgieという編成。バンドのなかでも、音像が整理されつつ、演奏の輪郭がはっきりした時期の作品といえる。
サウンドの特徴
本作は、リズム隊の推進力と、ギターの鋭いフレーズが前に出る作り。録音はベルリンのHansa TonstudiosとロンドンのMatrix Studiosで行われ、ミックスはAir Studiosで仕上げられている。音の質感は比較的タイトで、曲ごとの緊張感が保たれている印象。ゴシック・ロックの要素は残しつつも、暗さだけに寄らず、構成の明快さが目立つアルバムでもある。
収録曲とシングル
全曲はバンド自身による作曲、プロデュース、アレンジ。アルバムからは事前にシングルも出ており、1985年10月の「Cities in Dust」と、1986年2月の「Candyman」が関連曲として挙げられる。どちらもバンドの代表曲として知られることの多いナンバーで、『Tinderbox』の輪郭をつかむうえでも重要な曲になっている。
- 「Cities in Dust」:アルバム期を代表するシングル
- 「Candyman」:続くシングルとして発表された楽曲
同時代とのつながり
1980年代半ばのイギリスでは、ポストパンク以降の流れを引き継ぎながら、ニューウェイヴやゴシック・ロックがそれぞれの形で広がっていた時期です。Siouxsie & The Bansheesは、そのなかでも独自の存在感を保ち続けたバンドで、同時代のThe Cureなどと並べて語られることも多い。『Tinderbox』は、そうした文脈のなかで、バンドの作曲面と演奏面のまとまりが見えやすいアルバムとして位置づけられる一枚です。
まとめ
『Tinderbox』は、Siouxsie & The Bansheesのキャリアのなかで、音の整理と緊張感が同時に前に出た1986年作です。ポストパンクの流れを引き継ぎながら、ニューウェイヴやゴシック・ロックの手触りを持った作品として、バンドの中期を押さえるうえで外せないタイトルといえるでしょう。
トラックリスト
- A1 Candyman
- A2 The Sweetest Chill
- A3 This Unrest
- A4 Cities In Dust
- B1 Cannons
- B2 Party’s Fall
- B3 92°
- B4 Lands End
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Chuzpe – 1000 Takte Tanz (1982)
Chuzpe『1000 Takte Tanz』について
Chuzpeは、1977年にウィーンで結成されたオーストリアのニューウェイブ/ポストパンク・バンドである。『1000 Takte Tanz』は1982年の作品として知られ、2012年に盤がリリースされている。電子音とロックの要素を行き来しながら、ニューウェイブ、シンセポップ、ミニマルの感触をまとめた一枚という位置づけになる。
バンドの背景
Chuzpeは、Robert Wolfを中心に結成されたグループで、オーストリア初期のパンク・シーンとも関わりのある存在として語られている。ウィーンという都市の空気と、当時のヨーロッパのポストパンク/ニューウェイブの流れが重なるあたりに、このバンドの立ち位置が見えてくる。
メンバーにはMic Metal、Andy Kolm、Stefan Pfeistlinger、Stephan Wildner、Gunulf、Jimmy Deix、Christian Brandl、Robert Wolf、James Bong、Charlie Wolf、Albert Griemann、Rudi Barcalらが名を連ねる。
サウンドの印象
『1000 Takte Tanz』は、ロックの骨格に電子的な質感を重ねた作品として捉えやすい。ニューウェイブらしいリズムの運び、シンセポップの音色、ミニマルな反復感が軸にあり、派手さよりも構造の組み立てで聴かせるタイプの手触りである。
同時代の文脈で見れば、初期ニューウェイブやポストパンクの流れ、あるいはシンセを前面に出したヨーロッパ圏のバンド群と並べて語られることがありそうだ。音の作り込みと簡潔さのバランスに、当時の空気が残っている。
作品としての位置づけ
1982年という時期は、Chuzpeにとって初期活動の延長線上にある時代で、バンドのサウンドがニューウェイブ/シンセポップ寄りの方向へまとまっていく局面とも読める。オーストリアのローカルなパンク/ニューウェイブ史の中で、Chuzpeの名前を確認するうえで重要な作品のひとつである。
補足
- アーティスト名: Chuzpe
- タイトル: 1000 Takte Tanz
- オリジナル年: 1982年
- 盤のリリース年: 2012年
- 国: オーストリア
- ジャンル: Electronic, Rock
- スタイル: New Wave, Synth-pop, Minimal
作品全体としては、オーストリアのニューウェイブ/ポストパンクの流れを押さえるうえで見逃しにくいタイトルである。
トラックリスト
- A1 Eine Hand Voll Chuzpe (2:22)
- A2 Zu Klug Für Diese Welt (1:49)
- A3 Vogue Girls (2:49)
- A4 Stealing Russians In Watchia (2:45)
- A5 Chinese Chive (2:10)
- A6 Der Rhythmus Dieser Stadt (2:17)
- B1 Der Meister Und Margerita (1:34)
- B2 Die Neuen Maschinen (3:21)
- B3 Gute Kräfte Sammeln Sich (1:56)
- B4 Das Zündholz (2:17)
- B5 Tote Körper Tanzen Anders (2:13)
- B6 Tausend Takte Tanz (4:11)
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Flesh For Lulu – Big Fun City (1985)
Flesh For Lulu「Big Fun City」について
Flesh For Luluは、ロンドンのブリクストンで結成されたロック・バンドで、1982年から1992年にかけて活動したグループだ。
「Big Fun City」は1985年の作品で、1986年に盤としてリリースされている。
イギリスのオルタナティブ・ロック、ニュー・ウェイヴ、インディー・ロックの流れに位置する一枚として見ていくと、バンドの輪郭がつかみやすい。
サウンドの印象
この時期のFlesh For Luluは、ギター中心のロックを軸にしながら、ニュー・ウェイヴ由来の乾いた質感や、オルタナティブ寄りの直線的な推進力を持つバンドとして語られることが多い。
「Big Fun City」も、そうした流れの中で、硬質なギターと前に出るリズム、都市的な空気感を感じさせる作品として捉えられる。
作品の位置づけ
Flesh For Luluは、Nick Marsh、Derek Greening、Kev Mills、Rocco Barker、James Mitchell、Mark Bishop、Glen Bishop、Hasse Perssonといったメンバー名が挙がるバンドで、80年代の英国ロックの文脈に置くと見えやすい。
「Big Fun City」は、アーティストの活動初期から中期にかけての時代感を伝える作品で、後の展開につながるバンドの基本的なスタイルを確認できる一枚という位置づけになっている。
同時代の文脈
80年代中盤の英国では、ポスト・パンク以後の感覚を引き継いだバンドが、ニュー・ウェイヴやインディー・ロックの中で独自の音を作っていた。
Flesh For Luluもその流れにあり、同時代のバンドと比べると、ストレートなロック感と都会的な冷たさの両方を持つタイプとして受け取られることがある。
代表曲について
Flesh For Luluには後年に知られる曲もあるが、「Big Fun City」については作品全体の流れで聴かれることが多い。
バンドの初期の輪郭を知るうえで、曲単位だけでなくアルバム全体のまとまりが重要な一枚だ。
まとめ
「Big Fun City」は、1985年のFlesh For Luluを映すロック作品で、1986年に盤として流通した。
英国のオルタナティブ・ロック、ニュー・ウェイヴ、インディー・ロックの交差点にあるような内容で、バンドの活動初期の空気をそのまま感じやすいタイトルだ。
トラックリスト
- A1 Baby Hurricane (3:13)
- A2 Cat Burglar (2:59)
- A3 Let Go (3:00)
- A4 Vaguely Human (3:22)
- A5 Rent Boy (4:39)
- B1 Golden Handshake Girl (4:04)
- B2 In Your Smile (3:06)
- B3 Blue (3:29)
- B4 Landromat Kat (2:16)
- B5 Just One Second (3:07)
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Siouxsie & The Banshees – Juju (1981)
Siouxsie & The Banshees『Juju』
Siouxsie & The Bansheesの4作目にあたる『Juju』は、1981年6月にPolydorから発表されたアルバムです。日本盤も1981年のリリースで、同年の作品として流通しています。前作までで築いてきたポストパンクの土台をさらに押し進めた一枚で、ニュー・ウェイヴとゴシック・ロックの輪郭がはっきり見える時期の作品でもあります。
作品の位置づけ
Siouxsie & The Bansheesは1976年にロンドンで結成されたイギリスのバンドで、Siouxsie Siouxのボーカル、Steven Severinのベースを軸に活動してきました。『Juju』では、ギターにJohn McGeoch、ドラムにBudgieを迎えた編成。バンドとしてのまとまりが強く、サウンドの輪郭もかなり整理された印象があります。
この時期の彼らは、初期の鋭いポストパンク感覚を保ちながら、リフやリズムの反復で曲を組み立てていく方向に進んでいて、後のゴシック・ロックの文脈でも参照されることの多いアルバムです。The CureやJoy Division周辺と並べて語られることもある時期の空気感がある一枚です。
サウンドと雰囲気
録音はイギリスのSurrey Sound Studios。プロデュースはNigel Grayとバンド自身です。音の作りは比較的明瞭で、ベースとドラムが前に出て、そこにJohn McGeochのギターが細かなフレーズや鋭い響きを重ねていく形。Siouxsie Siouxの歌唱も、メロディを強く押し出すというより、言葉の切れ味や抑揚で曲を引っ張る場面が目立ちます。
全体としては、派手な装飾よりも、反復、間、リズムの緊張感で持っていくタイプのアルバムです。硬質な手触りと、少し冷えた空気が同居している感じ。ニュー・ウェイヴの整理された感覚と、ゴシック・ロックの暗さが同じ画面に収まっているような作品です。
代表曲とシングル
収録曲の中では「Spellbound」が特に知られた曲で、同時代のバンドの中でもバンドの代表曲として挙げられやすいナンバーです。ほかにもシングルとして「Arabian Knights」や「Halloween」が出ていて、アルバム全体の方向性をよく示しています。
- 「Spellbound」: 反復するギターと推進力のあるリズムが印象的
- 「Arabian Knights」: 端正なビートの上に緊張感を乗せた曲
- 「Halloween」: この時期のバンドらしい陰影の強い楽曲
ひとこと
『Juju』は、Siouxsie & The Bansheesがポストパンクからゴシック・ロックへと接続していく流れを、かなりはっきり形にしたアルバムとして語られることが多い作品です。演奏の細部、リズムの硬さ、ボーカルの存在感がきれいに揃っていて、1981年という時代の空気もよく残っています。
トラックリスト
- A1 Spellbound (3:16)
- A2 Into The Light (4:14)
- A3 Arabian Knights (3:08)
- A4 Halloween (3:43)
- A5 Monitor (5:35)
- B1 Night Shift (6:06)
- B2 Sin In My Heart (3:37)
- B3 Head Cut (4:23)
- B4 Voodoo Dolly (7:07)
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The Call – Modern Romans (1983)
The Call『Modern Romans』について
The Callの『Modern Romans』は、1983年にアメリカでリリースされたロック作品。サンタクルーズで1980年に結成されたバンドが、80年代前半の空気の中で形にしたアルバムで、オルタナティヴ・ロックとニュー・ウェイヴの要素が交差する一枚です。
中心にいるのは、ヴォーカルとギターを担うMichael Been。そこにScott Musickのドラム、Greg Freemanのベース、Tom Ferrierのギターが重なり、The Callらしい骨太さと整った構成感を作っている印象です。後年の作品に比べても、バンドの輪郭がはっきり見えやすい時期のアルバムという位置づけでしょう。
サウンドの印象
サウンドは、ロックの直線的な押し出しに、当時らしいニュー・ウェイヴの整理された質感が加わるタイプ。ギターとリズム隊が前に出つつ、音の置き方には余白があり、派手さよりも曲の流れで聴かせる作りです。80年代初頭のUSロックの中でも、硬質さとポップな整理感の両方を持つ作品として受け取れそうです。
作品の位置づけ
The Callは、のちにより広く知られる時期へつながる前段階で、このアルバムではバンドの基本形が見えます。Michael Beenの歌と曲作りを軸に、演奏のまとまりで引っ張るタイプの作品で、デビュー期のバンドが自分たちの音を固めていく流れの中にある一枚です。
同時代の文脈
1983年という時期を考えると、USロックではニュー・ウェイヴやポストパンクの影響が広がりつつ、バンドごとの個性がより前面に出ていた頃です。The Callもその流れの中で、単なるギターロックではなく、リズムや音の配置に時代性を感じさせるバンドとして位置づけられます。
ジャケットの話題
この1983年盤のジャケットには、Cecil B. DeMille監督のサイレント映画『Manslaughter』(1922年)のスチルが使われている点も特徴です。音だけでなく、ビジュアル面でも映画的な参照が置かれているのが面白いところです。
まとめ
『Modern Romans』は、The Callの初期の輪郭を知るうえで重要な作品。80年代初頭のUSロックとニュー・ウェイヴの交差点に置けるアルバムで、Michael Beenを中心としたバンドの出発点としても見えてきます。演奏のまとまり、曲の構成、そして時代の質感が、きちんと一枚に収まっている作品です。
トラックリスト
- A1 The Walls Came Down (3:35)
- A2 Turn A Blind Eye (3:48)
- A3 Time Of Your Life (3:27)
- A4 Modern Romans (3:24)
- A5 Back From The Front (4:02)
- B1 Destination (4:32)
- B2 Violent Times (4:28)
- B3 Face To Face (4:05)
- B4 All About You (4:20)
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The Psychedelic Furs – Mirror Moves (1984)
The Psychedelic Furs『Mirror Moves』
1984年にリリースされた、The Psychedelic Fursの4作目のスタジオ・アルバム。UK発のポスト・パンク・バンドとして1977年にロンドンで結成された彼ららしく、ニュー・ウェイヴの輪郭を保ちながら、ギターの硬さと鍵盤の色づけを組み合わせたサウンドが印象に残る作品です。
作品の位置づけ
『Mirror Moves』は、バンドの初期から続くダークな感触と、より広い聴かれ方を意識した流れの間にあるアルバムという印象です。ポスト・パンクの緊張感を土台にしつつ、80年代前半のニュー・ウェイヴらしい整った音像へ寄せているところがポイントになっています。
この時期のThe Psychedelic Fursは、同時代のUKバンドの中でも、Joy DivisionやThe Cureのような陰影のある流れ、あるいはニュー・ウェイヴ寄りの洗練を持つバンド群と並べて語られることが多いです。とはいえ、Richard Butlerの声と、曲ごとのメロディの運びには独特の個性がある作品でもあります。
サウンドの特徴
音の輪郭は比較的はっきりしていて、ギターは鋭く、リズムは一定の推進力を保っています。その上に、シンセやキーボードが薄く重なることで、冷たさと都会的な感触が出ている作品です。派手に押し出すというより、音を積み重ねて曲の流れを作るタイプのアルバムといえます。
代表曲と知られている曲
収録曲の中では「Heaven」「The Ghost in You」あたりがよく知られています。特に「The Ghost in You」は、この時期のバンドのメロディ志向をよく示す曲として挙げられることが多いです。The Psychedelic Furs全体の代表曲としては、「Pretty in Pink」「Love My Way」などが有名ですが、『Mirror Moves』はその流れの中で聴かれることの多い1枚です。
同時代とのつながり
1984年という時期は、UKのニュー・ウェイヴやポスト・パンク勢が、よりポップな輪郭やラジオ向けの明快さを持ち始めていた頃でもあります。その中でThe Psychedelic Fursは、初期の荒さを残しながら、音の整理を進めていったバンドの一つとして見やすいです。プロダクションの面でも、80年代前半らしい乾いた質感と、少し距離を置いた響きが感じられます。
ひとこと
『Mirror Moves』は、The Psychedelic Fursの中でも、ポスト・パンクからニュー・ウェイヴへとつながる流れが分かりやすいアルバムです。バンドの持つ陰影と、80年代的な音作りが同居している作品として、当時の空気をそのまま切り取ったような存在といえます。
トラックリスト
- A1 The Ghost In You (4:17)
- A2 Here Come Cowboys (3:57)
- A3 Heaven (3:27)
- A4 Heartbeat (5:17)
- B1 My Time (4:27)
- B2 Like A Stranger (4:00)
- B3 Alice’s House (3:53)
- B4 Only A Game (4:13)
- B5 Highwire Days (3:58)
関連動画
- The Psychedelic Furs – Here Come Cowboys (Official Video)
- The Psychedelic Furs – Heaven (Official Video)
- The Psychedelic Furs – The Ghost in You (Official Video)
- THE PSYCHEDELIC FURS.”MIRROR MOVES.”.(THE GHOST IN YOU.)(12” LP.)(1984.)
- THE PSYCHEDELIC FURS.”MIRROR MOVES.”.(HERE COME COWBOYS.)(12” LP.)(1984.)
Echo & The Bunnymen – Ocean Rain = オーシャン・レイン (1984)
Echo & The Bunnymen「Ocean Rain = オーシャン・レイン」
Echo & The Bunnymenの4作目にあたるアルバムで、1984年5月に発表された作品です。1978年にリヴァプールで結成されたバンドで、イアン・マッカロクのヴォーカルとギター、ウィル・サージェントのギター、レス・パティンソンのベース、そしてのちに加わったピート・デ・フレイタスのドラムを軸に活動してきました。ニュー・ウェイヴ期のUKロックを代表するグループのひとつとして語られることの多いバンドです。
作品の位置づけ
「Ocean Rain」は、バンドのキャリアの中でも重要な節目に置かれるアルバムです。4作目という段階で、初期の緊張感を保ちながらも、曲づくりやアレンジの幅を広げていった時期の作品として受け取られています。ギターを中心にしたロックの骨格に、弦楽器の響きやスタジオでの音の重なりが加わり、タイトルどおりの水気を感じる質感がある一枚です。
サウンドの印象
ジャンル表記はロック、スタイルはニュー・ウェイヴ。リズムは整っていて、演奏は輪郭がはっきりしている一方で、音像には奥行きがあるタイプです。明るく押し出すというより、低音域とギターの反復で曲を進めていく場面が目立ちます。イアン・マッカロクの歌も、言葉を前に出すというより、曲全体の流れの中で存在感を作るタイプに聞こえます。
同時代とのつながり
1980年代前半のUKロック/ニュー・ウェイヴの文脈で見ると、同じ時代のバンド群と並べて語られることが多い作品です。ポストパンク以後の流れを引き継ぎながら、よりメロディと空間のあるサウンドへ向かった時期の記録でもあります。リヴァプール出身という点でも、当時の英国ロック・シーンの中で独自の存在感を示していたバンドです。
代表曲として知られる曲
この時期の代表曲としては「The Killing Moon」が広く知られています。アルバムを象徴する楽曲のひとつで、バンドの持つメロディ感と、やや硬質なバンド・サウンドの組み合わせがよく出ている曲です。作品全体の印象をつかむ入口としても挙げられることが多いです。
日本盤について
ここで紹介しているのは1984年の日本盤です。オリジナルの発表年と同じ1984年に出た盤で、当時の空気感をそのまま追うような位置づけの一枚です。Echo & The Bunnymenの1980年代前半の流れを確認するうえで、重要なタイトルのひとつといえます。
トラックリスト
- A1 Silver = シルヴァー (3:19)
- A2 Nocturnal Me = ノックターナル・ミー (4:57)
- A3 Crystal Days = クリスタル・デイ (2:24)
- A4 The Yo Yo Man = ヨーヨー・マン (3:10)
- A5 Thorn Of Crowns = ソーン・オブ・クラウン (4:50)
- B1 The Killing Moon = キリング・ムーン (5:45)
- B2 Seven Seas = セヴン・シーズ (3:18)
- B3 My Kingdom = マイ・キングダム (4:04)
- B4 Ocean Rain = オーシャン・レイン (5:09)
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Wire Train – Between Two Words (1985)
Wire Train「Between Two Words」について
Wire Trainは、1983年にサンフランシスコで結成されたアメリカのオルタナティブ・ロック・バンドだ。
その1985年作「Between Two Words」は、UK & Europeでリリースされた作品で、バンド初期の空気をそのまま捉えた1枚として見ていける。
作品の輪郭
ジャンルはRock、スタイルはNew Wave。
この時代らしく、ギター主体のバンド・サウンドの中に、リズムのきりっとした推進力や、少し整った質感が入ってくるタイプの流れが想像しやすい。
派手に押し切るというより、音の配置やテンポ感で聴かせる印象の作品として受け取れそうだ。
メンバーはKevin Hunter、Brian MacLeod、Jeff Trott、Anders Rundblad、Kurt Herr、Federico Gil Solá。
この編成で、80年代半ばのアメリカ西海岸のバンドらしい、ニュー・ウェイヴ以降の感覚を持ったロックを鳴らしていた時期の記録といえる。
アーティストとしての位置づけ
Wire Trainは、San Francisco発のオルタナティブ・ロック・バンドとして知られる。
「Between Two Words」は、バンドの初期キャリアの中に置くと、サウンドの方向性や輪郭を確認しやすい時期の作品として見えてくる。
同時代の文脈で見ると、ニュー・ウェイヴの感触を残しながらロックの骨格を前に出す流れは、80年代の多くのバンドと重なる部分がある。
その中でWire Trainも、ギター・バンドとしての手触りを持ちながら、時代の空気に沿った整理された響きを持っていたように見える。
サウンドの印象
この作品の聴きどころとしては、リズムの明快さ、ギターの輪郭、そしてニュー・ウェイヴ由来の乾いた質感あたりが挙げやすい。
音数を詰め込みすぎず、曲の推進力を保ちながら進むタイプの作りが想像しやすい。
80年代中盤のUKやヨーロッパ向けリリースという点も含めて、当時のロック/ニュー・ウェイヴの流れの中に置くと見えてくる部分がある。
サンフランシスコのバンドでありながら、地域色よりも時代性のほうが前に出る作品として捉えられそうだ。
まとめ
「Between Two Words」は、Wire Trainの初期を知るうえでの1985年作。
オルタナティブ・ロックとニュー・ウェイヴの間を行き来するような立ち位置で、80年代半ばのバンド・サウンドの一断面を示すレコードだ。
トラックリスト
- A1 Last Perfect Thing (3:52)
- A2 Skills Of Summer (4:03)
- A3 When She Was A Girl (4:27)
- A4 God On Our Side (4:29)
- A5 Love, Love (3:15)
- B1 I Will (4:21)
- B2 No Pretties (4:25)
- B3 The Ocean (4:05)
- B4 Two Persons (2:54)
- B5 Home (3:35)
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The Fountainhead – The Burning Touch (1986)
The Fountainhead『The Burning Touch』
『The Burning Touch』は、アイルランド出身のロック・バンド、The Fountainheadによる1986年の作品。UKでリリースされた、バンド初期の空気をそのまま捉えた1枚として位置づけられる。メンバーは Pat O’Donnell、Steve Belton、Willy De Mange。
バンドについて
The Fountainheadは、1982年に Steve Belton と Pat O’Donnell を中心に始動したバンドで、当初は Belton & O’Donnell 名義だった。1984年以降は The Fountainhead として活動している。バンド名は、Ayn Rand の小説『The Fountainhead』に由来する。
サウンドの印象
ジャンルは Electronic、Rock、Pop。スタイルとしては New Wave、Pop Rock に位置づけられる。リズムには当時らしい機械的な整え方がありつつ、ロック寄りのバンド感も前に出る構成。シンセの質感とギターの輪郭が並び、ポップ寄りのメロディーを支えるつくり。
1980年代半ばのニューウェーブやポップ・ロックの文脈に置くと、同時代のエレクトロニックな要素を取り入れたロック・バンド群と通じる部分が見えやすい。派手に振り切るというより、整ったビートと歌の流れを重視したタイプの作品という印象。
作品の位置づけ
1986年のオリジナル作品として、The Fountainheadの初期を知るうえでの基本盤。バンドが持っていたロック、ポップ、電子音の折衷感を、その時代のUKリリースらしい形でまとめた内容といえる。
まとめ
『The Burning Touch』は、1980年代中盤のニューウェーブ/ポップ・ロックの空気を映したThe Fountainheadの代表的な初期作。電子的な質感とバンド演奏のバランス、そしてメロディーを軸にした作りが印象に残る1枚。
トラックリスト
- A1 Rhythm Method (4:25)
- A2 Sometimes (4:26)
- A3 Seeing Is Believing (4:23)
- A4 Faraway (4:19)
- A5 Take My Life (5:10)
- B1 Open Up (4:41)
- B2 Feel It Now (5:44)
- B3 So Good Now (With You) (4:23)
- B4 When The Lifeline Ends (5:30)
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Gruppo Sportivo – Mistakes (1979)
Gruppo Sportivo「Mistakes」について
「Mistakes」は、オランダ出身のコミカルなニューウェイヴ/ポップ・バンド、Gruppo Sportivoによる1979年の作品。ロックとポップを土台にしながら、ニューウェイヴらしい軽快さと、アートロック寄りのひねりをあわせ持つ1枚として受け取れる内容だ。
Gruppo Sportivoは1976年にハーグで結成されたグループで、Hans Vandenburgを中心に、複数のメンバーが参加している。ユーモアのある感覚と、ひねったポップセンスがバンドの持ち味として語られることが多く、この時期の作品にもその性格がそのまま表れている印象だ。
サウンドの印象
リズムはきっちりと前に進み、ギターや鍵盤のフレーズが細かく動くタイプのニューウェイヴ寄りの組み立て。音の質感は過度に厚くならず、軽やかさを保ちながらも、ところどころにアートロック的なズレや遊びが差し込まれる。
派手な装飾で押すというより、テンポ感とメロディ、そして少し崩した感覚のバランスで聴かせるタイプ。ロックの骨格にポップな分かりやすさを載せつつ、同時代のニューウェイヴ勢らしい乾いた手触りもある。
作品の位置づけ
1979年という時期は、ニューウェイヴやパワー・ポップが広がっていた時代。そうした文脈の中で、「Mistakes」はGruppo Sportivoの初期の輪郭を示す作品として見ることができる。バンドのユーモラスな視点と、整いすぎないポップ感覚が前面に出た時期の記録という印象だ。
同時代のバンドでいえば、単純な比較はできないものの、ひねりのあるポップ・ロックを鳴らす流れの中に位置づけやすい。ニューウェイヴの軽さと、アートロック的な構成感が同居するあたりに、この作品の特徴がある。
補足
- アーティスト: Gruppo Sportivo
- タイトル: Mistakes
- リリース年: 1979年
- ジャンル: Rock, Pop
- スタイル: New Wave, Art Rock
- アーティストの出身: オランダ、ハーグ
1979年のニューウェイヴ周辺の空気を、ポップな感触と少し変化球の効いたアレンジで切り取った作品。Gruppo Sportivoの初期性格が見えやすい1枚として、バンドの入口になるタイトルのひとつだ。
トラックリスト
- A1 Mission A Paris (4:17)
- A2 Dreamin’ (4:17)
- A3 Henri (4:21)
- A4 Hey Girl (2:25)
- A5 I Said No (4:14)
- A6 I Shot My Manager (2:50)
- B1 Blah Blah Magazines (2:01)
- B2 Beep Beep Love (2:54)
- B3 P.S. 78 (3:00)
- B4 Superman (6:22)
- B5 One Way Love (From Me To You) (3:07)
- B6 Bottom Of The Class (2:04)
- B7 The Single (1:13)
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The Cuban Heels – Work Our Way To Heaven (1981)
The Cuban Heels『Work Our Way To Heaven』
The Cuban Heelsの『Work Our Way To Heaven』は、1981年にUKで登場したニューウェイヴ作品。スコットランドのGreenockで結成されたバンドによる、初期の姿をそのまま刻んだ一枚です。ロックを土台にしながら、当時らしい軽快さと引き締まったバンド感が前に出る内容となっています。
バンドの成り立ち
The Cuban Heelsは1977年にLaurie Cuffe、Paul Armour、Dave Duncanによって結成。のちにJohn Milarkyがボーカルとして加わり、現在知られる編成へとつながっていきます。メンバー変遷のあるバンドですが、この時期の中心には、ギター、ベース、ドラム、ボーカルがしっかり噛み合うロック・バンドとしての骨格が見えます。
- Laurie Cuffe – Guitar
- John Milarky – Vocals
- Dave Duncan – Drums
- Paul Armour – Bass
- Nick Clark – Bass
- Ali Mackenzie – Drums
サウンドの印象
ジャンル表記はRock、スタイルはNew Wave。リズムはきっちり前へ進み、ギターは派手に広がるというより、曲の輪郭をはっきりさせる役回り。ニューウェイヴ期らしい整った質感がありつつ、バンド演奏のまとまりがそのまま出たタイプの作品として捉えやすいです。
同時代のUKニューウェイヴに通じる、直線的なビート感や、ロックの推進力を残した作り。派手な装飾よりも、曲の流れとアンサンブルで聴かせるタイプの一枚という印象です。
作品の位置づけ
1981年のオリジナル・リリースで、The Cuban Heelsにとって初出年の作品。バンドの初期の姿を確認できる時期の記録として、グループの輪郭をつかむうえで重要な位置にある一枚といえます。UKロック/ニューウェイヴの流れの中で、地方発のバンドが持っていた感触を伝える作品でもあります。
まとめ
『Work Our Way To Heaven』は、The Cuban Heelsの初期を示す1981年作。UKニューウェイヴの時代感をまといながら、ロック・バンドとしての基本の形が見えやすい内容です。編成の変化を経ながらも、ギター、ベース、ドラム、ボーカルの組み合わせが前に出る、素直なバンド作品として印象に残ります。
トラックリスト
- A1 Liberty Hall (2:58)
- A2 Move Up A Grade (3:30)
- A3 Where The Days Go (4:10)
- A4 A Matter Of Time (3:02)
- A5 Homes For Heroes (3:45)
- A6 The Old School Song (3:50)
- B1 Walk On Water (2:57)
- B2 Hard Times (4:05)
- B3 Coming Up For Air (4:16)
- B4 Work Our Way To Heaven (3:57)
- B5 My Colours Fly (3:00)
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XTC – White Music (1978)
XTC『White Music』について
XTCの『White Music』は、1978年1月20日にリリースされたファースト・アルバム。ポストパンク以降の空気をまといながら、ニューウェーブとパワー・ポップを軸に、電子的な質感も交えた初期作として位置づけられる作品だ。バンドの出発点を確認するうえで、まず押さえておきたい一枚。
作品の輪郭
この時期のXTCは、アグレッシブなリズムと細かなフレーズの組み立てが目立つ。ギターの切れ味、ベースの動き、鍵盤の差し込みが曲ごとにせわしなく交差し、短い曲の中に情報量を詰め込む構成が印象に残る。音の厚みよりも、展開の速さとフックの多さで押していくタイプのアルバムといえる。
ジャンル表記としてはElectronic、Rock、スタイルとしてはNew Wave、Power Pop。パンク以後の勢いをベースにしつつ、メロディーを前に出した作りが特徴的で、同時代のニューウェーブ勢やパワー・ポップ周辺と並べて語られることもありそうだ。
XTCにとっての位置づけ
XTCは1975年にスウィンドンで結成され、のちにポストパンク・ニューウェーブの文脈で注目を集めたバンド。そこからダブ、フォーク・ロック、サイケデリア、純度の高いポップまで、時期ごとに音の方向を変えていく柔軟さを持っていた。『White Music』は、その長い変化の出発点にある作品として聴かれることが多い。
クラシックな編成としては、Andy Partridge、Colin Moulding、Dave Gregory、Terry Chambersが中心。初期にはBarry Andrewsも在籍しており、鍵盤の存在感がこの時期のサウンドに関わっている。
時代感とサウンドの印象
1978年という時期は、パンクの衝撃が残りながら、ニューウェーブやポストパンクが形を整えつつあった頃。『White Music』もその流れの中に置くと見えやすい。鋭いリズム、硬質なギター、やや機械的な手触りのあるアレンジなど、当時の英国ロックの変化を反映した要素が感じられる。
一方で、単に尖っただけの作品ではなく、メロディーの輪郭ははっきりしている。パワー・ポップ的な要素があるため、曲の推進力と歌の引っかかりが両立しているのも、このアルバムの見どころになっている。
代表曲について
収録曲の中では「This Is Pop」がよく知られている。タイトル通り、XTCのポップ感覚を端的に示す曲として扱われることが多く、アルバム全体の方向性を示す存在でもある。初期XTCの勢いと、ひねりのあるメロディーが同居した一曲。
リリース情報
- アーティスト: XTC
- タイトル: White Music
- オリジナル・リリース年: 1978年
- 盤のリリース年: 1988年
- 国: Italy
- ジャンル: Electronic, Rock
- スタイル: New Wave, Power Pop
XTCの初期像をつかむうえで、『White Music』は外せない存在。後年の多彩な展開を知っていると、ここにある直線的な勢いと実験性の混ざり方が、なおさら興味深く感じられる。
トラックリスト
- A1 Radios In Motion (2:52)
- A2 Cross Wires (2:03)
- A3 This Is Pop (2:38)
- A4 Do What You Do (1:14)
- A5 Statue Of Liberty (2:52)
- A6 All Along The Watchtower (5:40)
- B1 Into The Atom Age (2:32)
- B2 I’ll Set Myself On Fire (3:00)
- B3 I’m Bugged (3:59)
- B4 New Town Animal In A Furnished Cage (1:51)
- B5 Spinning Top (2:38)
- B6 Neon Shuffle (4:25)
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Tom Verlaine – Flash Light (1987)
Tom Verlaine「Flash Light」
Tom Verlaineの「Flash Light」は、1987年に発表された作品。元Televisionの中心人物として知られるVerlaineが、ソロ・アーティストとして積み重ねてきた流れの中にある一枚で、ロックとニュー・ウェイヴの要素が自然に重なっている。
作品の輪郭
ギターを軸にした構成ははっきりしていて、音の置き方にも整理された印象がある。リズムは過度に前へ出すぎず、演奏の間合いを活かした作り。録音全体も、輪郭を保ちながら各パートを見通しやすい質感になっている。
Tom Verlaineという位置づけ
Tom Verlaineは1949年生まれのアメリカ人シンガー、ソングライター、ギタリスト。Televisionでの活動を経て、ソロではより個人の感覚を反映した作品を残してきた。この「Flash Light」も、その流れの中で語られることが多い一枚だろう。
同時代とのつながり
1980年代後半のロック/ニュー・ウェイヴの文脈に置くと、派手な装飾よりも、演奏の構造や音の配置を重視するタイプの作品として見えてくる。Televisionの流れを思わせるギター志向と、ソロ作品ならではのまとまりが同居している印象。
ひとこと
「Flash Light」は、Tom Verlaineのギタリスト/ソングライターとしての持ち味が、1987年という時代の空気の中で形になった作品。ロックの骨格とニュー・ウェイヴの感触が重なる、そんな位置づけのアルバムだと受け取れそうだ。
トラックリスト
- A1 Cry Mercy, Judge (3:58)
- A2 Say A Prayer (3:58)
- A3 A Town Called Walker (3:24)
- A4 Song (4:10)
- A5 The Scientist Writes A Letter (4:27)
- B1 Bomb (4:26)
- B2 At 4 a.m. (3:31)
- B3 The Funniest Thing (3:27)
- B4 Annie’s Tellin’ Me (3:57)
- B5 One Time At Sundown (3:58)
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L. Howard Hughes – West Of The Pecos (1986)
L. Howard Hughes「West Of The Pecos」
「West Of The Pecos」は、UK出身のL. Howard Hughesによる1986年のロック作品。ニュー・ウェイヴとインディー・ロックの要素を軸にした一枚で、当時のUKシーンらしい乾いた質感と、軽く前のめりに進むリズム感が印象に残るタイトルだ。
作品の輪郭
1980年代半ばのUKロックには、ポストパンク以後の流れを受けた、硬質さとメロディのバランスを探る動きが多く見られる。この作品もその文脈の中で捉えやすい。ギターの輪郭を前に出しつつ、過剰に装飾しない録音の雰囲気があり、曲の構造を追いやすい作りになっている。
ニュー・ウェイヴ寄りの整理されたビート感と、インディー・ロックらしい素朴な鳴りの両方が感じられるところがポイント。音の抜け方は比較的ストレートで、派手な演出よりも、バンドの動きそのものを聴かせるタイプの作品として受け取れる。
1986年という位置づけ
1986年という時期は、UKのロックやオルタナティブ周辺で、シンプルな編成のまま個性を出す作品が増えていた頃でもある。「West Of The Pecos」も、その流れの中に置くと輪郭が見えやすい。ニュー・ウェイヴの整った感触と、インディー・ロックの手触りが交わる、当時らしい一作という印象。
サウンドの印象
- リズムは前進感のある組み立て
- ギターは輪郭重視の鳴り
- 録音は比較的ドライな質感
- 派手さよりも曲の運びを見せる作り
ひとことで
「West Of The Pecos」は、1986年のUKロックの空気をそのまま切り取ったような、ニュー・ウェイヴとインディー・ロックの接点にある作品。情報を追うより先に、まず音の運びと質感で輪郭をつかみたくなるタイプのレコードだ。
トラックリスト
- A West Of The Pecos (Tom Mix)
- B1 The Westerner
- B2 Council Houses
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David J – Etiquette Of Violence (1983)

David J『Etiquette Of Violence』について
『Etiquette Of Violence』は、UKのミュージシャン、David Jによる1983年の作品。ロックを軸にしながら、オルタナティヴ・ロック、ニュー・ウェイヴ、実験的な要素を含む一枚として位置づけられる。David Jはイングランド・ノーサンプトン出身のベーシスト、David John Haskinsとして知られ、UKのポストパンク以降の文脈ともつながる存在。
サウンドの印象
この作品は、リズムの輪郭を保ちながらも、一般的なロックの直進性だけに寄らない作りになっている。ベースを土台にした推進力、ニュー・ウェイヴ寄りの乾いた質感、実験的な処理が重なる構成。録音の空気感も、過度に装飾的ではなく、音の配置や間が前に出るタイプの印象。
ギターやリズムの動きが単純に押し切るというより、細かなフレーズの積み重ねで展開していくタイプの作品として捉えやすい。ロックの形式の中に、80年代初頭らしいひねりが入っている感じ。
アーティストの中での位置づけ
David Jにとっては、ベーシストとしての背景がそのまま反映された作品のひとつと見られる。バンド的な感覚とソロ的な表現のあいだを行き来するような立ち位置で、彼の音楽性を確認しやすい時期の記録とも言えそうだ。
同時代のUKシーンでいうと、ポストパンクからニュー・ウェイヴへ向かう流れの中に置いて聴ける内容。Bauhaus周辺に通じる緊張感や、当時の実験的なロックの感触を思わせる部分もある。
まとめ
『Etiquette Of Violence』は、1983年のUKロックの空気を背景にしつつ、オルタナティヴ、ニュー・ウェイヴ、実験性を重ねた作品。David Jの音楽的な輪郭が、比較的わかりやすく見える一枚として捉えられる。
トラックリスト
- A1 I Hear Only Silence Now (3:13)
- A2 No One’s Sending Roses (2:35)
- A3 The Fugitive (2:34)
- A4 Betrayal (3:29)
- A5 Joe Orton’s Wedding (2:30)
- A6 The Promised Land (2:27)
- B1 ‘With The Indians Perminent’ (2:49)
- B2 Say Uncle (3:49)
- B3 Disease (2:43)
- B4 Roulette (2:56)
- B5 Saint Jacqué (3:01)
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The Comsat Angels – You Move Me (One Good Reason) (1984)

The Comsat Angels / You Move Me (One Good Reason)
1984年のThe Comsat Angelsによる「You Move Me (One Good Reason)」。イングランドのシェフィールドとドンカスターを拠点にしたポストパンク・バンドによる、同年のUK盤として出た1枚である。ロックを軸に、オルタナティヴ・ロックやニュー・ウェイヴの流れに置ける作品として見えてくる内容。
作品の位置づけ
The Comsat Angelsは1978年結成、1995年に活動を終えたバンド。初期のポストパンクを背景にしながら、のちにはより整理された曲構成や、硬質なバンド・サウンドを前面に出していく印象がある。「You Move Me (One Good Reason)」も、そうした流れの中にある1984年の楽曲として捉えやすい。
Kevin Bacon、Steve Fellows、Andy Peake、Mik Glaisherに加え、Terry Todd、Simon Andersonがクレジットされている。
サウンドの印象
リズムはきっちりと前に進み、ギターは輪郭を保ったまま曲を支えるタイプ。録音も過度に飾らず、各パートの分離が見えやすい作りに感じられる。ニュー・ウェイヴ寄りの整理された感触と、オルタナティヴ・ロックの直線的な押し出しが同居している。
同時代のUKロックの文脈で見ると、同じくポストパンク以降の緊張感を持ちながら、よりメロディと構成を重視するバンド群とのつながりが意識しやすい。The Comsat Angelsらしい、派手さよりも曲の運びで聴かせるタイプの一曲として置けそうである。
バンドの流れの中で
1984年という時期は、バンドの初期衝動だけではなく、曲作りやアレンジのまとまりがより前に出てくる時期でもある。「You Move Me (One Good Reason)」は、その時点でのバンドの方向性を示す作品のひとつとして見られる。
のちにオリジナル・ラインナップで2009年のSensoria Festival出演を行い、さらに別編成で同年10月にもUKで数公演を実施、2010年12月のシェフィールド公演を最後に再結成期を終えている。そうした後年の動きまで含めると、この時期の音源はバンドの中核を知る手がかりとしても重要な位置にある。
トラックリスト
- A You Move Me (One Good Reason) (Long Version) (5:37)
- B1 Land (4:10)
- B2 Eye Of The Lens (Live Version) (4:02)
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All About Eve – Strange Way (1991)

All About Eve「Strange Way」について
All About Eveは、1984年に結成された英国のインディー・ロック/ポップ・バンド。1980年代後半から90年代初頭にかけて活動し、1991年の「Strange Way」は、その時期の流れの中で発表された作品になる。ジュリアンヌ・リーガンのボーカルを軸に、ロックとポップ・ロック、ニュー・ウェイヴの要素を行き来するバンドとして知られている。
作品の輪郭
「Strange Way」は、1991年のUKリリース。All About Eveの持つ、バンド演奏を前面に出した作りと、メロディをきちんと聴かせる構成が見えやすい一枚といえる。ギター、ベース、ドラムを中心に、鍵盤の色づけが重なる編成で、当時の英国ロックらしい整った音像に寄っている印象。
サウンド面では、リズムは比較的まっすぐで、録音も過度に荒さを強調するタイプではない。音の輪郭がはっきりしていて、ボーカルと楽器の分離も追いやすい作り。ニュー・ウェイヴ由来の端正さと、ポップ・ロックの聴きやすさが同居している感じがある。
アーティストにおける位置づけ
All About Eveは、英国のインディー・ロック/ポップの文脈で語られることの多いバンドで、この時期はバンドとしてのまとまりがよく出やすい時期でもある。1991年の「Strange Way」は、1980年代から続く流れの延長線上にありつつ、90年代初頭の英国ロックの空気も感じさせる作品として見ておけそうだ。
同時代の文脈
1991年の英国では、インディー・ロック、ニュー・ウェイヴ、ポップ・ロックの境界がわりと近いところで行き来していた。All About Eveもその中で、派手に音を崩すというより、メロディとバンドアンサンブルを軸にした作りを保っている。そうした立ち位置が、彼らの作品のまとまりにつながっているように見える。
クレジットまわり
- アーティスト: All About Eve
- タイトル: Strange Way
- オリジナル・リリース年: 1991
- リリース国: UK
- ジャンル: Rock
- スタイル: New Wave, Pop Rock
メンバーには、Julianne Regan、Rik Carter、Tim Bricheno、Mark Price、Manuela Zwingman、Andy Cousin、Derek Hood、Marty Willson-Piper、Ben Savigear、Toni Haimi、James Richard Jackson らの名前が並ぶ。バンドの編成の広がりも含めて、当時のAll About Eveの活動の一端が見えてくる作品だ。
トラックリスト
- A1 Strange Way
- A2 Drawn To Earth
- B1 Nothing Without You
- B2 Light As A Feather
関連動画
Josef K – Young And Stupid / Endless Soul (1987)

Josef K「Young And Stupid / Endless Soul」について
Josef Kは、スコットランド・エディンバラ出身のポストパンク・グループ。1979年に結成され、1982年に活動を終えている。
この「Young And Stupid / Endless Soul」は1987年の作品で、UKリリースのシングルとして残されている。
バンドの背景
メンバーはPaul Haig、Malcolm Ross、David Weddell、Ronnie Torrance。Paul Haig、Malcolm Ross、David Weddellは以前、The Exploitedのドラマーを含むTV Artでも活動していた。
同じ学校であるエディンバラのFirrhill High Schoolで顔を合わせていたことも、このバンドの出発点になっている。
バンド名は、フランツ・カフカの小説『審判』の主人公から取られている。ポストパンクの文脈に置くと、文学由来の名前も当時らしい要素のひとつに見える。
作品の位置づけ
1980年代後半のUKロックの中で、Josef Kのようなバンドはニューウェイヴとポストパンクの境目を意識させる存在として語られることが多い。
この作品も、その流れの中にある一枚として捉えやすい。
タイトル曲「Young And Stupid」と「Endless Soul」という組み合わせからは、シングルらしいまとまりがうかがえる。録音の質感やリズムの運びには、ポストパンクらしい硬さと、ニューウェイヴ寄りの整った感触が重なっているように見える。
サウンドの印象
Josef Kの音楽は、ギターの切れ味、タイトなリズム、必要以上に飾らない録音の雰囲気が特徴として挙げられやすい。
この作品でも、そうした要素が前面に出るタイプの一枚として受け取れそうだ。
関連情報
- アーティスト名: Josef K
- タイトル: Young And Stupid / Endless Soul
- リリース年: 1987年
- リリース国: UK
- ジャンル: Rock
- スタイル: New Wave, Post-Punk
公式サイトや関連ページも残っており、バンドの活動史をたどりやすい環境がある。
1980年代のUKポストパンクを振り返るうえで、Josef Kの名前とこの作品は、ひとつの線でつながる存在。
トラックリスト
- A1 Heart Of A Song
- A2 Endless Soul
- A3 Citizens
- A4 Variation Of A Scene
- A5 It’s Kinda Funny
- A6 Sorry For Laughing
- B1 Chance Meeting
- B2 Heaven Sent
- B3 Drone
- B4 Sense Of Guilt
- B5 Revelation
- B6 Romance